目次
ダメージ期待値を実際に計算すると
ダメージ期待値の計算式
クリティカルを考慮
ダメージ期待値の例(初期作成)
ダメージ期待値の例(高レベル)
ダメージ期待値を実際に計算すると
この記事では、威力とダメージ期待値の関係について解説します。
2dを振って、それぞれの出目が出る確率は
1/36:出目2,12
2/36:出目3,11
3/36:出目4,10
4/36:出目5,9
5/36:出目6,8
6/36:出目7
と、期待値の出目7に近いほど、その出目が出る確率は高くなっています。
上記の確率を踏まえて、Excelを用いて実際に威力表とダメージ期待値を計算してみました。
結果は以下の通りです。
威力0:1.67
威力10:3.33
威力20:5
威力30:6.67
威力40:8.33
威力50:10
勘のいい人は、法則性に気付いているでしょう。
ソード・ワールドの威力表のダメージ期待値は、単純明快な一次方程式で表すことができます。
ダメージ期待値の計算式
威力とダメージ期待値の関係は、以下の通りです。
(ダメージ期待値)=(威力 + 10)/ 6
威力が6上昇すると、ダメージ期待値が1上昇します。
たとえば、威力20の武器や魔法の期待値は、
(20 + 10) / 6 = 5
となります。この計算式は、クリティカルを考慮していません。
次の章では、クリティカルを考慮した上で、ダメージ期待値を計算します。
クリティカルを考慮
クリティカルを考慮したダメージ期待値の計算式は、前述の計算式で求めた値に、以下の比率をかけることで求めることができます。
1 / (1 - (クリティカルする確率) )
※無限等比級数の和を計算
たとえば、C10の武器や魔法がクリティカルする確率は1/6です。
C値ごとの数値は、以下のようになります。
C12:約1.03(=36/35)
C11:約1.09(=36/33)
C10:1.2(=36/30)
C09:約1.38(=36/26)
C08:約1.71(=36/21)
C07:2.4(=36/15)
※C値は下限8ですが《必殺攻撃》を考慮して記載しています
C10の武器や魔法は、クリティカルを考慮すると
(ダメージ期待値)=(威力 + 10)/ 5
として計算できます。このとき、威力が5上昇すると、ダメージ期待値が1上昇します。
ダメージ期待値の例(初期作成)
平均的な能力値のリルドラケンの初期作成ファイターを例に検証します。
※1d=4、2d=7で作成
各能力値は、
器用9(命中力4または5)
敏捷12
筋力21
生命27
知力10
精神13
です。
※命中力は種族特性込み
ソード、アックス、スピア、メイスは、必筋20で命中力修正がマイナスではない「用法:2H」の武器が設定されています。
この中で、命中力修正が+1となるのはメイスです。
ソード、アックス、スピアは命中力修正が+-0です。
攻撃が命中した場合の武器のみのダメージ期待値は、以下の通りです。
○アックス
8.18
○ソード、スピア
8
○メイス
7.71
ソードは860Gと高価で、所持金1200Gの初期作成では現実的な選択肢ではありません。
一方、同じ性能のスピアはわずか220Gで購入することができます。
大差はありませんが、アックスが最も高く、メイスが最も低くなります。
ただし、上記の期待値は命中率を考慮していません。
初期作成であれば、大半のケースで命中率を考慮したダメージ期待値はメイスが最も高くなります。
※メイスを選択しないなら、特技は《斬り返し》を推奨します
次に、適用ダメージを計算してみます。
ファイター技能レベル2
筋力ボーナス3
《武器習熟A/**》のランクボーナス+1
※リスクのない特技で検証
上記を加算すると、追加ダメージは+6です。
※書いてから気付いたのですが、厳密にはダメージの期待値を計算する際(追加ダメージ-防護点)を35/36倍する必要があります。自動失敗すると一切ダメージを与えられないためです。
魔物の防護点を3と仮定して、適用ダメージの期待値は
○アックス
11.18
○ソード、スピア
11
○メイス
10.71
となりました。期待値なら2桁のダメージを出すことができます。
どの武器を選んでも命中すればダメージの差は決して大きくはありません。
実用性で選ぶならメイスがお勧めです。
参考に、グラップラー(リカント)のダメージ期待値を載せます。期待値の作成なら
器用15(命中力5)
敏捷18
筋力14
生命14
知力17
精神11
次に、適用ダメージを計算していきます。
グラップラー技能レベル2
筋力ボーナス4(種族特性込み)
《武器習熟A/**》のランクボーナス+1
上記を加算すると、追加ダメージは+7です。
また、威力15のチェインスティック(C11)のダメージ期待値は、約4.55です。防護点を3点として、2回攻撃した時の適用ダメージは計17.09です。
リカントは種族特性による上昇が大きく、リカントのグラップラーはダメージ期待値でファイターや後衛を上回ります。一方で、耐久は脆く、グラップラーの抱える弱点となります。
※たかだかTRPGを遊ぶのに期待値の検証までするとドン引きされることがあります。が、愚かなのは人間の方です。エルフのキルヒア神官は知識を重視しています。記録と研鑽の中に、驚くべき発見があるのです。冒険者の皆さま、キルヒア様を信仰しませんか??
