目次

途中作成の指針

高レベルキャラクター作成表

その他の作成方法

要素1:成長回数

要素2:経験点

要素3:所持金

要素4:名誉点

要素5:所持アビスシャード

まとめ


途中作成の指針

この記事では、初期作成ではなく、既にある程度成長したキャラクターを作成してセッションを始める際の指針について解説します。


初期作成のキャラクターは


成長なし

3000経験点

1200G

名誉点なし

所持アビスシャードなし


でスタートします。ただし、システム経験者中心の卓など、初回セッションであっても、既にある程度成長したキャラクターで始めることもあります。


途中作成のキャラクターは、これらの5つの要素が加算された状態で作成します。


「高レベルキャラクター作成表」を用い、レベル6-7で作成するなら


13回成長

23000経験点

24000G

250名誉点

所持アビスシャード5個


※ルールブックの記載(→Ⅰ398頁)によれば、依頼に失敗しても、成功時の半分の経験点(500経験点)を得ることができます


となります。


このようなケースでは「どの程度成長させるのか?」が重要です。


高レベルキャラクター作成表

途中作成のレギュレーションは、ルールブックⅢの72頁〜74頁に記載があります。


単発シナリオを途中作成のキャラクターで遊ぶ場合、「高レベルキャラクター作成表(→Ⅲ72頁)」を使うことが多いです。


この作成では、成長回数、経験点、所持金、名誉点、所持アビスシャード数がレベル帯に応じて定められています。


具体的には、以下のようになっています。


レベル 成長 経験点 所持金 名誉点 アビス
3~4 2 5500 2500 30 1
4~5 5 10000 6000 80 2
5~6 9 16000 14000 150 3
6~7 13 23000 24000 250 5
7~8 17 30000 36000 350 7
8~9 22 40000 54000 500 9
9~10 28 50000 80000 700 12
10~11 34 65000 120000 900 15
11~12 44 85000 160000 1300 21
12~13 54 105000 210000 1700 30
13~14 65 135000 270000 2200 39
14~15 77 165000 350000 2800 48


また、能力値の成長回数はサイコロを振らずに「成長回数平均表(→Ⅲ74頁)」を用いることもできます。


6つの能力値の成長回数は、以下のようになります。

※一部の能力値を重点的に伸ばしていく場合のみ記載


レベル 成長
3~4 2 1 1 0 0 0 0
4~5 5 1 1 1 1 1 0
5~6 9 2 2 2 2 1 0
6~7 13 4 3 3 2 1 0
7~8 17 5 4 3 3 2 0
8~9 22 6 5 4 4 2 1
9~10 28 8 6 5 5 3 1
10~11 34 9 7 7 6 4 1
11~12 44 12 10 9 7 5 1
12~13 54 15 12 10 9 6 2
13~14 65 18 14 13 11 7 2
14~15 77 21 17 15 13 9 2


その他の作成方法

「高レベルキャラクター作成表」を使用しないのは、キャンペーン卓に途中参加するケースが多いです。


成長回数、経験点、名誉点は、既存卓のプレイヤーに合わせて決定します。


また、所持金については、既存プレイヤーの所持品の合計金額から、ある程度合わせることができます。


所持アビスシャードは、必要な場合のみ調整します。


個人的な経験からは、数値的なステータスや所持金は「高レベルキャラクター作成表」から大きく離れないようにするのが、バランス調整の観点からいえば無難な選択です。


もっとも、キャンペーンの場合、無理に合わせる必要はありませんが、キャラクターの成長が標準的な作成ルールから大きく外れているなら魔物のバランス調整に留意すべきです。


5つの要素について、それぞれ考察します。


要素1:成長回数

冒険を重ねるごとに少しずつですが能力値そのものが上昇していくため、やがてはボーナス値が上昇して、キャラクターの成長が加速します。


後衛の魔法使いの知力ボーナスなど能力値によってはボーナスが上昇すると1レベル分の能力上昇に近い状況が生まれることがあります。


※成長回数平均表を元に計算すると、知力ボーナスは

3-4(初期作成)

4-5(レベル9)

5-6(レベル12)

6-7(レベル14)

