一大事件が起きる日の朝は、


だいたい昔から何事もない普通の朝だと決まっている。


いつものようにコーヒーを買い、


いつものようにパソコンでメールをチェックする。


2月6日、水曜日もそんな朝だった。



そんな中、11:45 スタートで上司から会議案内が届く。


場所は人事VPのオフィス。


ちょうどそんなタイミングでいまさっき首を切られた人たちの噂が社内を巡る。


昔からこの会社はリストラを突然断行する。


社内の混乱を避けるために、極秘に進められ、呼び出されて通告を受けると


もう自分のデスクへは戻れない仕組みになっている。


かばんなどの私物は最後に上司が取ってきて、最後に手渡される。



私の場合もそうだった。



人事VPのオフィスに入ったとたんの重々しい空気で、全てを悟る。


その瞬間、もうこれからのことを考え始めていたので、


話はほとんど聞いていなかったが、


手にスクリプトを持つ上司の姿が、何か宣告感あるなーという気にさせる。



この会社は前に一度辞めている。


その時は自分から転職するために辞職した。


2年半前に復帰した際は、


新プロジェクトのスタートが理由だったが、


結局途中で大きな組織改編があり、方向性が真逆になってしまい、


その状態で業績に陰りが見え始め、ポジションが不要になったという話。


「I WAS IN THE WRONG PLACE AT THE WRONG TIME」



10分くらい説明を受け、分厚い資料をもらい、


人事VPと別れて別室のキャリアカウンセラーなる人と合った。


このカウンセラー、おばあちゃんである。


酸いも甘いも知った年齢だろうが、


将来とかあまり心配しなくてよさそうな雰囲気を出してる感じが


何とも逆効果だなーと思った。



このサービス、レジュメの書き方や職探しのアドバイスなどをしてくれるらしい。


必ずリストラについてくるあのサービスである。


リストラは初めてだが、転職経験はあるので、


もう初歩的なアドバイスはいらないだろう。


と言いながら、2/12&13 の二日間このセミナーに参加することにした。


先生はこのおばあちゃんなのだろうか・・・?



かばんをもらったら、そのまま帰るべきなのだが、


去る前に日本人駐在員のトップの方に挨拶だけ済ませてきた。


こういうトコ、日本人だなーと我ながら思う。


そしてわりと冷静でいられる自分に気づく。


この方が知っていたか、知らなかったかは分からなかったが、


お世話になりました、と挨拶すると、


うんうん、となみだ目になって、終始言葉に詰まっていた。


その人の人の良さが伺えた瞬間だった。



車に乗り込み、会社を後にする。


運転しながら、目まぐるしく過ぎた、


この30分程度の出来事を反芻していた。



もちろん残念ではあるが、無念ではない。


「ほぉ~、こういう球もあるんだな」


と人生の変化球を投げられ、


どう対処していこうか、という気分である。



ここ数年、子供たちが育っていく中で、


家族の犠牲を払った上で、キャリア向上を目指す意識はなくなった。


子供たちに与えるものを与えるためのキャリアだと思っている。



そこに自分自身の軸を置いて、この失業日記は始まる。


そこに自分自身の軸を置けば、絶対大丈夫だと思っている。