次に、魔法ダメージを計算してみましょう。
平均的な能力値のタビットの初期作成のソーサラー&コンジャラーを例に検証します。
※1d=4、2d=7で作成
各能力値は、
器用9
敏捷9
筋力10
生命13
知力24(魔力6)
精神18
となっています。このとき、ソーサラー2レベルなら、魔力は6です。
威力10の【エネルギー・ボルト】のダメージ期待値は魔力を足して10となります。
リルドラケンのファイターの期待値が約11でした。
魔法は抵抗されても半分はダメージが通るため、安定して魔物のHPを削ることができるのはタビットです。
前衛はまずタンクの役割が大事です。倒れずに立っているだけで十分な仕事をしていると言えます。
ただ、【エネルギー・ボルト】の消費MPは5と、非常に重いです。
妖精魔法なら【ファイア・ボルト】で消費MP3だよ!
MPは有限です。初期作成なら特にMP切れは死活問題となります。
参考までに、マギテックシューター(エルフ)のダメージ期待値を載せます。期待値の作成なら
※マギテック2レベル、シューター1レベル
器用20(命中力4)
敏捷20
筋力9
生命12
知力15(魔力4)
精神15
※【ターゲット・サイト込みで命中力5】
です。このとき【クリティカルバレット】の期待値は10.92です。これは、前衛のリルドラケンのファイターと同程度のダメージ期待値です。
初期作成では、ダメージの期待値でマギテックシューターに明確な優位性はないと言えます。
ダメージ期待値の例(高レベル)
筆者の自作シナリオで使用するのに作成したサンプルキャラクターを元に検証します。
※ポイント割り振りで作成
エルフのソーサラーとリカントのグラップラーです。
エルフのソーサラーから考察します。
最高火力は威力100の【メテオ・ストライク】です。クリティカルを考慮した魔法のダメージ期待値は、22です。
魔力は、下記を加算すると26となります。
ソーサラー15レベル
知力ボーナス9
《魔力強化Ⅱ》+2
※知力ボーナスは〈魔法の発動体〉の専用化および【スフィンクスノレッジ】を含む
〈ラル=ヴェイネのマナリング〉のダメージ上昇分を含めると、ダメージ期待値は50点です。
※高レベル帯のセッションは、ダメージ算出で「50点!」と叫ぶ状況が出てきます
次に、リカントのグラップラーを考察します。
武器の威力は28で、クリティカル(C11)を考慮した期待値は約6.91です。
追加ダメージは、下記を合計すると+34です。
※高レベル帯のグラップラーは特に、固定ダメージの割合が非常に高いです。実際に計算すると、普段グラップラーを使わない人も「グラップラーは固定ダメージが大事」であることがよく分かると思います。
グラップラー15レベル
筋力ボーナス+12
《武器習熟A/格闘》+1
《武器習熟S/格闘》+2
〈魔法の武器〉追加ダメージ+1
【ヴォーパルウェポン】+3
※筋力ボーナスは[獣変貌]、【マッスルベアー】、〈熊の爪〉、【ジャイアントアーム】を含む
※マテリアルカードはSランク赤×1使用
魔物の防護点を18と仮定して、《鎧貫きⅢ》の効果を踏まえると、適用ダメージの期待値は、3回攻撃で約97.98点となります。
※クリティカルしない場合(出目10以下)、防護点を半減
※クリティカルした場合(出目11以上)、防護点0
神聖魔法15レベルの魔物は【レストレーション】を行使することができます。この魔法は、対象が受けている望まない効果を拭い去るだけでなく「術者の魔力×5」点、対象のHPを回復します。
魔物が受けているデバフは無効化され、魔力20ならHPを100点も回復します。このような状況では小細工は通用しません。そんな時、単体火力で他の追随を許さないグラップラーは頼もしい戦力となるでしょう。
グラップラーの単体攻撃の火力は、期待値で他の追随を許しません。
また、攻撃回数の多さは【ブリンク】を行使する真語魔法の魔物に対する回答となります。
一方、ソーサラーやフェアリーテイマーは範囲火力が重要な役割となります。
高レベル帯は、攻撃障害を持つ複数部位の魔物が多いことが一番の理由です。