となります。魔力の「1」の差は埋め合わせが難しく、魔法使いにとって、知力は最優先で成長させるべき能力値です。


成長回数が足りない場合、格上の敵と戦うのが厳しくなる可能性があります。


特に、魔法使いのダメージディーラー(ソーサラー、フェアリーテイマー等)は、抵抗突破が何よりも重要なため、知力の成長回数の少なさは死活問題です。


命中力や回避力と比較すると、魔法行使判定の達成値を上げる手段は限られています。そのため、魔法使いは能力値(知力)が重要です。


また、成長回数が少なすぎる場合、ゴーレムや妖精、機獣といった、PCが操作可能なキャラクターに対して相対的にPCが弱くなるという問題が発生する可能性があります。


考え方次第ですが、PCたちの戦力が相対的に低い状態は、あまり好ましいとはいえません。


逆に、成長回数が多すぎると、バランス調整のために強敵を出す必要があります。


このとき、妖精や機獣は使いにくいかもしれません。


一方で、魔法使いのダメージディーラーは知力の成長回数が増えて使いやすくなる可能性が高いです。


ただ、一部の技能を優遇するようなバランス調整は、他の技能の活躍の場を奪う可能性があるため、慎重になるべきです。


要素2:経験点

「高レベルキャラクター作成表」を元に考えます。


たとえば、レベル4-5の作成は10000経験点です。


4-5、6-7といった、上のレベルが奇数になるケースは戦闘特技の習得数が増えることもあって、基本的には上のレベルで作成した方が強くなります


ただ、ここで重要なのは、TRPGが柔軟に魔物の強さを変更できる点です。


同じ10000経験点で、全員レベル5のパーティと、全員レベル4のパーティなら、魔物側の編成が固定なら前者の方が優秀です。


ですが、初めから全員がレベル4のパーティを組むことをGMが把握できていれば、その前提で魔物を調整することが可能です。


GMの調整が難しいのは、パーティ内でレベル差があるようなケースです。


A技能を5レベル習得すると、7000経験点も必要です。


合計10000経験点で作成するなら、残り3000点です。


スカウト、レンジャー、セージをいずれか3レベル習得すると2500点で、残り500点となります。


よく言えば、悩まなくてよく、悪く言えば、ビルドの柔軟性が低いです。


基本的には、許可されている範囲でレベルを高くする方が戦力は高くなりますが、反面、ビルドの幅は狭くなります


魔法戦士のような構成は、選択肢に上がりにくくなるでしょう。


ビルドの楽しさを重視するなら、ある程度は横伸ばしする余裕がある方が楽しめるでしょう。


また、少人数のパーティも、技能を横伸ばしする余裕が必要です。


3人以下のパーティでは、1人で2つ探索に必要な技能(スカウト、レンジャー、セージ)の習得や、少ない手数を補うための《マルチアクション》型の神官戦士の採用をする可能性が高くなります。


このような時、全員で相談してレベルを合わせるならGM側は調整が楽です。


要素3:所持金

購入するアイテムのうち、金額が大きいものは以下の観点から2つに分類することができます。


火力を上げるもの

耐久(継戦)力を上げるもの


火力を上げるアイテムで代表的なものは、高ランクの武器です。


同じ条件なら、B、A、S、SSとランクが上がるごとに武器の威力は上昇していきます。


一方で、ランクが上がると武器の価格も上昇します。


特技の習得時期からは、レベル1からAランク、レベル5からSランク、レベル11からSSランクの武器を最速で使用可能です。


ですが、武器の購入費用が重くなるファイターは特に最速レベルで上位ランクの武器を購入するのは現実的に難しいことが多いです。


裏を返せば、戦士系技能を主軸に据えるキャラクターは、所持金の増加によるメリットが相対的に大きいといえます。


これは防具に関しても同様です。高額な金属鎧を着用するファイターは特に、所持金が増えると強く、減ると弱くなる傾向があります。


魔法使い系技能を主軸に据えるキャラクターに関していえば〈ラル=ヴェイネのマナリング〉等を除くと、金銭的な手段で火力を上げる選択肢は限られます。


したがって、所持金に余裕があるなら、魔晶石を買い込むか、〈正しき信念のリング〉や〈月光の魔符〉、〈消魔の守護石〉といった、主に魔物から受ける魔法を対策するためのアイテムにコストをかける可能性が高いです。


前衛と比べると、後衛の魔法使いは耐久または継戦力を上昇させるために所持金を投入することが多くなるでしょう。


要素4:名誉点

〈華美なる宝石飾り〉など、名誉点アイテムの購入には名誉点が必須です。


メイガスアーツ収録のウォーリーダーなど一部の技能にとっては必須の要素です。


また、冒険者ランクが上がると報酬の前借り(借金)の上限額が上昇するメリットもあります。


筆者の同卓で見たことはありませんが、レンタルしていた機獣の死亡などが原因となる不名誉点による不利益を打ち消す目的でも、冒険者ランクが役に立つことはあります。


その他、イグニダイト加工で必要なダークドワーフのコネクション等、一部のNPCとのコネクションは名誉点によって獲得が可能です。


その他は概ねフレーバーといったところで、名誉点が多すぎることでバランスが崩れるような状況はあまりありません。


一方、名誉点が不足すると、一部の技能は「詰み」の状況が発生する可能性があるため、レベル帯と照らし合わせて少なすぎるのは考え物です。


要素5:所持アビスシャード


アビスシャードは非売品ですが、バランス調整の観点からは影響が小さい項目です。


ただし、プレイヤー次第ですが、アビス強化を武具や防具に施す場合などは、重要な要素となります。


また、サプリメント収録の技能(アビスゲイザー等)は、アビスシャードの消費と引き換えに強力な効果を得ることができるものもあります。


基本的には、作成表に応じた個数に設定するのが無難でしょう。


まとめ

・単発セッションは「高レベルキャラクター作成表」を用いることが多い

・キャンペーンに途中参加する時は既存キャラクターに合わせることが多い

「高レベルキャラクター作成表」はバランス調整の観点から無難な選択肢


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