1回目の人工授精が残念な結果になったのをきっかけに、赤ちゃんへの思いは加速していきました。
妊活に良いとされるサプリを飲んだり、食生活を変え、元々極度の冷え性だったのを改善するためにとにかく身体を温めて過ごしたり。
当時、矢沢心さんや東尾理子さんが不妊治療の体験談を雑誌でよくお話ししていて、その記事を読んで励まされていました。
しかし、2回、3回と人工授精を繰り返しても全く妊娠反応は現れません。
通常、人工授精は6回目までに妊娠が叶わなければ、その方法での妊娠は難しいとされています。
毎月の判定日が来る事に、不安はどんどん大きくなっていきます。
このまま人工授精でも赤ちゃんがやってこなかったら、どうなるんだろ…
体外受精?まさか自分がそこまで高度な治療をするとは思っていなかったけど、どんどんと現実のものになっていきます。
そして、いよいよ分かれ目とされる6回目の人工授精の当日。
いつもと同じように夫に自分で精液を取ってもらい、温めながら病院へ。
受付で精液を渡し、洗浄を待っていると先生に呼ばれました。
今日は早いなーと思って診察室に入ると、先生が神妙な面持ちでこう言いました。
旦那さんの精液、量がかなり少なくて。人工授精に使用できる最低ラインぎりぎり。運動率もかなり低くて、今日がたまたまなのか分からないけど、今後も人工授精を続けたいと思ったら厳しいかもしれない。
ひとまず今日はこれを使うね。
人工授精も難しい…??まさか体外受精?でも夫がこの状態でも出来るの??
大きな不安の中での6回目の人工授精は、やはり妊娠することは出来ませんでした。
そして、知らず知らずに抱えていた大きな不安や焦りが身体に現れ、翌月から排卵が止まってしまいました。
夫も私も赤ちゃんがやってこれるような身体の状態ではなくなってしまい、一度治療を中断することに。
不妊治療において、治療を一時的に中断するというのはとても決意がいるものです。
一刻も早く赤ちゃんを授かりたいと願う夫婦にとって、ひと月ひと月がとても重要なのです。
先生から、
治療は中断するけども夫婦生活は好きなようにしていいからね!案外そういうリラックス状態の方が自然妊娠したりするからさ!
と言われましたが、もちろん私たちにはその選択肢はないので、なんの期待もないまま数ヶ月を過ごしました。