鹿
今日は久しぶりに天気が良かったような気がします。
しかし花粉症の方は目とか鼻がむずむずする一日でしたね。
さて、今日は鹿革で製品を縫っています。
鹿の革は小判です。だからハイドじゃなくて、スキンです。
ずっと前にBlogに書いた理由です。いつ書いたか忘れました。
一枚がステアのように半裁じゃなくて一頭分です。
それでこれくらいなので普通のパンツでも二頭使用します。
大きなサイズや股下の長いオーダーの場合4枚必要になります。
4枚必要になってしまった場合はレザーのチャージ料金を頂いていますが、
殆ど実費のみです。
そうしないと途中に接ぎを入れなくてはいけなくなるので
ひと身頃一枚主義のLDFS的には
多少利益率が落ちても、接ぎ無しを貫きとおしてます。
LDFSが使用している鹿革は、上から顔料塗装をしていない
水染め素仕上げなので原皮の傷が少ない、
きれいなものしか使えないのです。
柔軟性のある皮革ですが厚みは2ミリと厚めですので
パンツなんかにしても、動きやすいうえに
しっかりした風合いになってます。
この鹿革が、他の皮革と違うところは
ワタみたいに柔らかいくせに、とにかく丈夫。
なんせうちのミシンの中で一番ごっつい号で縫っても
何層か重なった部分を縫っていると針が”ビン!”と止まってしまう事もしばしば。
垂直に刺さる針を止めるとは、相当繊維が詰まっているという事で、
鹿革の強さゆえだと思います。
裁断や縫製の難易度は若干高めな皮革ですが、
滑らかな手触りや、見た目と裏腹の強靭さを持っていて
僕自身好きな革のひとつです。
同じ鹿でもエルクは大型のへら鹿の皮革で、
革も大判、そしてツノがごついので革の表面は傷が多めで多少繊維も荒く、
ワイルド&ヘビーという感じの革です。
これはelkのハンターのおっちゃんの自慢写真を勝手に拝借してきたものですが、
こんなでかいのがこっち向かってドドっとか走ってきたら、
軽くチビリながら腰が抜けると思います。
最後にせっかくこのBlogを読んで下さった方に豆知識です。
バックスキンはBACK SKINじゃなくてBuckskinで
簡単にいうと雄鹿革の表面を起毛させたものの事ですよ。
裏返しの革を起毛させたものはベロアです。
おもて側をバフがけして起毛させたものはヌバックです。
間違えやすいし間違えても別に問題無いんですけど、
僕ら職人は間違えてはいけないところなのです。
もしこの事実を知らない友達が居たら教えてあげて自慢してみて下さい。


