理詰めで包囲した——はずだった
こちらとしては、
「時間短縮するなら、内容も責任を持って整理してください」
という形で、理詰めの包囲網を敷いた。
……つもりだった。
少なくとも、自分の中では、
“これで部長側がきちんと整理して動くだろう”
と思っていた。
しかし、返ってきたのは予想外の展開
ところが、その返答を待っている間。
再び、副部長から総務メンバーへ連絡が入ったらしい。
その内容を聞いて、思わず頭を抱えた。
「部長がもう何もしないから、自分が前年度の部長と相談して進めます」
——そういう話だった。
「いや、部長って何なんだろう」
もちろん、正直に言えば。
副部長主導で進めた方が、内容がしっかりしたものになるだろうというのは分かっていた。
むしろ、その安心感すらあった。
ただ同時に、どうしても思ってしまう。
“じゃあ、部長って何なんだろう”
と。
役職というのは、肩書きだけでは意味がない。
結局、誰が実務を担っているのか。
誰が責任を持って動いているのか。
そういう部分が、組織では一番大きいのだと感じた。
実際、学校とのやり取りも副部長だった
さらに話を聞くと、厚生部と学校側とのやり取りも、実質的には副部長だけで進めていたらしい。
つまり、既に現場はそういう体制になっていた。
だから、その後の話は早かった。
副部長を中心に調整が進み、
・掃除場所
・役割分担
・実施内容
なども整理され、結果的には“これまで通りに近い形”で美化活動を進める方向になっていった。
そして迎えた、7月最初の総務委員会
そんな流れの中、7月最初の総務委員会を迎える。
委員会の前には、厚生部から美化活動についての説明が行われることになっていた。
だから、自分は少しだけ期待していた。
「さすがに今日は、部長が前に立って説明するのかな」
と。
……やっぱり、副部長だった
——でも。
実際に始まってみれば、やはり進行は副部長主導。
説明するのも副部長。
内容を補足するのも副部長。
そして、その説明内容はかなりしっかりしていた。
前年の課題も踏まえられている。
動線も整理されている。
現場をちゃんと見た上で考えられているのが伝わってきた。
「この人が最初から部長だったら…」
その様子を見ながら、どうしても思ってしまった。
——この人が最初から部長だったら。
きっと、ここまで揉めることもなく、もっとスムーズに進んでいたんだろうな、と。
もちろん、細かい部分まで一人で抱え込みすぎる傾向はあったのかもしれない。
結局、“一人で色々決めて進める”という構図自体は変わっていなかったのかもしれない。
それでも、
「責任を持って前に立つ人がいる」
というだけで、組織の空気はかなり違う。
そんなことを、改めて感じた出来事だった。
