ちょうど、芸術に対する姿勢というものに疑問を抱き始めたころだった。


なにかと共通項のある写真家・河野幸人さんの個展に招かれたのは。


http://yukihitokono.com/




現代美術、特に抽象的な表現を芸術と呼ぶのは私にとっては理解不能で、


独創的という免罪符のもと自然の摂理を捻じ曲げて“表現”したものに大金を払う人の気が知れなかったし、


まるで我こそが選ばれし者だと言わんばかりの振る舞いをする(ように見える)自称芸術家を同じ人類とは思いたくなかった。




写実こそが究極の美だと思っていたし、


伝統を守り抜くことこそが最古の国の住民である我々のすべきことだと信じて疑わなかった。



その芯の部分は今でも変わらないが、


少しずつ、軟化してきた部分はある。



というより、わからなくなってきていたのだ。




写実を極めるほど写実ではなくなっていく


との芸術家の弁が耳に入ってきたり



華美な仏教美術に素朴なそれと同等もしくはそれ以上の功徳を期待することこそ人心の性だ


なんていう自らの声が聞こえてきたりもしたから。





さらに、



たとえば私は、動物が好きだからこそ動物を飼うことができない。



同じように、いくら売り物とはいえ、元来どこかの野原で陽光をからだいっぱいに浴びて伸びやかに咲いていたかったであろう花を手に入れて、密閉された空間で少数の人間が数日間愛でるだけ、というのはいかがなものか



総合芸術と言われる茶道を含め、ちょっと囓った段階にかぎってしたり顔で弁舌流るる連中には辟易する



そんな思考で雁字搦めになってきた頃だったのだ。





ある瞬間の現実を切り取った、


それこそ写実そのものであらん写真と


そういったものたちを並べ立てるのは筋違いかもしれない。




それでも私は一緒くたにしてしまっていたのだ、


あのアトリエに行くまでは。






テーマ『soliloquy』(独白)と実際の展示物との乖離にはじめは拍子抜けした心持ちだったが、


一晩中でも語れるといった様子の彼の思いを聞けば聞くほど、


その様子がまるで自分の姿のようで、


可笑しくもあり、


微笑ましくもあり、


涙が出そうになったのをなんとか堪えた。




そして彼は、写真家であるにもかかわらず、表現の方法は彼自身にとっても


「写真じゃなくてもいい」


と語った。




この言葉だけを切り取れば、


あのアトリエのあの雰囲気と彼の語り口とを未体験の人からは誤解必至かもしれない。



が、



私はその言葉を聞けただけでも行ってよかったと、心からそう思った。





芸術家である前に、


畏怖の念がある。



人間であるからこそ、


謙虚さが土台にある。




それさえ失わないのなら


お前はお前の道を行け。






そんな、私自身の奥底に生来たしかに存在していたけれども蓋をしていただけの



こたえ



を、



ポンと目の前に


それこそ一枚の写真で贈られた気がした。



 (こちらは手ぶらで伺って申し訳ないことをした)






それから、



おそらく本気で沈思と深慮を重ね、時には深く葛藤もした上に今回の展示があったのだろうが、


私の見たそれは“良い加減”に力が抜けていた。




故きを遺し新しきを加えたアトリエの雰囲気も


我が家のそれとなんとなく重なって、


他の来訪者がいなければいつまでも居たいと思った。





だから私も“本気”だけれども気負わない、


一種のお礼状を


今こうして書くことができている。








私自身の得心の具象については違う文体の別の記事に委ねることにして。





ある初夏の昼下がり、


あのアトリエと本物の芸術家に


背中を押してもらった女がいる。





これだけは真実である。






 
{43A5809C-C9F7-4DB2-89E8-766A0B18B8CA}

{E58607DD-F09F-4E1C-9DA8-EBAA68FE8038}

{8F4CD8DD-DE81-48CA-AEB3-277D9FD21C14}

{488E9FD8-F4A4-450A-A1F8-A4C3137D6850}

{81856699-CB82-47A7-8E2F-D9C2C830320F}

{44B1923E-6B0A-48E8-B0AC-E1CDDC82A8DA}

{7E84ED56-0CC3-46F8-BC38-058C39868368}

{045A4A03-5A9D-438A-B3CB-213C858795EA}





{AF2324A2-A268-4B41-A2DA-CCE1EF665989}

{DC16C1F2-F330-43E5-8909-47502E85BF61}













ではまた次回、
ごきげんよう





 
↓ふじこ って何者?の こたえ。↓


 
 
 
自称ケータイ写真家、Instagramも公開中
 
 


 
↓応援よろしくお願いします↓
 
 

↓アメーバ会員のみなさま、こちらもよろしくであります↓ 

読者登録してね