概要

sw2.5サンプルシナリオ「不死の女王の眷属」を3人で遊びました。


ルールブックⅡ掲載シナリオです。7レベルのPC3〜5人向けと書かれていますが、人数による調整がなくNPCを2人追加して5人で攻略しました。


2024年12月に開催されたオフセッション卓のリプレイです。


また、最後にシナリオの戦闘とビルドに関する考察を記しています。


以下、シナリオ感想です(ネタバレ注意!)

目次

01 プロローグ

02 メリアの里

03 森林の探索

04 不死の女王

05 支部長の話

06 行方不明者

07 女王の祭壇

08 エピローグ

09 作成レギュレーション考察

10 ビルド考察


プロローグ

アルフレイム大陸北西部に位置する、ドーデン地方。

この地方の東部にある森林国フレジアの冒険者ギルドは、いつも通りの騒がしさだった。


フレジア出身の森羅導師アメリアは、107歳のエルフである。故郷の2人の妖精使いと共に、ドワーフの神官戦士、リルドラケンの拳闘士と合流した。


集められた熟練の冒険者5人に支部長は説明を始める。


支部長「ここから徒歩で2日ほどのメリアの里に、幻獣が助けを求めに来たそうだ」


標的にされているのは、ユニコーンだという。


アメリア「ユニコーン…人族や蛮族から、何かと標的にされやすいね」

※魔物知識判定に成功


支部長は、低くしわがれた声で続ける。


支部長「メリアの里に向かって、ユニコーンを助けてやってほしい。よろしく頼む」


メリアの里

メリアの里に到着するとユニコーンの友人である幻獣から話を聞くことになった。


ミルカ「私はミルカ。アタシの友達のリマースを助けてほしい」

ミルカ「リマースはまだ子供のユニコーンだ。妖精と遊んでいたら、ヤバい気配を感じて、逃げようとしたけど追いつかれて意味の分からない言葉をかけられたんだ」

ミルカ「それからずっと、リマースは元気がない」


アメリア「手がかりはないかな?ミルカを連れて森林を探索しよう」

※1dの出目:5


森林の探索

5人は森の中で動物たちが集まっている、小さな広場に出た。


ミルカに通訳を頼んで、動物たちから情報を得ることに。

※時間ポイント+1


ミルカ「動物たちは、南の方から逃げてきた。イヤな感じの場所」


動物たちから聞いた「イヤな感じの場所」に行くことに。


不死の女王

森の奥を訪れると、大木が規則正しく連なる、自然との調和を描いている場所に出た。


アメリア「⋯これは、魔動機文明時代に作られた樹神ダリオンの神殿ね」

※文明鑑定判定に成功


中に入ると、周囲の荘厳な気配とは異なる、禍々しい光景が広がっていた。


神官「おや、こんなところに人とは珍しい。さしずめ迷い込んだ冒険者、といったところですか」


そうよ、とアメリアが答える。彼は、そうですか、と続ける。


神官「ここは現在、ツァイデス様の神殿として、利用させてもらっているところです」


アメリア(不死の女王ツァイデス⋯邪教の神官!)


神官「しかし、ここが広まってしまうのはまずいですね。黒騎士殿の手を借りるまでもないでしょう!」


邪教を崇める神官とアンデッドが襲いかかる。


森羅導師のアメリアは味方に支援魔法をかけ、続いて妖精使いの2人に攻撃を指示する。

※【シャープアイ/ジャイアントイーグル】で先制値18保証


アメリアの故郷の同胞2人が、妖精たちの力を凝縮したエネルギーを炸裂させる。後衛の邪教を崇める神官も巻き込んで、アンデッドを焼き尽していく。


神官戦士と拳闘士が接敵し、一瞬で敵を打ち倒した。


神官「くっ、こんなはずでは!だが、もう遅い。悲願は黒騎士殿によって成就する!」


そう言うと、「死を振りまくもの」の復活を目論んでいること、ユニコーンはいずれ、黒騎士と名乗る者の騎獣となることを話すと、その場に倒れ伏した。


アメリア「不死の女王ツァイデスは、日陰に生きる者によって崇められているわ。だから、トロールなどの蛮族との遭遇が考えられるけど、もしアンデッドならたとえばボーンナイトね」

