概要
日本発TRPGで最大級のプレイヤー人口を誇るソード・ワールド2.5を最近始めた、またはこれから始めたい方向けにキャラクター作成の指針について解説します。
今回はコンジャラー技能の考察です。コンジャラーはバフ・デバフを得意とする魔法使い系技能です。
目次
1 コンジャラーの評価
2 コンジャラーの役割
3 コンジャラーの種族
4 コンジャラーの特技
5 コンジャラーの魔法
6 サブ技能
7 ビルド例
1 コンジャラーの評価
★★★☆☆(経験者向け)
コンジャラーは操霊魔法を行使します。
コンジャラーは、バフ・デバフの魔法行使に加えて、ゴーレムやアンデッドの使役もできます。総じて多彩な魔法を習得する技能です。
魔法使い系技能であるコンジャラー技能で回避力判定を行うことはできません。戦士系技能を持たないなら平目で回避力判定を行うことになります。
武器は必須ではありませんが操霊魔法の行使は〈魔法の発動体〉が必要です。
鎧に大きな制限を受けます。〈金属鎧〉の着用は魔法行使判定に-4のペナルティ修正となります。
必筋10以上の〈非金属鎧〉の着用も-2のペナルティとなります。
〈異貌〉使用時のナイトメアは制限を受けません。
操霊魔法の行使には、魔法文明語の発声が必要です。魔法文明語はコンジャラー技能を習得すると自動習得します。
どちらかといえば、経験者向けです。習得する魔法が強力な中~高レベル帯でお勧めの技能です。
2 コンジャラーの役割
後衛からバフ・デバフを付与し、状況に応じて攻撃や回復も行うのがコンジャラーの役割です。
他の魔法使い系技能と異なり、低レベル帯は「対象:1体」でダメージを与える魔法を習得しません。
エリアを攻撃する魔法をレベル1から習得できます。《魔法制御》を習得していないため、【スパーク】を行使できるのは先攻1ラウンド目です。
後衛の魔法使い系技能は《魔法制御》を習得することが多いですが、支援特化と割り切るなら、習得しない可能性があります。
真語魔法ほど多くはありませんが、ドレイクなど操霊魔法を行使する敵も存在します。
3 コンジャラーの種族
コンジャラーに重要な能力値をまとめました。
○重要
知力、精神力
○あると望ましい
生命力
○重要ではない
器用度、敏捷度、筋力
後衛の魔法使いは、知力が重要です。魔法行使判定で敵の抵抗を突破することに命を懸けましょう。
精神力が上がると、魔法行使に必要なMPが増えます。コンジャラーは、強力な一方でMP消費が激しい魔法も多いです。
後衛も敵の遠隔攻撃や魔法でダメージを受けることがあります。生命力は高い方が望ましいでしょう。
器用度はあまり重要ではないでしょう。
基本的には敏捷度を伸ばす必要はありません。ただ、スカウト技能を習得するなら先制判定に必要です。
ナイトメアを除くと必筋10以上の鎧は装備しないため筋力は重要ではありません。高レベル帯は、必筋1の〈マナコートプラス〉が基本です。装備する武器or盾の必筋=必要な筋力です。
GMをする際に、初参加の方にどの種族を勧めるか?と考えて評価しました。
※低~中レベル帯想定
★★★★★(迷ったらこれ)
エルフ、タビット、ナイトメア、メリア、ティエンス
★★★★☆(定番)
人間、レプラカーン
★★★☆☆(微妙)
ドワーフ
★★☆☆☆(苦行)
ルーンフォーク、リカント、リルドラケン
★☆☆☆☆(ネタ)
グラスランナー
4 コンジャラーの特技
魔法使い系技能はレベル11で特技《ルーンマスター》を自動習得します。手番中に宣言できる宣言特技が2回に増えます。
ファイターとグラップラーがレベル13で自動習得する《バトルマスター》との違いは、2回のうち少なくとも1回は「使用:魔法使い系技能」の宣言特技という条件があることです。代わりに習得時期がレベル11と早いです。
