久々にG310Rと2人きりでおでかけ。
単気筒特有のエンジン音はやはり心地よい。新年早々元気な子。
SSTR行くのかなぁとか、今年は伊豆半島にでも行ってみようかとか
いろいろ1人で話しかける。無論直接答えてはくれないのだが。
ただ、"モノには命が宿る"というのはいつまでも信じている。
引っ越したらこの子は優秀な門番になる。そして大型免許を取得したら、多分きっとBMWの大型へ進化する。
何に乗るかはずっと悩んでいるし語れる人には迷惑になるくらい苦悩を打ち明けている。
金銭事情的には、自分の頑張り次第で確実に導入は可能だと考えている。
ただ問題なのはやはり、先ほどの「モノには命が宿る」という気持ちだ。
2023年5月のGW、三重の友人の家でBMWのHPを見て、G310Rに一目惚れをした。
同月、資料請求と見学の名目でコヤマドライビングスクール二子玉川へ。その日に自動二輪免許教習を申し込み、費用は後日一括で支払った。
7月、友人の紹介でBMW Motorrad正規ディーラーへ。担当の営業さんが商談用の実車を用意してくれていた。
見たその日に私は印鑑を押していた。まだ免許を取りきれていないのにも関わらずだ。
どれだけ暑くても、卒業試験が天候の悪さで落とされようと必死に実習を頑張っていた。
教習所での卒業試験が終わると筆記試験の学習。
日本語の理不尽さに怒りを覚えながらも、珍しく暗記や内容の理解を猛スピードで進めていた。
どうにか楽をして受かろうといういつもの気持ちは、なぜかその時はなかったような気がしている。
忘れもしない10月16日。鮫洲試験場にて一発合格を果たした。9月に教習所を卒業してから約1ヶ月間勉強をしたことになる。
必ず落ちると思っていた。ただ落ちたらこの先もっと頑張らなければならないんだなと悲観してもいた。
中学も高校も専門も、何もかも楽に受かってきた自分が初めて必死になって取った資格。
文字通り心躍らせながら免許の発行を済ませ、全力でディーラーへ向かった。
すでに整備や登録などを終え保管状態にあったG310Rは「おせえよ!」とばかりにこちらを睨んでいるような気がした。
ただ、そんな怒りも消えるくらいようやく走れるという喜びの表情にも見えた。
これがG310Rに出会うまでの5ヶ月間の思い出。
そこからはインスタグラムにもあげている通り。
友人の父にミラーをプレゼントしてもらったり、納車当日に大雨に振られたり立ちゴケしたり。
クラッチレバーのネジが吹き飛んでレバーが落ちたり、友人彼女と一緒に洗車したりツーリングしたり。
高尾山、千葉、横浜、箱根、沼津、富士宮、長野...それはそれはいろんなところへ旅をした。
いつの間にか危うい思いを少しはしつつも立ちゴケはしなくなり、タンデムできるようにまでなった。
「そんなスピード出して大丈夫なの?」「うっせえ行くぞ!」
とG310Rは自分の心配や不安を吹き飛ばしてくれるような存在になっていた。
そんな日常が2026年7月(ローン完済月)まで最低続くと思っていた。
ーただし、思いは徐々に大型へと移り始めていた。
G310Rの兄貴分であるS1000Rの中古旧型が羨ましく思えてきたのだ。
バイク乗りの一つのゴールであろうリッターバイク。1000cc。なんて良い響きなんだ。
白地にスポーティーなトリコロールカラー。シャンパンゴールドのような上品な輝きを放つフレーム、エンジン、チェーン。
アクラポビッチと書かれたカーボンとステンレスのスポーツマフラー。
そりゃG310Rに一目惚れしていたら、デザイン元であるS1000Rは当然のように視野に入ってくると思っていた。
思ったよりも早くその時がきた。
ここで一旦現実を見てみると、S1000RはBMW Motorradの中でもかなりハイスペック。金額もかなり上乗せされてしまう。
下手をすればG310Rの3倍近い金額がかかった車両を扱うことになる。
「うん、それは今の私には難しいね。」と目標にはしつつも半分諦めムードだった。

ここで飛び込んできたもう一つのニュース。それは2025年版のF900シリーズの発表。
F900シリーズはG310Rからみてこういう立ち位置である。
- S1000R(M1000R)...長男
- F900R(XR)...次男 ←ココ
- G310R(GS)...三男
F900は今まで視野に入っていなかった。入れる気もなかった。
理由は簡潔に言うと以下である。
- エンジン... 個人的に次乗り換えるなら4気筒か伝統的な水平対向2気筒かなと決めかけていた
- 立ち位置... 900ccって、微妙では...?どうせなら1000ccとか1250ccとか思い切ったところに行きたくなっていた
- 音... 他の大型バイクに比べてだいぶ軽い音だと思っていた(公式サイトとかYouTubeを見て思った)
流石に乗らないであろうなと思っていたところに、そのニュースが流れてきた。
まあ、BMW Motorradのニュースは常々見ているし冷やかし程度に見てみると。
そこには見慣れつつも新しい、まるで私のG310Rがそのまま大きくなったかのような姿があった。
赤ホイール...!ゴールドの倒立フォーク...!
