※2024年10月に開催されたオフセッションキャンペーン卓(全10回)の第2回シナリオです。

※前半・後半の2セッションに分かれています。

※後半シナリオは前編・中編・後編の3パートに分かれています。


前半「研究者の手記」

後半「貧民街の調査」


以下、シナリオ本編です(ネタバレ注意!)

〇貧民街の調査・中編(S4-2


〇シナリオの概要

君たちはハーヴェスの貧民街に出没するアンデッドを討伐し、治安維持隊の依頼を達成した。依頼人の官憲によれば、新たな情報が判明したため再び貧民街に赴いてほしいとのこと。

今回の調査対象はギャング組織ブルライト・シンディケートの幹部の恋人、アリアナだ。彼女から話を聞き出すことができれば、ギャング組織の壊滅へ大きく前進するだろう。


〇シナリオの流れ

1 プロローグ

2 聞き込み(官憲)

3 聞き込み(酒場の主人)

4 聞き込み(シーン神官)

5 アリアナ

6 エピローグ



1 プロローグ


多くの冒険者が集う街、港湾都市ハーヴェス。

時刻は早朝。アリアドネが来て寝ている皆さんに言います。その手には拡声器を持っています。


アリアドネ「みんな起きて!この前の官憲さんから新しい依頼があるみたいだよ!!」


皆さんは起きて下さい。話に続きがあるようです。


アリアドネ「ギャング組織の幹部の恋人から話を聞きたいから、詰所に連れてきてほしいんだって。その女の人は私と同じシーン神官みたいだよ。詳しくは詰所で、って言っているみたい」


詳細な依頼内容は以下の通りです。


・依頼はギャング組織の幹部の恋人アリアナを探し出し、詰所に連れてくること

・アリアナはシーン神官の冒険者

・説得して連れてくるのが望ましいが、多少は強引な手段に訴えることも認める

・報酬は1人あたり2500G


すぐ出発すれば目的地には午前中に着くことができるでしょう。他に依頼はなく、できればこれまでの経緯を知っている皆さんに受けてほしいとのことです。


2 聞き込み(官憲)

 

詰所に到着しました。この前の官憲が出迎えてくれます。

 

官憲「今回も君たちが来てくれたか。ありがたいことだ。この前のアンデッドについて情報が出た。ギャング組織ブルライト・シンディケートと敵対する新興勢力、エリア・ボーイズのメンバーの死体だったのではないか、ということだ。つまり殺人事件だ」


先日あなた達が戦ったアンデッドは、ギャングの構成員の死体でした。殺人事件の可能性が浮上したため、関係者から事情を聴取したいとのことです。


ブルライト・シンディケートの幹部の1人、レオナルド(25歳男性)の恋人アリアナ(23歳女性)は冒険者で、ギャングの構成員ではありません。そのため、円滑な事情聴取が期待できます。


ただし、彼女は神出鬼没で探すのは困難です。そのため、皆さんに彼女を探してほしいという依頼を出すことにしました。さらに、官憲から話を聞くことができます。

必ずロールプレイを挟むこと


ギャング組織ブルライト・シンディケートについて

官憲「この地域に古くから存在しているギャング組織だ。違法な薬草の取引など、犯罪行為で収益を得ている。トップはリカルド(60歳男性)だが、幹部の1人であるレオナルドに代替わりするという噂もある」


新興組織エリア・ボーイズについて

官憲「最近勢力を拡大しているギャング組織で、比較的若い構成員が多い。違法な薬草の取引などの犯罪行為で収益を得ているのはブルライト・シンディケートと同じだが、当然ながら彼らとは利害が対立している。トップは不明。上下関係があまり厳しくないという話もある」

 

リカルド60歳男性)について

官憲「ブルライト・シンディケートのボス。幹部の1人であるレオナルドは孤児だったが、リカルドに拾われてギャングの構成員となったという噂がある」

 

レオナルド25歳男性)について

官憲「ブルライト・シンディケートの若き幹部。孤児だったが、リカルドに拾われてギャングに加入したとか。統率力に優れており、次期トップと期待されているらしいな。アリアナは彼の恋人だ」

 

アリアナ23歳女性)について

官憲「レオナルドの恋人で、シーン神官の冒険者。彼女は構成員ではないが、幹部の恋人であることから重要参考人となるだろう。ただ、いつもどこにいるのか分からないので探してほしい」

