
以前、とある場所にある、すっかり時代から取り残されてしまった玩具屋で衝動的に買ったラッキーダービー。
御年99歳とかいうおばあちゃんが独りで営業を続けているらしいのだが、そのラインナップときたら、マニアがよだれをたらしてしっぽまで振っちゃうだろうというものばかり。
たいがいが昔ながらの価格で売っているのだが、これだけは格安でいいというので即購入。
箱はさすがに破れたりしているものの、備品もしっかりあるし・・・と思っていると、おばあちゃんが「動作不良があっても返品なしよ」と念を押してくる。
今にして思えば、このおもちゃが不良品なのだということを知っていたんだな。おばあちゃん。
もちろんこれは不良品ですなんてことは一言も言わない。
したたかだが、その歳になってもそれだけ達者なら、不良品つかまされたこちらも、なんだか清々しい。笑
家に帰って動かしてみたら、モーターがやかましく回る割に一向に動く気配がない。
この時代のおもちゃは仕組みがシンプルだから、まぁ自分でも治せないことはないだろうとも思ってたのだが、裏蓋を開けてみると、モーター横の歯車が割れており、それで動力が本体に伝わらないのだということがわかった。
わかったのだが、モーターもその歯車もブリキのセルの中。
セルは爪止めされているので、そのブリキの爪をラジオペンチでこじ開けて、その歯車を交換すればいいということはわかるのだが、このブリキの爪。
締めが甘いとセルがしっかりせず使えないし、強すぎれば折れてしまい、それこそ逝ってしまいました状態になってしまう。
とっとと自力での修理をあきらめ、製造元のバンダイのサイトから、修理依頼を出してみる。
翌日には「もう製造してないから、治せません」とつれない返事。
札幌なら、この手の昔のおもちゃを治してくれるところがあるはずだ!と考えネットで検索。
ありましたよ。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3746607901/
その名も、おもちゃクリニック。
とある土曜日にリンケージプラザに出向いてみた。

部屋は施設の奥の奥で、ちょっとおどおどしながら入室。
リタイヤされた皆さんが、一生懸命子供のおもちゃと格闘していた。

手前右側の方がどうやらボスのようだ。
奥で、ランダムか壁にぶつかると方向転換するような自動車型のおもちゃを修理中の二人や、手前で僕のラッキーダービーを修理している方に時折指示やアドバイスを送っている。
奥の二人は、「ピニオンギアがうまくかんでないのではないか?」とかいろいろと検証しながら作業を進めているのだが、どうも進み具合は捗々しくないようだ。
一方、僕のラッキーダービーは、着々と修理されている。
そうこうしているうちに、ガオレンジャーだかゴーカイジャーだか、よくわからないキャラクターもののおもちゃが父と息子によって運ばれて来た。
子供が振り回してどこかにぶつけたら音が出なくなったらしい。
ボスが裏を開けてテスターを突っ込む。
「うん、大丈夫、治るよ」とボス。
子供よりも、親父さんのホッとした顔が印象的だった。
話を聞くと、3.11の震災以降、おもちゃの修理依頼は4.5倍増しなのだそうだ。
物を大切にする意識が見直されるようになったのか、被災地へ送るためなのか、確実な理由ははっきりしないが、それでも日本人の価値観が大きく変わって来たのだろうなと思う事象だった。
そうこうしているうちに、ラッキーダービーは無事に修理を終えて精算。
なんと¥50!
ここはボランティアなので、実際に取り替えたりして用意されたパーツ代しか請求されないのだ。
自動車型のおもちゃを修理している二人は、おもちゃを床において実走試験。
思ったようには動かず、「あぁ~っ!」と残念そうな声を上げる二人。
その姿はなんだか無邪気な子供のようで、その二人の顔もとても充実しているというか、楽しそうというか、いい顔をしていた。
きっと家に帰っても、孫の壊れたおもちゃを治してあげてるんだろうな。
なんてことを想像しつつ、帰路についた。
車を運転してても、あの楽しそうなおじいちゃん達を思い出しては、こっちもにんまりしてしまうのだった。