筆者のセージ知識、敵が2部位の魔法使いであることを指摘


彼の荷物には、魔動機文明語で書かれた巻物がある。そこに「死を振りまくもの」の場所が示された地図が記されていた。


アメリア「事態は深刻そうね。まず、ギルドに戻って報告しましょう」

※時間ポイント+2

※ギルドに戻って報告する案は、GMによって提案された


支部長の話

ギルドに戻って支部長に報告すると、彼の表情が一転して険しいものに変わる。


支部長「黒騎士については分からないが、不死の女王の眷属となれば、放置するわけには行かない」

支部長「厳しい戦いになるだろう。援助は用意する。引き続き調査をよろしく頼む」


アメリア「追加支給品を受け取ったわ。強敵なら念のため街の図書館で黒騎士について時間をかけて調べてから行きましょう」

※時間ポイント+2

※文献判定は、GMによって提案された


図書館では、「死を振りまくもの」が魔動機文明時代に建設された移動式のツァイデスの神殿であること、「黒騎士」とは〈大破局〉の際に蛮族側で活躍した、あるトロールの称号であることが判明した。


行方不明者

地図によると「死を振りまくもの」はアンダファングトンネルにあり、神殿から向かうことができる。


トンネルに到着すると、屈強な男達が集まっている。


アメリア「私たちは冒険者です。一体、何があったのですか?」

鉱夫「ちょうどいい、頼みたいことがある」


行方不明の鉱夫が2人いるという。依頼を受けて2人を探すことに。


たいまつを掲げて坑道をしばらく進むと、分岐があることが分かった。


同胞が、右から微かに声が聞こえると耳打ちする。

※異常感知判定(レンジャー不可)、スカウトは後衛の1人のみ


分岐を右にしばらく進むと、木箱に閉じ込められた2人を発見した。


鉱夫「魔物に出くわして、気付いたら閉じ込められていた」


種類や数までは、分からないという。2人を送り届けることに。


女王の祭壇

分岐を今度は左に曲がると、通路が落盤で崩れ、狭くなっている。がれきを撤去してから進むことに。

※時間ポイント+1


アメリア達は坑道の最奥に到達する。そこには、鉱石を運ぶトロッコの残骸が転がっていた。


空洞の中央には列車のような魔動機が鎮座しており、蛮族やアンデッドが取り囲んでいる。


馬に跨がり、黒い甲冑を着たアンデッドが魔法文明語で話しかける。

※〈インテリアニマルサック〉の装備のためアメリアが魔法文明語の会話を習得していた


黒騎士「⋯女王の新たな贄になりに来るとは、敬虔なことよ」

黒騎士「ユニコーン?⋯ああ、私の新たな乗騎となるものだ」

黒騎士「この魔動列車は、『死を振りまくもの』、という。ツァイデス様の移動式祭壇よ」


「黒騎士」との決戦が始まる。敵は4体。

※ボーンナイト、スペクターが確定で参加。時間ポイントが最大のため、ダークトロールが最大の2体参加。合計4体(5部位)


3人のエルフが敵全体を巻き込んで攻撃を仕掛け、2人の前衛が接敵する。


前衛が敵の反撃をなんとか耐えると、そのまま総攻撃を仕掛け、黒騎士は倒れた。


エピローグ

ユニコーンの危機に始まった事件は、古の祭壇を破壊することで解決した。

ギルドに戻ると、支部長が労ってくれる。


支部長「ユニコーンの親から、言伝があったようだ。お前さん達にこの先何か困ったことがあれば、必ず力になるとな」


作成レギュレーションの考察

冒険者レベル7

20000経験点

15回成長

所持金31200G

300名誉点


公式シナリオで使用されている作成レギュレーションは、ルールブックⅢ72頁に掲載されています。


Ⅲの発売より古いルールブックⅡのシナリオです。作成レギュレーションはオリジナルです。参考に、Ⅲ掲載のレベル6-7の作成レギュレーションを記載します。


冒険者レベル6-7

23000経験点

13回成長

所持金24000G

250名誉点

所持アビスシャード5


ルールブックⅢの同レベル帯の作成レギュレーションと比較すると、経験点が少なく成長回数、所持金、名誉点が多いです。


特に所持金の差は大きく、前衛はSランクの武器や防具を購入する余裕があります。


一方、経験点の差がバランス調整に影響しています。


テーブルA技能7レベル+テーブルB技能7レベルなら、計22500経験点です。


ルールブックⅢのレギュレーションは、23000点です。魔法使い系技能とスカウトを7レベル習得し、先制判定に成功で【ファストアクション】で1ラウンド目に2回1エリアを攻撃することが可能です。


スカウト7レベルで習得する【ファストアクション】は非常に強力ですが、今回は経験点が足りません。

※たとえば、フェアリーテイマー7レベル+スカウト6レベルのような構成になります


この違いは、ドルイドを選んだ理由です(後述)


