目次
「エンシェントブルー」の概要
「エンシェントブルー」の特徴
本作の独自ルール
構成の制限と考察(ソロ)
構成の制限と考察(3人)
卓のメンバー構成
攻略に有利な種族
「エンシェントブルー」の概要
2023年4月に発売されたキャンペーンシナリオです。
当初、3人で立卓しましたが、現在4人です。
シナリオ紹介文より抜粋↓
七王群島を股に掛ける冒険へ! GMレス&ソロプレイ可能な最新シナリオ!
『SW2.5』シリーズに最新のストーリー型サプリメントが登場!
古の魔法王たちの伝説の遺る「七王群島」を舞台に、
邪悪なる神の陰謀に立ち向かう海洋冒険譚が始まる!
・プレイ人数:1人、または2人以上(GMレスでのプレイ可)
2人以上で遊ぶ場合、3~4人を推奨します。
・本書は、作成したばかりのキャラクターでプレイ可能なシナリオです。
・本書は、『ソード・ワールド2.5』を遊ぶためのキャンペーンシナリオです。
本書を遊ぶには『ソード・ワールド2.5 ルールブックI』『同II』『同III』、サプリメント『モンストラスロア』が必要です。
サプリメント『エピックトレジャリー』『メイガスアーツ』『バトルマスタリー』があると、より幅広い遊び方を楽しめます。
2人以上で遊ぶなら、3人がベストだと思います。
現在、キャラクターは4回成長、9000経験点で冒険者レベル4です。
一度、この段階で感想を書いてみたいと思います。
事前に感想を検索したところ、複数人数の卓でクリアまで100時間ほど、という情報が得られました。
本作の独自ルール等の記載が散らばっていて、調べるのが大変なことなどから、備忘録を兼ねてまとめたいと思います。
以下、ストーリーのネタバレを含まない、本シナリオの特徴や戦略に関する考察です。
「エンシェントブルー」の特徴
「グリフォンロード」と比較
「エンシェントブルー」キャンペーン卓を始める前、公式キャンペーンシナリオ「グリフォンロード」を3人でクリアしました。
「グリフォンロード」は全12話構成で、プレイ時間は約40時間でした。
No.1 スプリガンの戦士
ファイター、スカウト、ドルイド、アルケミスト
No.2 リカントの軽戦士
フェンサー、スカウト、エンハンサー、アルケミスト
No.3 エルフの妖精使い
ファイター、スカウト、セージ
この2つの公式キャンペーンの特徴は、ある意味、対照的に思われます。
「グリフォンロード」
・ストーリー重視型
・一本道系
・最近のTRPG
・独自ルール「プラトーン」
「エンシェントブルー」
・探索重視型
・オープンワールド系
・昔ながらのソード・ワールド
・独自ルール「スイッチ」
「グリフォンロード」は、重厚なストーリーが中心のシナリオで、NPCの描写に力が入っています。
このようなタイプのシナリオを、最近の流行のTRPGと呼ぶ人もいます。
マーダーミステリーの流行の影響もあって、近年TRPGを始めた人の中では、エモ重視、ストーリー重視系のシナリオの人気が高いようです。
※筆者もこちらのタイプです
「エンシェントブルー」は、重厚なシナリオはなく、ランダムに生成されるマップを探索することが主要な目的となっています。
構成は、むしろsw2.0のサプリメントに近いという話もあります。
筆者が「エンシェントブルー」を高く評価している点は、独自ルール「スイッチ」の存在です。
独自ルール「スイッチ」
筆者がもっとも気に入っている要素の「スイッチ」についてです。
「エンシェントブルー」の特異な点は「1人で2人のPCを作成し、切り替えながら冒険する」ことです。
「スイッチ」は、戦闘の手番中に1回可能です。主動作の前後は問いません。
そのため、経験者も初期作成から考えることは多く、楽しめるはずです。キャラクター作成では役割分担が重要です。
呼称は異なりますが、「スイッチ」以外の方法でPCを交代することは可能です。
2PCの制限
ただし、2人のPCを作成する上でいくつか制約がある点に注意が必要です。
基本的に、同一PLのPCは、同じ技能を習得することができません。
また、PLが2人以下や4人以上の場合はそれぞれ一部の条件が緩和および追加されます。
また、一方のPCがアクティブバディ、もう一方のPCがリザーブバディ(控え)となります。
原則的に、ある判定を試みることができるのは片方のPC(アクティブバディ)のみです。
