概要

日本発TRPGで最大級のプレイヤー人口を誇るソード・ワールド2.5でGMを最近始めた、これから始めたい方向けの指針について解説します。


筆者は先日、自身がGMの全10回のSW2.5キャンペーン卓を完結させることができました。

その際、心掛けていたことをまとめようと思います。


目次

1 参加者(PL)を集める

2 シナリオのチェック

3 事前準備

4 感想

5 心がけること

6 キャンペーンで大事なこと

7 まとめ

キャンペーン卓シナリオ公開


参加者(PL)を集める

まず、卓を成立させるには、規定人数のプレイヤーを集める必要があります。


仲間内でTRPGを始めるならプレイヤー経験なしでGMを始めることもあります。

※上記のケースでは、メンバーが固定なら交代でGMをすると負担が小さくて済みます。当日のGMのキャラクターは、フェローとして参加させましょう。


ですが、GMを始めようとする人の多くは既にソード・ワールドのPL経験があると思います。


筆者の場合、参加していたキャンペーン卓でメンバーを集める目処が立っていたので、オリジナルシナリオを作り始めました。


ソード・ワールド2.5のシナリオは多くの場合、PL3〜5人程度を想定しているものが多いです。


3人集まることが開催の1つの目安ですが、フェローを活用してPL2人で開催したことも多いです。


2  シナリオのチェック

開催が決定するか、開催出来そうなら、まずシナリオを用意します。


シナリオは誰かが作ったものを使用するか、自作することになります。


 既存シナリオを使用する

公式シナリオやオンラインで公開されているシナリオを使用してGMをする方法です。


自作シナリオの場合、大きく分けてストーリーを構築するタイプ(原稿あり)と、アドリブで考えるタイプ(原稿なし)のGMがいます。


既存シナリオは、原稿のあるシナリオを使用することになります。


既存シナリオの場合、GMが作成するものはありませんが、事前にシナリオをよく読んでおきましょう


公式シナリオの場合、シナリオ中に出てくる判定は、予習しておくとスムーズです。

※各種判定は、ルールブックⅠ〜Ⅲの掲載ページ(Ⅰ107頁〜など)をメモしておくと便利です


以下、頻出の判定をいくつか紹介します。


解除判定(スカウト、レンジャー★+器用度B)

足跡追跡判定(スカウト、レンジャー+知力B)

異常感知判定(スカウト、レンジャー★+知力B)

聞き耳判定(スカウト、レンジャー+知力B)

危険感知判定(スカウト、レンジャー+知力B)

見識判定(セージ、バード、アルケミスト+知力B)

探索判定(スカウト、レンジャー★+知力B)

罠回避判定(スカウト、レンジャー★+知力B)