お前...お前まさかG310Rか...!?と本気で思ってしまっていた。
ブルー味が若干強いしメタリックかなと思いつつも、これは間違いなく2023年版G310R。
我が愛機のデザインを踏襲している。
そこからはまたお決まりの猛スピード。ディーラーにF900Rの実車を見に行った(25年版はまだ日本に来ていないので24年版)。
エンジンもかけさせてもらった。試乗はまだできなくとも確信してしまった。「私はF900Rに乗るんだな。」と。
少なくとも先ほどの候補に入れなかった理由はよくよくF900Rを知ることで全て吹き飛んだ。全部偏見だった。
担当者曰く「初めての大型なら間違いなくおすすめ」らしい。
S1000は開けたら捕まるし、水平対向はもっと経験を積んだ時までに取っておいた方が良いとのこと。
聞けば聞くほど、私が乗るにふさわしく思えてしまう。そして価格帯も新車をギリギリ買える程度に抑え込める。
クルーズコントロールとキーレスエントリーが付いていないことだけが残念だが、そんな文句も言ってられない。
なぜならこのデザインが全てを良い方向へ覆してくれるからだ。
G310Rに一目惚れをして、1年以上乗ってみてこの奇抜なデザインは大好きになった。
BMWらしく美しく、悪目立ちしない良さがある。
そしてF900Rに乗れば、大型に乗る一番の理由であるデジタルTFTモニターが付いてくる...!(そこ!?とよく言われる)
長々と語ってしまったがこうして大型に気持ちはシフトしていった。
だが最後に、悩みの種となってしまった担当営業さんの悪魔の囁き。
「G310Rを下取りに出せば、免許を取ればすぐに乗り換えできますよ。」
「何なら仮予約しちゃいましょうか。」
と言われてしまった。
G310Rは、最初に話した通り自分と一緒に成長していった大事な1台である。
初めて買ったし、いろんな状況を一緒に乗り越えている。免許取得を頑張れたのもこの子のおかげだ。
契約時ローンを残価設定型で組もうかと提案されつつも、3年払い切りにしたのはこの子を払い切るまでしっかり使いたかったからだ。
乗り換えたとしても、G310Rは自宅に展示するつもりだった。ディーラーに置いてあるみたいに。
ただし今の金銭事情ではすぐにそれは難しく、ダブルローンで大型に乗り換えることになる。
そしてもし期間をおいて払い切り、自宅に展示したとしても、乗らなければバイクというものは
どんどんいろんなところが悪くなり乗れなくなっていく。
それならいっそのこと他の人に大事に使ってもらえれば、、
と考えていたら、気づけば彼女とG310Rの前で号泣していた。
自分の欲望を全部叶えるなら、2台乗り分けるのが一番なのだろう。
ただし、そんなの富豪がやることである。維持費も駐車場代も車検費用も倍になる。
BMW Motorrad 2台持ちなんて、本当にバイクだけが好きな人がやるべきことだろう。
私には他にもやりたいことがある。これから出る新しいApple製品や、BMWの車の方にだって手を出してみたい。
(実は私のBMW人生の最終的なゴールは、父の乗っていた5シリーズを自分で所有すること。)
そこまでして、BMW Motorradに全力をかけられる度胸はないのが正直なところ。
当然ながら私生活の方も豊かにしていかなければならない。もう1人の人生ではないのだから。
幸いまだ時間はある。まず引越し費用を貯め切る。そこから自分で自由に使えるお金を貯める。
そこから初めて大型免許取得が始まるわけだ。(夏暑くなる前に取得したい気持ちはあるので分割にして早めるかもしれないが)
G310Rを売却することは、私とG310Rのお互いにとって良いことであり、避けられない道なのだろう。
だから受け入れるしかない。"成長したG310R"="F900R"を大事に使っていくことになるだろう。
私が複雑な思いを抱えていても、G310Rは今日も期待以上の走りをしてくれた。
だからひとまず今は、G310Rとの時間を大事に過ごすことに注力する。
ー
G310Rへ。
まだまだ君を快適にする術は残っているし、行きたい場所だってたくさんある。
1月中旬には、友人の納車でさらに乗る機会が増えるだろう。5月にはきっとバイク界の登竜門であるSSTRに参戦するだろう。
最初に言った通り君は絶対に新居に連れていくし、彼女のNinjaと一緒に走るミッションも控えている。
大型に乗るその日まで、単気筒とは思えないスポーティーな快音を鳴らしながら、
これからも君は公道を猛スピード(速度超過不可避)で駆け抜けるのだ。
私に"駆け抜ける歓び"を教えてくれたのは今もこれから先もG310R。君が最初なのだ。