推しごとと階段を考える | 南風 オハヨウ

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アイドル、鉄道の旅、そして・・・

このブログでも書いてきましたが、

私は5月27日から7月9日まで、

約1ヵ月半入院していました。

病気の性質上、

あまりむやみに

動かないようにされていたので、

退院近くでも病室と同じフロアの

シャワー室や自販機のところへ

歩いていくのが精々で、

フロアの違う検査室などへは

半ば強制的に車椅子に乗せられて

移動していました。

またそういう事情で

入院中のリハビリも全くなし。

 

そんな状態で退院して

外の世界に放り出されたのですが、

想像以上に脚の筋力が弱っていました。

 

水平に歩いている分には、

しんどいけど進めることは進めます。

ただしゆっくりと。

退院直後は所要時間が

5割増しぐらいかかっていました。

 

問題は階段を上るというか、

段を上がるという行為が

退院直後は本当にできなかったこと。

脚に全く力が入らず、

体を上げられないんです。

1段の段差を上るのも大変。


退院して最初に段を上がる場面は、

病院からバスに乗るときでしたが、

何気にステップを上がろうとしたら

上がれずにこけました。

これには愕然としましたね。

結局手すりをつかんで腕の力で

にじり上がるしかないという。

まだ腕の筋肉は

それほど落ちてなくてよかった。

 

それからしばらくは、

駅など階段の多いところは恐怖です。

エスカレーターやエレベーターを

探すのですが、

わかりにくいところに設置してあったり、

それに乗るために

結構な距離を歩かなくてはならなかったり、

後付けで設置した古い路線の駅ほど

利用しにくかったりします。

東京メトロの銀座線は

特にわかりにくくて、

出口によっては階段しかない所も。

 

こういう身体になって

初めてわかることでした。

 

それでも私の場合は、

一時的な筋肉の衰えによるものですから、

鍛えれば元へと戻ります。

退院から1ヶ月、

まだ階段を昇るのは大変ですが、

ワンフロア程度ならば、

ゆっくり上れば手すりに頼らずとも

上れるようになってきました。

少しずつですが確実に前進しています。



なんでこんなことを

書いているかというと、

推しごとをやっていると

階段は避けられないからです。

待機列が階段に作られることって

多いですよね。

あるいは開店直後の誘導に

一般客と分離するために

階段が使われることも多いです。


先日の仙台EBeanSでの

チームしゃちほこのフリーライブでも、

開店前の待機列は2階の入口から

接続するデッキに形成され、

開店時間とともに

階段を使って誘導されます。

この日は10階の屋上が

優先入場券配布とCD予約販売箇所なので、

そこまで一気に行きます。


まあ建物の構造上、

最初の階段が4階までで、

そこからテラスと店内を通り、

別の階段に移って10階までという

ルートとなるため、

本当の意味で一気に上がるのは

4階から10階までですが、

それでも6フロアありますね。


私はどうしようか迷いましたが、

何とか上れそうだったので、

後ろの人に事情を説明して、

少し遅れるかもしれないけど

よろしくと話して

自力で上ることとしました。

7〜8階でちょっと後悔しましたが、

何とか大きく列を乱す前に

屋上に到達できてホッとしました。




スタッフさんがいるので、

これこれこうと相談して

エスカレーターやエレベーターで

誘導してもらうことは可能だと思います。

現にやったこともあります。

だけどなかなか声を

掛けにくいんですよね。

車椅子に乗ってたり、

松葉杖をついていたりしたら、

見掛けでわかるのでまだいいのですが、

私の場合、見掛けは普通の人と

何ら変わらないので、

いちいち事情を

説明しなくてはならないのと、

そういう特別な扱いを受けた時に

周りの目が気になるという点で

躊躇ってしまいます。

なので先日は

少し無理をしてしまったのですが、

私の場合、快復傾向にあったからこそ

多少の無理ができたわけで、

そうでない人であれば、

10階まで上ることを考えたところで

優先入場券は諦めて、

そのことで行くことも

断念するかもしれません。


というか、そういう人のツイートを

実際目にしたので、

この記事を書いているのですが。


ここに貼り付けるのはやめておきますが、

先天性の疾患のために

EBeanSの5階までならば

何とか上れるけど、

7階、8階となるととても無理だという方。

見掛けではわからない方ですね。


さらに運営に相談して

別ルートで誘導されたご夫婦が

ズルをしたと叩かれたと聞いて

さらに躊躇されているということです。


どちらかというと図々しくて、

スタッフにもずけずけと文句を言う私も

こういう場合に躊躇するのですからね。

その気持ちがとても良くわかります。

勇気を持ってスタッフに

相談してみて欲しい。

そして楽しむのを諦めないで欲しい。

そう思い、リプをしました。



で、ちょっと皆さんにお願いがあります。

このように見掛けではわからないけど、

階段などが困難な人がいます。

普通にいます。

頑張れば上れるわけじゃないです。

無理をすると身体にかかわります。

そういう人が一定数いることを

理解してください。

何らかの特別扱いを受けてる人を見たら、

そういう人なんだと思ってください。

その程度の想像力を持ってくださいね。


ひょっとしたら、

そういうのを利用してズルしてるかも。

そういう想像力は要りません。

テーマパークなど不特定多数の人が

集まる場所ならわかりません。

しかし、アイドルの現場は、

あなたと同じグループを推している

仲間の集まりです。

基本、そんな人はいません。

たとえいたとしても、

その人は長くそこにはいられません。

それでいいじゃないですか。

ぜひそう考えてください。

そのことで行きやすくなる人が

出てくるのであれば。


わかっていただけるでしょうか?

お願いします。





でもね、問題の本質は、

そこじゃないんですよね。

勇気を持って話さなきゃならないことが、

そもそもおかしい気がします。

どんな人でも楽しめる現場。

そうあるべきなのに

現実は程遠いですよね。


程遠いどころか、

長時間過酷な環境の場所に並ばせて

平然としている現場すらある。

健常で屈強な若者でも参ってしまう。

そこに大きな問題があるように思います。



逆に言えば、

そこのところがキチンとして、

どんな人でも変な遠慮なく

心から楽しみに行ける現場を実現すれば、

それだけで大きな差別化となるということ。

ホスピタリティについては、

他業種にいくらでも学ぶことができます。


こんな簡単なことなのに

どこの運営も気付いてない風なのは

どうしてかな。