こう言うのも今やさわりがある気もするのだが、一応は、僕は旅のプロの端くれである。もう30年以上も旅に関わってきていて、暇さえあれば、宿やら飯屋やら寝る間を惜しんで調べてきているのである。

 

で、2月末に発刊する予定の(間に合うのか不安)『ファーストクラス民宿』の宿探しを、もう半年以上もしているわけだ。

すでに500軒以上の民宿の口コミをすべて読んだり、HPを検証したりしてきて、実際に取材に行って外したのは皆無である。何しろその中から選んだのが36軒だから。

 

だが、今回初めて取材前の電話確認で大はずしにあった。

最初に電話した段階で「今はネットの時代だからねえ(紙の本は不要と言うことである)」から始まって、「とにかくネットでうちの宿をしっかり見て(もうすでに見まくっていますって)、それから、メールで連絡をちょうだいよ。その方が話が早いから」と言うのである。

 

しかし、どのページを見てもメールアドレスがないので、再度電話で話を聞くと、「www」から始まるアドレスを言い出した。それはHPのアドレスではないでしょうか? と言ったが、とにかくメールをよこせの一点張り。面倒なので、この宿は取り上げないことにした。

 

このような宿が「オーベルジュ」を名乗って、口コミが4点台なのが納得がいかない。いずれにしても、過去の長い経験から、このような宿を紹介すると確実にクレームにつながるわけだ。

それは僕も本意ではないので、取材に行かずして紹介は取りやめるということである。口コミの点数なんかまるで信用していない身にとっては、まあアリなんだろうな、という感じである。口コミ4点台というのもかなり怪しい。ま、どうでもいいけども。

 

民宿というのは、施設はさほど充実していないけれども、掃除が行き届いていて不潔感がなく、風呂も小さいけれども清潔で、飯がすごく旨くてホスピタリティが素晴らしい、というのが最上のはずである。無論、宿泊費が格安であることは言うまでもない。

 

その中で最も僕が重要視するのは「旨い飯」と「清潔感」と、他ならぬ「ホスピタリティ」、つまり「おもてなしの心」である。前述の宿には、こうしたおもてなしの心が感じられなかった。なので、紹介物件から外したわけである。

 

お金を支払うお客にはいい顔をして、という宿は、ろくなおもてなしができないと思う。何しろ『ファーストクラス民宿』なんで、候補になる宿も大人気である。今更紹介されなくてもいいんだろうという気もする。でも、きちんとした民宿はきちんとした対応をしてくれて、断る時にも「うちはもう、手一杯なので、今回はいいかなぁ」と言って「申し訳ないです」とまで言ってくれる。

 

本当はこういう民宿を紹介したいのだが、拒否されたらどうにもならない。ま、僕が個人的に楽しみに行くまでである。覆面取材を兼ねて泊まって、マジで素晴らしかったら、公式メルマガでご紹介したい。これ、真面目に考えている。どうぞお楽しみに!