後衛コンジャラーで重要な特技を紹介します。
○常時特技
《MP軽減/コンジャラー》
《鷹の目》
《ターゲッティング》
《武器習熟A/スタッフ》《武器習熟S/スタッフ》
《マリオネット》
《魔力強化Ⅱ》
○宣言特技
《クリティカルキャストⅡ》
《ダブルキャスト》
《バイオレントキャストⅡ》
《魔法拡大/数》
《魔法収束》《魔法制御》
「形状:射撃」の魔法を習得するのはレベル8です。《魔法制御》を習得しないなら《ターゲッティング》の習得を急ぐ必要はありません。
《武器習熟A/スタッフ》を習得すると魔力+1の〈マナスタッフ〉を購入することになると思います。価格は6800Gです。所持金を確認しましょう。
敵の数が多い(パーティの人数が多い)シナリオでは《鷹の目》も有力候補です。
《マリオネット》を習得するとゴーレムやアンデッドの手番が術者の直後に固定されなくなります。ただ、習得特技枠は競合が激しく、実際に採用するケースは少ないかもしれません。
《魔力強化》は、レベル11以上の作成では特にお勧めです。ただ、A技能を2系統伸ばすため、多くの経験点が必要です。
《魔法制御》習得の前提条件は《ターゲッティング》と《魔法収束》の習得です。
ソーサラーと比較すると《バイオレントキャスト》を習得する可能性は低いです。ダメージ以外に追加効果を与える魔法は《バイオレントキャスト》の効果対象外です。
《バイオレントキャスト》の代替案は《クリティカルキャスト》です。《魔法制御》を習得して、ダメージディーラーを担当するなら候補となります。
バトルマスタリー導入環境は《ファストアクション》と好相性な《カニングキャスト》も有力候補です。
※ヴァグランツ専用特技
5 コンジャラーの魔法
操霊魔法を一部紹介します。
コンジャラーは、蘇生魔法【リザレクション】を習得します。一般に、死者の蘇生は禁忌とされているため操霊魔術師は集落によって迫害されていることもあるようです。
ロールプレイの指針としては、穢れの増加に肯定的な反応をすることになるでしょう。穢れの増加に否定的な神官や、妖精が穢れを嫌う妖精使いのロールプレイ方針と対照的です。
真語魔法とは異なり、回復魔法も習得します。一方、ダメージ魔法の威力は控えめです。
ただ、レベル8または9の作成なら「対象:1エリア」の魔法の威力は真語魔法と同等(威力20)です。
MP消費が重い魔法も多いですが、バフ・デバフが強力です。
ダメージ魔法(対象:1体)
レベル8
クリメイション(威力20、「分類:アンデッド」「魔法生物」「魔動機」にダメージ+5)MP8
レベル9
カース・ドール(威力30、片手の自由が必要)MP6
ダメージ魔法(対象:エリア)
レベル1
スパーク(威力0、半径3m)MP6
レベル8
アシッド・クラウド(威力20、半径5m)MP10
レベル15
デス・クラウド(威力60、半径6m、生死判定に-20のペナルティ修正)MP26
回復魔法
レベル2
アース・ヒール(威力0、射程10m)MP3
レベル11
アース・ヒールⅡ(威力30、射程30m)MP8
6 サブ技能
コンジャラーお勧めのサブ技能を紹介します。
★★★★★(迷ったらこれ)
ソーサラー
セージ
ソーサラーはコンジャラーと組み合わせることが最も多い魔法使い系技能です。〈魔法の発動体〉は共通となります。
ダメージ魔法に特化した技能です。ただ、ソーサラー&コンジャラー(ウィザード)のビルドはソーサラーを先行させて、コンジャラーをサブ技能とすることが多いです。
コンジャラー先行ならゴーレムを前衛に立たせて戦うスタイルとなります。シナリオ(シティ系)によってはゴーレムを連れて行くことが困難な可能性があり、注意が必要です。
