バレエスタジオにはオープンクラス制のスタジオがあります。

 

 私は20代の頃、当時六本木にあった『スタジオ1番街』という日本で初めての、その当時唯一のオープンクラス制のスタジオに通っていました。1990年代のことです。

 

バレエ、ジャズ、モダン、タップ、ボーカルのクラスが毎日朝から晩までギッシリあり、劇団四季の役者さんや、バレエ団の現役ダンサーもクラスを受けていて、たまたま同じクラスだとドキドキしながら、スタジオ主催者の小川亜矢子先生のバレエクラスと、恩師木佐貫邦子先生のモダンクラスを受けていました。小川亜矢子先生はロンドン・ロイヤルバレエスクールに日本人として初めて留学された後にニューヨーク・メトロポリタンオペラバレエ団でご活躍された先生です。本当にオーラがおありで雲の上の人のようでした。いつでも背中をピンとのばして大きな声で妥協なく本気のレッスンをしてくださいました。

 

 スタジオでおこなわれる定期公演「Sundayパフォーマンス」では、小川亜矢子先生の新作を先生と講師の先生方踊られ、それがなんと隔月で定期的に行われるのですから、ものすごいペースで新作が生まれるのです。

 

 Sundayパフォーマンスで踊ることは当時本当に憧れで夢のようなことで、木佐貫邦子先生の作品ではじめてSundayパフォーマンスに出られたときのことは忘れられません。その後木佐貫邦子先生のグループneoのメンバーになり、先生の作品で数々の劇場で踊る機会をいただきました。

 

 オープンクラス制は当時「レベル、年齢にかかわらずプロフェッショナルなクラスをプロフェッショナルな人と一緒に受けられる」それまでなかったシステムでした。

 今ではオープンクラス制のスタジオは珍しくなくなりましたが、ずいぶんと様子がかわったようです。

 

 

10年前にジュニアの生徒さんがロンドンの舞台で踊らせていただいた時、コベントガーデンにあるオープンクラス「パイナップル」に二人でレッスンに行きました。旅先ではオープンクラスは本当に便利です。誰でも単発で参加できます。予約なしで突然いってレッスンが受けられます。 クラス数も多く講師の数も多く、パドゥドゥクラスなどクラス内容もバラエティー豊かで魅力的です。 ただし講師の先生よってメソッドや教え方は違ってきます。入会金制度がなければそれだけ生徒さんはいろいろな方が混在します。

 

 (スタジオ一番街ではオープンクラス制でも身分証明書を提出した上で入会手続きをしてメンバーカードを作っていただいて受講していました)

 

 その日のクラスに誰がくるのかわからないわけですから、レッスン内容やレベルは一般的なものになり指導は全体への注意のみで個人への指導はありません。オープンクラスを受ける場合はその点を理解した上で受けられるのがよいでしょう。

 

 もしも一からバレエを習いたい場合は、よほど自分で研究しない限り基礎を学ぶのは難しいと思います。知識を得られないまま、見よう見まねでついていくしかなくなります。

 

 毎回集まる人が違うとレベルも練習量もそれぞれ違うので、レッスンレベルが日によって簡単または難しいということもおこるようです。

 

 バレエは体系的に練習することで上達します。アテールでルティレができるようになる前にピルエットを回ろうと努力することは、足し算引き算ができる前に因数分解を解こうとすることに近いのです。