非戦闘時は、アクティブバディを任意のタイミングで決定できます。
戦闘時は、まず戦闘準備タイミングで、どちらのPCをアクティブバディにするか選択します。
魔物知識判定、先制判定は同一のPCが行います。
戦闘中は「スイッチ」および「身代わり」の効果で、アクティブとリザーブを交代できます。
「スイッチ」を行うと新たなアクティブバディは自軍後方エリアから出現します。「身代わり」で交代する場合は、同一エリアから出現します。
本作の独自ルール
最大の特徴「スイッチ」に加えて、ルールブックには掲載されていない、いくつかのルールがあります。
疲労点
「グリフォンロード」など他の作品と同様、疲労点が「エンシェントブルー」にも導入されています。
疲労点が蓄積すると、HPまたはMP最大値のいずれかから選んで減少させます。グラスランナーは必ずHPを減少させます。
「グリフォンロード」は睡眠で無条件に回復しますが「エンシェントブルー」は宿泊が必要です。これは、船旅の睡眠では回復しないことを意味します。
「宿泊」以外にも、一例として「温泉」で回復させることが可能です。
チャレンジ
冒険中の依頼や戦闘以外にも、「チャレンジ」に成功することで、お金や経験点を得ることができます。
これも「グリフォンロード」など他の作品に見られるシステムです。
目標値を要求するチャレンジと自動成功のチャレンジがあります。また、一部のチャレンジは疲労点が蓄積します。
その他、ダメージを与えるチャレンジの場合、バフは自身に影響を与えるもののみ有効です。
逃亡判定
sw2.0に存在した判定で、sw2.5のルールブックからは削除されていますが、本作では復活しています。
⋯ネタバレ防止のため明言は避けますが、これがないと序盤から早々に詰む可能性があります。もちろん、運が悪かった場合の話です。
遭遇した「最大の魔物レベル+2d(一括)」を目標値に「冒険者レベル+敏捷度ボーナス」を基準値として判定を行います。
成功すればダメージを受けることなく逃亡できます。
失敗すれば「威力20(C⑩)+最大の魔物レベル」点の確定ダメージを受けます。
この判定は全PCが行わなければなりませんが、一体のPCを庇護しながら逃亡を試みることが可能です。
このとき、庇護を行うPCは判定に-2のペナルティ修正を受けます。
庇護されるPCはダメージを受けませんが、逃亡判定を試みて気絶したら、庇護されているPCもろとも「行方不明」となります。
逃亡判定が設定されていることを良心的と捉えるか、そもそも逃亡判定が必要になるようなシナリオ設計が悪いと捉えるかは自由です。
なお、罠回避判定をsw2.0の表記である「罠感知判定」と記載している箇所があるなど、総じて昔ながらのswを想起させる仕上がりとなっています。
★を集める(成長のルール)
依頼を達成したり、一部の未到達の海域に到着したりすると、★を獲得します。
★を一定数集めて「拠点」に帰還すると、成長を行うことができます。これがセッションの区切りのようなものです。
必要な★の数は「ALv+2」です。ALv(平均レベル)は端数切り上げです。
ALvの計算方法が端数切り上げのため、筆者の卓では、なるべくタイミングを合わせて全員でレベルを上げるようにしています。
あくまで平均レベルなので、2人のPCのレベルが3と5で平均4になるような配分はOKです。
次に、ソロ攻略時と3人攻略時の構成例について、考察したいと思います。
構成の制限と考察(ソロ)
ソロプレイの場合は、初期作成時の経験点が4500点に増加します。
また、2人以下なら、その他系技能に限って重複が許可されます。
以上を踏まえて、構成例を考察してみました。
※ルールブックⅠ~Ⅲ+モンストラスロア
PC1:リルドラケンの神官戦士
・ファイター
・プリースト
・レンジャー、エンハンサー、アルケミスト
PC2:エルフの妖精使い
・フェアリーテイマー
・スカウト、セージ
PL人数が少ないなら、魔物の数も少なくなります。
したがって、後述の3人のケースとは対照的に、範囲を効率よく攻撃する手段の重要度は、さほど高くないと考えられます。
したがって、スカウトやセージを担当するPCと、単体攻撃に特化したPCを作ることになるでしょう。
少なくとも一方は、防護点を確保できるような構成が望ましいと考えられます。
その典型例はファイターでしょう。