メイガスアーツ導入環境なら、この2系統の魔法使い系技能を習得しているキャラクターは、深智魔法を行使できるようになります。
推奨されるその他系技能は高い知力を生かせるセージです。
★★★★☆(定番)
プリースト(キルヒア)
スカウト、レンジャー、エンハンサー、アルケミスト
ソーサラー以外のサブ魔法使い系技能の第一候補は、プリーストです。
プリーストは、回復とバフに優れた技能です。また、対「蛮族」「アンデッド」のバフやデバフの魔法を数多く習得します。
セージを担当するなら、キルヒア信仰がお勧めです。レベル2で習得するペネトレイトが術者の魔物知識判定にボーナス修正を与えるため強力です。
レベル10で習得するプレコグは、行為判定の2dの出目が最低8保証となる破格の性能です。魔法行使判定で、安定して敵の抵抗を突破できるようになります。
敏捷度が高いエルフや、運命変転が使用可能な人間はスカウト適性が高く、スカウトは有力候補です。
前衛が取らないならレンジャーも候補です。
エンハンサー、アルケミストは経験点に余裕が出る中~高レベル帯向けです。
★★★☆☆(候補)
フェアリーテイマー(召喚型)
妖精を召喚して、自身はコンジャラー技能をメインに戦います。
前衛が少ないパーティなら妖精が盾役をするのも手ですが、妖精とゴーレム(アンデッド)を運用する際の裁定は事前にGMと相談しましょう。
7 ビルド例
コンジャラーはテーブルAです。《ルーンマスター》をレベル11で自動習得します。
兼業神官(作成レギュレーション10-11)
01《ターゲッティング》
03《魔法拡大/数》
05《鷹の目》
07《魔力強化Ⅱ》
09《武器習熟A/スタッフ》
11《武器習熟S/スタッフ》《ルーンマスター》
コンジャラー11
プリースト(キルヒア)10
セージ3
コンジャラー&プリーストの、2系統の支援に特化した魔法使い系技能を習得したビルドです。
レベル帯の割にセージ技能のレベルが低くなっているため、信仰は【ペネトレイト】で魔物知識判定に+2のキルヒア推奨です。
〈とんがり帽子〉〈インテリアニマルサック〉を装備することで、魔物知識判定に+2します。
※エピックトレジャリー導入環境であれば〈叡智のとんがり帽子〉〈ラル=ヴェイネの観察鏡〉が魔物知識判定にお勧めのアイテムとなります
【バインド・オペレーション】を行使し強力なデバフを撒くのが主な役割です。
また、MPに余裕があれば初手で【ヘイスト】を全員にかけると非常に強力なバフとなります。
1日の始まりにかける魔法として【スケープ・ドール】が挙げられます。
この魔法はダメージを一度だけ人形に肩代わりさせることができます。超高レベル帯は威力100の【メテオ・ストライク】を1回無効化するため自身の実質的な耐久力が大幅に上昇します。
レベル10以上のキルヒア神官が行使する【プレコグ】が非常に強力です。効果時間中、あらゆる行為判定で2dの出目が最低8保証となります。
コンジャラーは多彩な魔法を習得しますが回復魔法の威力が低めです。プリースト技能で回復力を補うことができます。
低レベル帯コンジャラー(作成レギュレーション4-5)
01《魔法拡大/数》
03《武器習熟A/スタッフ》
05《MP軽減/コンジャラー》
コンジャラー5
セージ3
アルケミスト1
低レベル帯は「形状:射撃」の魔法を習得しません。したがって《ターゲッティング》の習得は不要です。
そこで、《ターゲッティング》を習得しないビルドを考察しました。
〈スタッフA〉の〈マナスタッフ〉を装備すると魔力を+1することができます。ただし、〈マナスタッフ〉は6800Gです。所持金に注意しましょう。
アルケミスト技能で習得する賦術は、18ラウンド効果が継続する【ヴォーパルウェポン】【バークメイル】が経済的です。基本的に前衛を支援する賦術を覚えることになります。