 

死体について

官憲「君たちは全部で(PL人数 × 2)体のアンデッドと戦闘しており、その全てがエリア・ボーイズの構成員の死体と考えられる。残虐な方法で殺したか、死体をいい加減に野焼きしたためにアンデッドとなったのだろう」

 

アンデッドとなった構成員はなぜ殺されたのか

官憲「ギャングのことだ、恐らくは敵対勢力間の抗争だろう。とはいえ普通の殺し方ではないな、並大抵ではない恨みがあった可能性がある」

 

どのようにアリアナを説得すればよいか(→説得にボーナス修正+3

官憲「彼女は神官の冒険者だ。構成員ではない。したがって、ギャングの連中とつるんでいることが良くないという自覚はあるはずだ。恐らく、社会規範に対して従順な人間だろう。道を踏み外さないためにギャングとの関係を今すぐ絶つべきだと言えば、響くものがあるはずだ。説得に成功すれば、報酬とは別に掘り出し物の装備品をあげよう」

 

説得に失敗した場合、どうすればよいか

官憲「構成員ではない人間に対してこのようなことをすべきではないということは承知しているが、生け捕りにして連れてきてほしい。死なない程度であれば多少の暴力も目を瞑ろう。事態は深刻だ」

 

最後に、目標値15/20で聞き込み判定(冒険者レベル+知力B)が可能です。


【達成値15以上19以下】

さらに、2つの情報が得られました(聞き込みしていない情報を開示する)

【達成値20以上】

さらに、3つの情報が得られました(聞き込みしていない情報を開示する)


詰所での聞き込み調査を終えると、アリアドネが言います。


アリアドネ「酒場の主人にも話を聞いてみようよ。アリアナが来たことがあるかもしれないし」


すべての情報の開示に成功した場合、官憲は人数分の魔香水を渡してくれます


3 聞き込み(酒場の主人)


詰所の隣の酒場に入ると、ナイトメアの酒場の主人が声をかけてくれます。


主人「おお、いらっしゃい。また依頼かね?」


数日前にも訪れたので、主人に顔を覚えられたようです。時刻は正午頃で、他に客はいません。3Gでビールを注文できます。


主人「兄ちゃんたち、アンデッドを討伐してくれたんだって?夜出歩けなくて不便だったから、本当助かったよ」


酒場には様々な客が出入りしているため、主人から世間話を聞くことができます。

必ずロールプレイを挟むこと


ギャング組織ブルライト・シンディケートについて

主人「ギャング?長生きしたければあんな危ない奴らには関わらない方がいいぞ?今は他にお客さんがいないから話しても構わんが。昔からいるな、あいつらは。ガキの頃、下っ端の構成員が俺を誘拐しようとしたんだが、勇敢な冒険者に助けられたんだ。それが今では兄ちゃんのギルドのマスター、ってわけよ」


新興組織エリア・ボーイズについて

主人「エリア・ボーイズ?聞いたことがないな。新手の勢力か?物騒な世の中になったもんだな」


リカルド60歳男性)について

主人「ギャングのボス?知らないな。まぁ、お客さんの大半は名前も知らないから、実はこの酒場の常連だった、とかな」


レオナルド25歳男性)について(→説得にボーナス修正+3

主人「お客さんの中にはいないが・・・聞いたことがあるな。そうだ、アリアナの恋人だったな。詳しくは聞かされていないが、アリアナっていう若い女の子の恋人なんだよ。それが、どうやらギャングの構成員らしいな。美人だから他に男はいるだろうに、どうしてギャングなんかと付き合うのかね。他にもいい男はいる、って誰かが強く言ってやるべきだな」


アリアナ23歳女性)について

主人「うちにたまに来る女性のお客さんだよ。前に来たのは先月だな。聖印を持っているから、神官だろうな。シーンの神殿に併設されている孤児院の出身と言っていたな。ここから歩いて1時間ほどの場所にある。一応、兄ちゃんたちと同じ冒険者らしい。魔法生物が好きで、よく会いに行っているそうだ。行き先は遺跡か?」


アリアナの人柄について

主人「いい子だよ。ギャングの彼氏がいるとはいえ、犯罪に手を染めるような子ではないな。それに彼女は神殿の孤児院出身の神官だ。もっと知りたければ、神殿に行ってみるといいんじゃないか」