基本的に、リザーブPCはアクティブPCを回復することができないため、両者とも自己回復できる構成が便利です。
ソロプレイなら、1PCあたりの基礎報酬が3人と比べると3倍になるため、アルケミストを早期習得し【ヒールスプレー】で回復する構成も一案かもしれません。
たとえば、最初の依頼はパーティ3000Gで受注します。3人ならPCあたりの報酬は500Gと、初期作成のキャラクターとしては標準的な報酬ですが、ソロ攻略時には1500Gに増加します。
一方で、4人攻略時は375Gに減少し、所持金の少なさや、1エリアの魔物の密集度合いなどから、いずれ魔法による範囲攻撃が有利なバランスとなります。
構成の制限と考察(3人)
恐らく、PL3人が戦闘や報酬において、一番バランスの取れている人数です。
基本戦闘では特に、人数が多いほど「対象:1エリア」や「形状:貫通」の魔法や遠隔攻撃が強力な攻撃手段です。
戦闘において単体攻撃と範囲攻撃のバランスが取れているのは、3人ではないでしょうか。
以下は、机上で考えた構成例です。
※ルールブックⅠ~Ⅲ+モンストラスロア
PC1-1:ドワーフの戦士
・ファイター
・レンジャー、エンハンサー、アルケミスト
PC1-2:人間の魔術師
・ソーサラー
・スカウト、セージ
PC2-1:ナイトメアの魔法戦士
・ファイター
・コンジャラー
・エンハンサー、アルケミスト
PC2-2:エルフの妖精使い
・フェアリーテイマー
・スカウト、セージ
PC3-1:リルドラケンの神官戦士
・ファイター
・プリースト
・エンハンサー、アルケミスト
PC3-2:ティエンスの森羅導師
・ドルイド
・スカウト、セージ
PC全員が行うと指示がある(逃亡判定等)場合を除くと「能動的な判定は、片方のPCを選んで行う」という制約があります。
たとえば、探索判定は片方のPCを選んで判定します。基本的には、スカウトを習得しているPCを選択すると思います。
読み返すまで勘違いしていたのですが、片方のPCしか行えないのは「判定」と書かれているため、行為判定に属さない行動、たとえば薬草による回復はリザーブがアクティブを回復するようなことも可能ということです。
したがって、レンジャーはパーティに1人いるなら十分かもしれません。
「物理ダメージを受ける」といったチャレンジが頻出するのですが、これらは自動成功で、しかも疲労点が溜まらないため、重宝します。
このチャレンジがある関係でファイターが使いやすいです。
スカウト、セージは非戦闘時の判定で重要なため、PL単位で全員習得しているとベストです。
卓のメンバー構成
筆者の卓のPCです。
PC1-1:ドワーフの戦士
・ファイター
・レンジャー、エンハンサー、アルケミスト
PC1-2:エルフの妖精使い
・フェアリーテイマー
・スカウト、セージ
PC2-1:ラミアの戦士
・ファイター
・レンジャー
PC2-2:ラミアの拳闘士
・グラップラー
・スカウト
PC3-1:エルフの神官
・プリースト(キルヒア†)
・スカウト、セージ
PC3-2:タビットの妖精使い
・フェアリーテイマー、ドルイド
PC4-1:フロウライトの魔術師
・フェンサー
・ソーサラー
PC4-2:コボルドの神官
・プリースト(キルヒア†)
・スカウト、セージ
全員スカウト、4人中3人がセージを習得しています。
4人以上の場合、本来ならPCは「戦士系」「魔法使い系」「その他系」に分類され、同一PLのPCは、異なる分類でなければならないという制約があります。
ですが、3人で開始した卓が4人に増えたという経緯があり、今のところ4人PL用の制約は適用していませんが、今後変更するかもしれません。
スカウトまたはセージ技能レベルを冒険者レベルに揃えると「その他系」に分類することができます。
筆者はドワーフの戦士+エルフの妖精使いです。当初はリルドラケンとエルフにする予定でしたが、いとこの設定にしたかったので、エルフと同じく人間と交雑が可能なドワーフにしました。
筆者はいつもエルフで魔法使いをしていて、初期作成から両手で〈モール〉を握って、序盤から高火力で敵を薙ぎ払って行くのは新鮮です。
前衛はファイターが使いやすい理由に、レベル3以降は《薙ぎ払い》を宣言して、複数体を対象とした攻撃が可能な点も挙げられます。
なお、当卓は既にキルヒア神官が2人もいます。ゲーム内でよくキルヒア様を布教している筆者ですが、今回はプリースト技能を習得しておりません!
