毎日暑い。そこで少しひんやりした体験をちょっと。。。

 

もう二十年以上前のこと。京都の取材で伏見稲荷大社の宿坊に宿泊した。門限は八時だと言われたのに、京都の知人と夜九時まで先斗町で飲んで、大急ぎでタクシーで宿坊に戻り、程なく僕は眠りに落ちた。

 

このときの部屋は、20畳くらいある大部屋で、泊まっているのは僕一人。どこに寝ようか、と悩んだ挙句、寝る時に電灯の紐を引っ張って消しやすいからと、ど真ん中の灯りの下に布団を敷いたわけであるのだが、酔いもあって明かりをつけたまま寝てしまった。

 

で、真夜中に何か人の気配がして目覚めると、枕元に3人の男が立っていて、浴衣の裾が揺れているのが見えたのである。

ただ、灯りをつけていたので、僕を覗き込んでいる男たちの顔が逆光になって見えず、何か話をしている気配だった。幸い殺気はなかったのだが、金縛りにあって僕は全く動けなかった。

 

急いで目を閉じ、心の中で「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」と的外れな早九字を唱え続けていたら、そのまままた眠ってしまった。翌朝は何事もなく、かなり快調な目覚めであった。

 

朝、出発する際に、「昨日は他に泊まっている方は居ましたか?」と聞いてみたが、もちろん誰も居なくて僕だけとのことだった。

 

まったく不思議な体験だが、夢にしてはあまりにもリアルな経験で、マジでビビって、お稲荷さんに一生懸命拝んできたことを思い出す。

やっぱり、酒飲んで門限破りというのは、宿坊に泊まる資格なし、ということで、ちょっと脅かしてやれ、と参上なさったのかもしれないなあ、とも思う。

 

教訓。宿坊は門限を守るべし。(当然だけど)。