アリアナの実力について

主人「暇さえあれば遺跡に行っているし、冒険者稼業は最低限、ってところだろうな。逆にいえば、その程度しか働かなくても食っていける程度には実入りのいい仕事を任されているんだろうな」


最後に、目標値15/20で聞き込み判定(冒険者レベル+知力B)が可能です。


【達成値15以上19以下】

さらに、2つの情報が得られました(聞き込みしていない情報を開示する)

【達成値20以上】

さらに、3つの情報が得られました(聞き込みしていない情報を開示する)


酒場での聞き込み調査を終えると、アリアドネが言います。


アリアドネ「みんな、神殿に行きたい?場所なら知っているよ。私もシーン神官だからね」


すべての情報の開示に成功した場合、酒場の主人は人数分の3点魔晶石を渡してくれます


4 聞き込み(シーン神官)


アリアドネに連れられてしばらく歩くと、シーンの神殿に到着しました。神官が出迎えてくれます。同じシーン神官のアリアドネが聖印を見せながら、あなた達を代表して挨拶します。


アリアドネ「初めまして。私は神官のアリアドネです。この神殿の神官のアリアナ様にお会いしたいのですが、いらっしゃいますか?」

神官「アリアナですね?少々お待ちください」


少し待つと、神官は申し訳なさそうな顔をしながら戻ってきます。


神官「今、出かけているみたいです。あの子のことは幼い頃からずっと見ているのですが、魔法生物が大好きで遺跡に行くと言い出すと、何日も戻ってこないこともあるもので・・・」


神官はそう言うと、遺跡までの道のりをアリアドネに教えてくれます。

あいにくアリアナは不在のようです。神官からアリアナについて話を聞くことができます。

必ずロールプレイを挟むこと


ギャング組織ブルライト・シンディケートについて

神官「よく存じ上げません。この地域は貧民街から離れているので、影響はないのです」


新興組織エリア・ボーイズについて

神官「聞いたこともないですね。新しい組織でしょうか?」


リカルド60歳男性)について

神官「よく存じ上げません。組織を束ねている方なのでしょうか?」


レオナルド25歳男性)について

神官「どこかで耳にしたような・・・思い出しました、アリアナの恋人です。でも、よく聞くとその方はギャングの構成員なのです。私はそのことが気がかりでならないのです」


アリアナの出自について

神官「3歳の時、彼女を引き取りました。彼女の両親は流行病で亡くなりました。彼女は成人して神官となり、今は冒険者として収入を得ているようです。ただ、魔法生物が大好きでよく遺跡に行くため留守にしていることが多いです」


アリアナの人柄について(→説得にボーナス修正+3

神官「彼女は幼い頃から神殿にいるので、主の敬虔な信徒です。彼女自身が孤児だったこともあり、恵まれない人々へ手を差し伸べることにはとても積極的です。私の一番の心配事は、彼女がギャングの構成員と関係を持っていることです。私は、そのような関係は断ち切って、私たちの神殿に戻ってきてほしいのです。どうか、彼女に会ったら皆さんからも言って頂けませんか」


アリアナの実力について

神官「危険の多い遺跡によく出入りしているので、相応の実力者だと思います。それに、神殿の建物の修繕にお金が必要な時によく『私が出すよ』と言ってくれるんです。ありがたい限りです。冒険者として相応の収入があるのではないでしょうか」


最後に、目標値15/20で聞き込み判定(冒険者レベル+知力B)が可能です。


【達成値15以上19以下】

さらに、2つの情報が得られました(聞き込みしていない情報を開示する)

【達成値20以上】

さらに、3つの情報が得られました(聞き込みしていない情報を開示する)


神殿での聞き込み調査を終えると、アリアドネが言います。


アリアドネ「情報は集まったみたいだね。遺跡へ行こうよ」


すべての情報の開示に成功した場合、神官は人数分の月光の魔符(+1を渡してくれます


5 アリアナ


遺跡に到着すると、入り口付近に1人の女性が立っています。魔物知識判定をしても構いません。



邪神を崇める神官(Ⅱ450頁)※シーン信仰(第1の剣の大神、特殊神聖魔法→MA104頁)