また、シナリオによっては、マップ等の印刷が必要になるでしょう。


 自作シナリオを使用する

ハードルは上がりますが、初回で自作シナリオを回す人もいるでしょう。

※筆者もこちらです。


ストーリーの作成が好き

キャラクター(NPC)の作成が好き

オリジナルモンスターを出したい

キャンペーンをしたい


など、自作にこだわる理由はさまざまです。


自作シナリオの難点としては、慣れていないと戦闘のバランス調整が難しいことが挙げられます。


筆者の場合、PLで参加したことがないようなレベル帯(~レベル15)のキャンペーン用シナリオを自作していたため、自身の経験に基づいて調整するのは不可能でした。


PL3人を想定してサンプルキャラクターの仮想パーティを構築し、そのステータスを参考にしながら、探索の目標値や戦闘の難易度調整を行っていました。


少々手間はかかりますが、中~高レベル帯のシナリオを自作する場合は、そうするのが確実です。


低〜中レベル帯の戦闘は「PCの2レベル上は強敵」と考えましょう。


スムーズな進行のために、シナリオ中に登場する判定は確認しておきましょう。


3 事前準備

シナリオを用意した後に可能な準備についてです。


何度もTRPGを一緒に遊んだことがある人なら、予め癖や好みが分かるかもしれません。


筆者の知人に関して言えば、前衛を好む人が多く、純魔法使いを好む人が少ないため、後衛が不足する傾向があります。


フェローが必要になる可能性が高いなら、そのように想定しておくとよいでしょう。


その他、仲間内で好まれるシナリオ展開も考えておくとよいでしょう。


4 感想

参加者(PL)からのフィードバックは重要です。必ず耳を傾けるようにしましょう。


戦闘の回数、難易度は適切だったか

初心者へのフォローは十分だったか

探索の難易度は難しすぎなかったか


上記は一例です。セッション後に聞く感想も重要ですが、セッション中のPL発言は本音が多いです。


無論、参加者のわがままに応える必要はありません。また、人によっても好みは異なります。


あるPLが戦闘を好む一方、別のPLは戦闘はあまり好きではなく、両立が難しいケースもあるでしょう。


ある程度の妥協は必要と割り切った上で、できるだけ多くの人に楽しんでもらえる卓作りを心がけます。


5 心がけること

大前提は「みんなが楽しく!」です。


 通常と異なるルールの裁定は事前に

ルールの裁定の最終的な決定権はGMにあります。


したがってPLはGMに従うことが求められますが、好き勝手しても良い訳ではありません。


公正を期すために、ルールブックと異なる裁定を採用するときは、シナリオを始める前に極力参加者と共有しましょう。


また、その理由を説明できるようにしておきます。

※特定の技能を弱体化させるような裁定は、キャラクター作成前に必ず事前通告すべきです


「集まってくれた人が楽しんでくれるように」を前提に、物語を進めましょう。


 参加者の好みを把握する

身内卓なら、事前に参加者の好みや癖を把握しやすいでしょう。


初対面の参加者がいる卓では、キャラクター作成段階である程度ヒアリングをするのも手です。


もちろん、すべての要望に応えることは、現実的ではないかもしれません。


たまには要望を聞いてみるのもいいでしょう。


また、NG要素を把握するのも、参加者によっては重要かもしれません。

※当日、初参加者がいる場合はシナリオの内容をある程度告知しておくとよいでしょう


 参加者の発言に注意する

参加者が探索や戦闘に夢中になってくれることは、GM冥利に尽きます。


しかし、他の参加者を責める発言をする参加者がいるかもしれません。

※実際ありました


酷いようなら注意しましょう。


ただ、シナリオの殺意が高いと、知らず知らずのうちにプレイヤーに負担をかけているかもしれません。GM側で対策できることは対策しておきましょう。

※弱いビルドを作るPLを責めるのは良くないことです。そもそもGMの用意した戦闘の難易度が高かったなと思う次第です。


6 キャンペーンで大事なこと

筆者はキャンペーン卓が好きです。F.E.A.R.のシステムは単発セッションも好きですが、ソード・ワールドはキャンペーン一択と思っているほどです。


キャンペーン卓でGMをしてきた中で、大事だと思ったことをまとめました。


 キャンペーンが好きなメンバーで集まる

個人的によく思うのは、単発セッションが好きな人とキャンペーンが好きな人は明確に分かれるということです。


これは、何が目的でソード・ワールドのセッションに参加しているのか、という話になってきます。


筆者の知人の場合、大まかに二つのタイプがいます。


一つは、自分が考えたビルドでセッションに参加するのが好きなタイプです。


もう一つは、キャラクターの設定を掘り下げることが好きなタイプです。


キャンペーンシナリオの継続メンバーになってくれる可能性が高いのは後者です。


ただ、リビルド等ある程度柔軟な対応をすれば、前者のタイプでも集まってくれる可能性はあります。


後者の場合、ロールプレイに積極的な人も多いです。


ソード・ワールドでキャンペーン卓を始めたいなら、キャンペーンが好きなプレイヤーを集めましょう。


 GMがしたいことをはっきりする

TRPGでGMをする場合、PLで参加するより準備が大変で、ゲームに対する知識や理解も求められます。


そこまでしてGMをしたいと思うのは、何か理由があるはずです。


筆者の場合、高レベル帯の卓で、神話に出てくるような英雄の冒険譚を作成したいというモチベーションがありました。

そのため、レベル15を目指すキャンペーンを始めようと考え、世界観の作り込みを意識しました。


また「キャンペーン卓を完結させる」こと自体が目的でした。筆者は2024年4月に初めてソード・ワールドを遊んだので、ソード・ワールド歴は決して長くないですが、自作でキャンペーンを完結させることは多くのTRPGプレイヤーが考えることです。


最後に、ソード・ワールド2.5のバランス調整や技能の強さを実践的に把握するため、オリジナルアイテムの導入を排除し、ルールブックの作成レギュレーションから大きく外れないような調整で進めました。


筆者が拘っていたのは、上記の3点です。


GMとして「ここだけは譲れない」という点をいくつか挙げて、はっきりとさせましょう。


そして、あまり重要でないと考える点についてはPLに譲歩すべきです。


GMがしたいことばかり優先していれば、参加者が卓に残ることはないでしょう。


 柔軟な対応をする

キャンペーンをするということは、プレイヤーは同じキャラクターを使い続ける、ということです。


キャラクターの設定を考える、キャラクターの成長を楽しむことが好きな人は、キャンペーンを好む可能性が高いです。


一方、同じキャラクターを使い続けるなら、技能構成も同じです。別のビルドを試す機会は失われます。


単発のセッションと比べた時、キャンペーンは良い点も悪い点もあります。


筆者はキャラクターのリビルドに関して、かなり自由に認めていました。


高レベル帯では毎セッション認めており、戦闘特技の変更は相談不要としました。


上記は一例ですが、キャンペーンならではの不自由さは存在します。不自由さを軽減することはセッションを良くするために必要です。


より一般的には、GMが重要でないと考える点に関しては、参加者が楽しめることを目標に、できる限り柔軟に対応すべきです。


 日程調整を考える

同じメンバーで継続する以上、キャンペーン卓は参加者のスケジュール調整が重要です。


筆者の卓の場合、初めから固定メンバーで続けていた訳ではなく、毎回参加してくれる人が残った結果固定メンバーになった、というのが実際のところです。


初回セッションの参加者3人のうち、最終回(第10回)まで残ったのは1人です。


また、第4回に初参加してくれた知人が、最後まで固定メンバーになりました。


以降、ゲスト参加する人もいましたが、固定メンバーとしては上記の2人になります。


7 まとめ

繰り返しになりますが大前提は「みんなが楽しく!」です。


そのために何ができるか、試行錯誤を重ねていくことがGM上達への近道です。


キャンペーン卓シナリオ公開

筆者のキャンペーン卓のシナリオ原稿を紹介します。