プリーストをする時はキルヒアが多いです。「記録と研鑽の中に、驚きやひらめきがあるのですよ」という感じで布教するのですが、そう言うと「【ペネトレイト】って便利ですね」と言ってキルヒア信仰を選んでくれます。⋯別にいいんです、最初はそれで。
いつか、キルヒア信仰を選んでくれたあなたが真に教えを尊ぶ神官になってくれる日をエルフの神官は心待ちにしております。
ソーサラーやフェアリーテイマーのPCは最速で《魔法制御》の習得を目指しており、縦伸ばしのため、新たに技能を生やす余裕がないのが現状です。
ただ、筆者の妖精使いのエルフも、いずれは信仰に目醒める予定です。ところで、パーティにキルヒア神官が複数いると「どの魔物に対して【ペネトレイト】を行使するか」を戦闘準備タイミングで相談する珍事態が発生します。
攻略に有利な種族
「エンシェントブルー」を遊ぶなら長期キャンペーンになることは間違いありません。
したがって、好きな種族、好きな技能を選ぶのが一番です。
以上を前提として、本シナリオにおける「攻略上最適な種族は何か」を考察しました。
ルールブック掲載の12種族から3つ選んでいます。
人間
圧倒的にお勧めです。
[剣の加護/運命変転]が強力な種族特性であることは言うまでもありませんが、「1日に1度だけ」という制約があります。
「エンシェントブルー」は長い長い船旅の物語です。
つまり、1日に1度しか戦闘が発生しないような状況は珍しくありません。
当然ながら、人間の[剣の加護/運命変転]は、戦闘においては言うまでもなく、非戦闘時も、絶対に成功させたい判定で惜しみなく使うことができます。
なお、筆者の開催する卓では、人間を使う人が非常に珍しいため、当然ながら今回もいません。
総じて、1日に1回の制約がある種族特性やアイテムの効果等は強力です。
エルフ
スイッチに関するルールの一つに「魔物知識、および先制判定は、同じキャラクターが行う」ということが挙げられます。
したがって、スカウトとセージは同じキャラクターが担当すると効率的です。
すなわち、敏捷度と知力の両方が高いキャラクターが有利ということです。
一般的に、敏捷度が高い種族は前衛向け、知力が高い種族は後衛向けであることが多いですが、その両方が高い種族もいます。エルフです。
ソロプレイなら、PCの組み合わせは
・戦闘担当(前衛)
・スカウト、セージ担当(前衛、後衛どちらでも)
の2PCの構成にするとバランスが良さそうで、後者は人間でいいのですが、人数が増えると《魔法制御》を習得する魔法使い(マギテックシューターを含む)が重宝します。
・ファイター+エンハンサー、アルケミスト等
・魔法使い系技能+スカウト+セージ
の構成なら、後者はエルフが使いやすいでしょう。
※とはいえ、パーティに1人は人間がいると安心です
リルドラケン
高い筋力と生命力、そして[鱗の皮膚]による防護点から、圧倒的な耐久力を誇ります。
物理ダメージを受けるチャレンジにおいて、もっとも有利なのはリルドラケンです。
逃亡判定に失敗すると確定ダメージを受けます。確定ダメージは、ダメージを軽減する効果が無効です。何よりも厄介なのは、このダメージがクリティカルする可能性があることです。
ゆえに、HPの高いキャラクターは生存に有利です。
他のキャラクターを庇護しながら逃亡を試みることができるため、2PCのうち、片方は耐久力の高い構成が望ましいです。
基本的に、PCの片方はファイターにすると便利です。したがって、ファイター適性がある種族は、その時点で活躍を約束されているようなものですが、高耐久なリルドラケンは特に使い勝手がいいです。
次回
(未定)