ビルド考察

PC1:ドワーフの神官戦士

ファイター7、プリースト(イーヴ†)5、エンハンサー1

※《防具習熟A》《かばうⅡ》《防具習熟S》《マルチアクション》


PC2:リルドラケンの拳闘士

グラップラー7、レンジャー5、エンハンサー2、アルケミスト1

※《武器習熟A/格闘》《鎧貫きⅠ》《武器習熟S/格闘》《変幻自在Ⅰ》


PC3:エルフの森羅導師(筆者)

ドルイド7、プリースト(キルヒア†)4、セージ3

※《ターゲッティング》《魔法拡大/数》《MP軽減/ドルイド》《鷹の目》


PC4:エルフの妖精使い

フェアリーテイマー7、スカウト6

※《ターゲッティング》《魔法収束》《魔法制御》《武器習熟A/スタッフ》


PC5:エルフの妖精使い

フェアリーテイマー7、セージ6

※《ターゲッティング》《魔法収束》《魔法制御》《武器習熟A/スタッフ》


NPC2人は《魔法制御》型の妖精使いです。【カオス・ショット】で1エリアを攻撃します。すべての戦闘で、この魔法しか使いませんでした。


筆者のキャラクター(アメリア)はエルフの森羅導師です。サブでプリーストを習得し、【ペネトレイト】と、装備〈叡智のとんがり帽子〉〈インテリアニマルサック〉で魔物知識判定を成功させやすくしました。



《魔法制御》が欲しい場面もありましたが、神聖魔法【セイクリッド・ウェポン】を前衛2人に行使するには《魔法拡大/数》が必要でした。


決戦では《鷹の目》が役に立ち、戦闘特技はトレードオフでした。

※エリアを攻撃する魔法が半径3mで、敵の前衛と後衛の距離が5m離れていたため


【シャープアイ/ジャイアントイーグル】で先制値18が保証されます。レベル9以下なら、ほとんどの魔物に対して先制が可能です。


したがって、先制判定だけならスカウト技能が不要、という話になってきますが、《ファストアクション》を習得しなくともスカウトは探索に必要です。


このシナリオは、自然環境以外で危険感知判定や異常感知判定を行っているため、スカウト必須です。


ドワーフがレンジャー、リルドラケンがスカウトなら綺麗に分担できるのですが、ドワーフが神官戦士で、レンジャーを担当する余裕がありません。


リルドラケンがレンジャーをすることになりました。


結局、スカウト、セージの両方に適性のあるエルフ3人で分担することになります。スカウト2人かセージ2人か、悩ましいところです。


通常ならスカウト2人とするところですが、パーティに森羅導師がいるため、セージを2人としました。


神官戦士は、今回は相性が悪いビルドでした。


一部描写は省略していますが、本シナリオは全部で3回の戦闘が発生して、そのすべての戦闘が先攻2ラウンドで終結しました。


《マルチアクション》型魔法戦士の弱みは、先制成功時に最初のラウンドが通常移動となるため、魔法行使が可能になるのが2ラウンド目と遅いことです。


先攻2ラウンドで終わると、特技を2ラウンドのうちの1ラウンドしか宣言できません。


本シナリオの決戦では、2ラウンド目に後衛の魔法使い3人が攻撃し、その後でグラップラーがボスを撃破しています。


ドワーフの神官戦士が行動したのは1ラウンドだけで、《マルチアクション》を宣言しませんでした。


《マルチアクション》は戦況のスピード感を意識する必要があります。


※メタ推理ですが、タイトル「不死の女王の眷属」は、不死の女王ツァイデスを想起させることから、魔法を習得した魔物と遭遇する可能性が高いことは想定していました。

防護点を無視する魔法主体の敵と戦う際は受けが効きにくく、短期決戦になる可能性が高いです。


また、《防具習熟》を習得したファイターですが、敵が魔法主体なら腐ってしまいます。

※SSランク〈ディバインスキン〉等を除く


敵が魔法主体のケースを考えると《武器習熟》を習得する方が汎用性の高い選択肢となるでしょう。


一方《タフネス》《頑強》を習得した前衛は、後衛にとって頼もしいタンクでした。


決着までのラウンド数が短いときは、回復を意識するよりも《タフネス》《頑強》でHPを確保し物理・魔法の両方に備え、倒される前に倒すことを意識して火力に振る方が確実に戦場で役に立ちます。


【ビルド例】

《武器習熟A/アックス》

《斬り返しⅡ》

《武器習熟S/アックス》

《頑強》《タフネス》


グラップラーは、構成自体は決して弱くないですが、出目が悪かったです。


ただ、種族特性を忘れていて、「1足りない」状況で【カウンター】を外したこともあり、ミスがなければもっと余裕があったはずです。


生命力の高いリルドラケンが残りHP4で耐えており、リカントのグラップラーなら気絶しています。これを踏まえると、生命力の低い種族はレベル7で《頑強》を習得すべきです。


次回