みなさま、こんにちは。

ふじこです。
 
 
お彼岸のお中日も過ぎ、
お墓参りをしてご先祖や亡くなったご家族に思いを馳せておられる方も多いことと思います。
 
改めて、親御さんやご家族への感謝の思いをかみしめている方もいらっしゃることでしょう。
 
 
私も、発病そして闘病を通じて、
その思いをより一層強くしました。
 
 
忘れもしない平成27年2月某日、
医師からの
「悪性のものが見つかったので…」
との言葉。
 
頭が真っ白になりました。
 
自然と身体が震えました。
 
なんとか声を振り絞って、
「がん、ということですか?」
と尋ねました。
 
医師はコクリと頷きました。
 
その後、さらに詳しい検査をしますので云々という説明を
半ば上の空で聞きながら、
書類を受け取って、
診察室を出ました。
 
すぐに母に電話をしました。
 
同じ病院で働く母はすぐに飛んできてくれ、
「大丈夫か?」
と、
まだわけもよくわかっていない私を、
文字通り支えてくれました。
 
 
その後、いくつも検査を受け、
入院と手術の日があっという間に決まりました。
 
 
そうこうしているうちに、
自分ががんになってしまったというショックはもちろんありながらも、
ふつふつと湧き上がってきた感情、
 
それは、
 
母に、父に、祖父母に、先祖に、
申し訳ないという気持ちでした。
 
せっかく五体満足に産んでくれたのに。
 
私がもう少し気をつけていれば、
もっと早くに病院に行っていれば、
片胸を失うことなんてなかったかもしれないのに。
 
人として、子孫を遺すということもまだ成し得ていないのに。
 
なんの孝行もしないまま、親より先に逝くという大不孝をしてしまうんだろうか。
 
 
そして、まだ見ぬ家族への申し訳なさ。
 
将来子どもが生まれた時に、充分に栄養を与え、ちゃんと育てることはできるんだろうか。
 
母親が片胸だということで、子どもがいじめられやしないだろうか。
 
 
私はたまらなくなって、
母に思っていることすべてを打ち明けました。
 
母は、怒るでも嘆くでもなく、
すべてを受け入れて、
穏やかにこう言ってくれました。
 
「どんな身体でもあなたの身体なんだから、大事にしなさい」
 
 
その後も、ことあるごとに
「大丈夫、大丈夫。」
「ぜったい大丈夫やからね!」
「わかったときが治るときなんやから」
と気丈に励まし続けてくれました。
 
母も、子ががんになるというこの上ないショックを嘆き悲しんでいただろうに。
 
我が家は現在、母と私との二人暮らし。
いくら一人の時間が好きな母とはいえ、不安に押しつぶされそうな瞬間は幾度となくあったことと思います。
 
あとから親友に聞いた話では、
私のいないところで
「なんであの子が…代わってあげたい」
と何度も何度も言いながら泣いていたそうです。
 
そして、これも後から聞いたのですが、
私の病気がわかってから治療がひと段落するまでの間、
母は毎晩、夜中参りをしてくれていたそうです。
 
代々、我が家は信仰心の厚い家で、
狭い家の割にはひときわ大きな神棚と仏壇が家の中央に鎮座しています。
 
曾祖父も、曾祖母が病気になり寝込んでいたときに夜中にこっそり家を抜け出して、
暗い山道を灯りも持たずに片道何時間もかけてよじ登り、
霊験あらたかな地へ毎晩お参りに行っていたそうです。
しかも、「夜中」参りが成立するように、ずっと小走りで。
ゆっくりしていると夜が明けてしまうからです。
 
毎夜出かける曾祖父に気付いた曾祖母は、
どうして私の具合が悪い時に、と責めたそうですが、
曾祖父はなんの反論もしませんでした。
夜中参りは人に知られてはご利益がないからです。
 
曾祖母が回復してから、すべてを伝えた曾祖父。
曾祖母は泣いて詫びながら、心から感謝をしたそうです。
 
その魂が、母にも宿っていて、
我が家の神棚仏壇だけでなく、
氏神様の神社と我が家の信仰するお宮さん
そして先祖が眠る菩提寺へも
自然と手を合わせてくれている。
寒い日でも、暑い日でも、
雨の日でも、風の日でも。
 
 
そして将来、もし家族になにか困ったことがあれば同じようにしてあげてほしいと、我が家の”秘儀”ともいえるものを伝えてくれた母の気持ち。
 
私は、
母の子であること
この家に天から遣わしてもらえたこと
それを自ら受け入れ、望んでこの家に生まれてきたこと
 
それらすべてに、万感の思いで、
 
ありがとう
 
何度も言わずにはいられませんでした。
 
 
それからずっと考えています。
 
どうやってこのご恩を返したらよいのだろう、と。
 
未だにはっきりとした答えは出ません。
 
 
でも、あらゆる治療を乗り越えてきて、
こうして生きている今なら、思えます。
 
 
毎日を元気に過ごすことが、
一番の孝行なのではないか、と。
 
 
そして、
母や先祖の思いを
神仏の教えを
今度は自分が実践して
子や孫に伝えていくことで
ご恩に報いることができるのではないかと。
 
 
いま、改めて、
我が家の教えと思いを後世に伝えていくこと
祭祀を受け継ぎ、守っていくこと
そのためにも誰よりも長生きすること
 
それを心に誓っています。
 
 
 
平成二十八年春のお彼岸に寄せて
 
 
 
 
ではまた次回。
 
 
ごきげんよう。
 
 
 
 

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