知名度10、弱点なし

※邪神(第2の剣の神)を崇める神官のデータで代用

※説得に成功すると投降する


あなた達は、彼女がアリアナであると気付くでしょう。参考人として詰所に来るよう、説得を試みることができます。では、説得して下さい。


説得の目標値(秘匿)について

冒険者レベル+知力Bを基準値として、目標値25の判定を行う。

説得に有利に働く材料は全部で3つ。1つ言及するごとに達成値に+3のボーナス修正(最大+9


官憲:どのようにアリアナを説得すればよいか(→説得にボーナス修正+3

「道を踏み外すべきではない」

酒場:レオナルド25歳男性)について(→説得にボーナス修正+3

「他にいい男はいる」

神官:アリアナの人柄について(→説得にボーナス修正+3

「シーン神官として神殿に戻ってきてほしい」


成功: 5-1(説得)へ

失敗: 5-2(決戦)へ


5-1 アリアナ(説得)


あなた達が必死で説得を試みた結果、彼女は観念したように言います。


アリアナ「分かったわ。こんなこと、良くないというのは頭では分かっていた。あなた達の勝ちよ。説得に応じてあげる。その代わり、責任取っていい男の紹介くらいしてよね」


5-2 アリアナ(決戦)


あなた達は必死で説得を試みましたが、彼女に届くことはありませんでした。


アリアナ「あなた達がなんと言おうと、私の想いは変わらないわ。どうしてもと言うなら・・・」


彼女がそう言った直後、背後から球体が現れます。


フォスファースフィア(Ⅲ390頁)

知名度15、弱点値20

※知能:低い


邪神を崇める神官(Ⅱ450頁)※シーン信仰(第1の剣の大神、特殊神聖魔法→MA104頁)

知名度10、弱点なし

※知能:人間並み

MPが減少した状態で戦闘開始する(3PT-304PT-15

※気絶したら生死判定(目標値16)を必ず行う

※魔法生物を倒すと投降する


アリアナ「この子を倒すことね。そうしたら投降するわ」


もはや、実力行使以外に選択肢はありません。戦闘開始です。目標値14で先制判定をどうぞ。

なお、アリアナはこの日魔法を使用していたため、MPが減少しています。


〇戦利品表【フォスファースフィア】

自動:80G×1d(緑B×1d

2-8520G(金A

9-520G×1d(金A×1d


〇戦利品表【邪神を崇める神官】

2-12660G(黒白A

13-3300G(白S


投降時:魔法生物を倒すと、アリアナはその場に座り込んで言います。

撃破時:気絶していたアリアナは目を醒ますと、あなた達に言います。


アリアナ「分かったわ。こんなこと、良くないというのは頭では分かっていた。あなた達の勝ちよ。そこまでするなら説得に応じてあげる。私はこんなことで死ぬほど馬鹿じゃないわ」


6 エピローグ


詰所に戻ると、官憲が出迎えてくれます。参考人としてアリアナを連れてくることに成功したため、依頼は成功です。更なる調査が進めば、再び依頼が舞い込んでくるかもしれません。

このシナリオは、展開によってエンディングが異なります。


〇基礎報酬(2500G1000経験点、1成長)

条件:アリアナが生存している


6-1 エピローグ(説得)


官憲にアリアナの説得に成功したことを報告すると、彼はたいへん喜んでくれます。


官憲「実は、生け捕りにするのはかなりグレーなやり方だったんだ。君たちならうまくやってくれると思ったよ。さあ、約束の掘り出し物を受け取ってくれ」


掘り出し物セットは人数分用意されています。皆さんはABのセットから1つ選んで下さい。


A:ブラックベルト(Ⅰ340頁)+デクスタリティポーション(Ⅱ248頁)

B:信念のリング(Ⅰ339頁)


6-2 エピローグ(決戦)


官憲にアリアナの説得には失敗したが、実力行使で連れてくることができたことを報告すると、彼は喜びつつもこう言うでしょう。


官憲「実は、生け捕りにするのはかなりグレーなやり方だったんだ。君たちならうまくやってくれると思ったよ。もし参考人が死んでいたら、君たちは殺人罪、私も投獄は免れなかっただろうからね。ともあれ、終わりよければ全てよし、だ」


皆さんの隣で、アリアドネが青ざめています。


アリアドネ「もう牢獄は嫌だよ・・・」


次回:第2回「貧民街の調査・後編」