Radwimps - Zenzenzense <洋楽で学ぶ英文法> | Laylahの猫足イタリア語

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ひらめき電球短期集中! 3か月英会話(10月~3月放送分)

 
 

ネコ追悼ウィーク、1964年のヒット曲、プログレの週を飛ばしまして、今日は番組最終週「日本のアーティストによる英語の曲」から Zenzenzense です。
 
 

ヘッドフォン 講座を書き起こしたものをまとめています。
 
 
 

洋楽で学ぶ英文法


12月25日放送分
Lesson 34  Zenzenzense



最近のヒット・ソングを中心に、人気の洋楽を1曲取り上げ、英文法の視点から歌詞を読み解いていく短期集中講座「洋楽で学ぶ英文法」。
 

番組最終週は趣向を変えて、日本のアーティストによる英語の曲を取り上げます。


今日ご紹介するのは、2016年夏に大ヒットした映画『君の名は』の主題歌の英語ヴァージョン。 Radwimps で "Zenzenzense"。



DJ: 「前前前世」、英語で歌われているヴァージョンを今日はピックアップしてみます。ね、もう言葉が満ち満ちと溢れているという感じですね。


タケカワさん: ぐぉーっときて、「前前前世♪」というところかっこいいですね。


DJ: この Radwimps、2001年に結成された4人組なんですね。バンド名ですが、「すごい」とか「いかした」という意味のスラング rad (アールエーディー)と、「弱虫」「意気地なし」を意味する wimp を組み合わせた言葉。 Radwimps 。まあ、かっこいい弱虫。みたいなニュアンスでしょうかね。

2005年にメジャーデビューしますが、動画サイトやSNSを活用して口コミでファンの支持を獲得していきます。

ヴォーカル/ギターを担当するフロントマン野田洋次郎さんがほぼすべての作詞作曲を手がけて、彼の日本語の歌詞の言葉遊びですとか、音楽センスもバンドの大きな魅力となっていますね。

野田さんなんですが、小学校4年までアメリカに住んでいたということで、英語もまさにネイティブな発音。ただ、ご自身が言うには、英語は高校時代に猛勉強して身につけた。努力の人なんでしょうね。高校できっちりと色々と勉強した。


タケカワさん: そうだと思います。すごいよ。


DJ: さあ、映画『君の名は』は、男女の高校生が入れ替わる。転生するというんでしょうかね。ラブストーリーです。映画が大ヒットしまして世界各国で公開されたんですが、それに合わせて英語版 Zenzenzense が作られました。作詞も日本語版と同じく野田さんが書いています。


先生: テキストをお持ちの方、見ていただきたいんですけども、日本語の歌詞の量に比べると、英語の歌詞、圧倒的に量が多いんですよね。


DJ: 英語のほうがボリュームが増えているということですね。


タケカワさん: 文字で見ると、英語のほうがものすごく多いように見えるかもしれないけれども、音楽って、文字の、例えば単語数でもなければアルファベットの量でもなくって、シラブルに合わせるんですよ。大体が母音なんですけれども、母音の数に合わせるんですよ。そうすると、日本語の場合はひらがな1個で1つのシラブル。だけれども、英語の場合は、例えば、last って言うと、last だけで1個のシラブルなんだけれども、4つアルファベット使うんですよ。彼は音楽家なので、シラブルは合わせてるはずなのね。


DJ: ほほぉ。


タケカワさん: なので、そんなに多くなってないかもしれないです。見た目は多いですけどね。


DJ: 発音してみると。


タケカワさん: 多分同じなんじゃないかなっていう感じはしますけれども。


DJ: さあ、それではオリジナルの日本語の歌詞は、テキストでご覧いただくとページの右側、そして左側は英語の歌詞ということです。英語歌詞が単なる英訳ではないところも注目していきたいですね。


タケカワさん: そうですよね。


DJ: それでは、冒頭から聞いていきましょう。



At last, hello you've opened your eyes
But, why won't you even look me in the eyes, what's wrong with you?
You angrily tell me that I'm late
Well, I'm sorry, but I did my best and running at my fastest pace



オリジナルの日本語の歌詞はこうなっています。


やっと眼を覚ましたかい
それなのになぜ眼も合わせやしないんだい?
「遅いよ」と怒る君
これでもやれるだけ飛ばしてきたんだよ




DJ: 先生、このパート、気になるところはありますか?


先生: 例えば、日本語のほうでは、「これでもやれるだけ飛ばしてきたんだよ」って、弁明していて、謝ってすらいないけれども、英語だと、Well, I'm sorry, 謝ってますよね?


DJ: はい。


タケカワさん: なるほど。


DJ: どことなく、オリジナルの日本語の歌詞を英語を使って解説しているかのようにも思えますね。


タケカワさん: そうですね。だから、歌詞全体が韻もはっきりと踏んでるわけではないので、やっぱりできるだけもともとの日本語のイメージを損なわないようにしようという意図だったんではないかなと。

で、それを英語的にかっこよく、hello って入れてみたり、 I'm sorry って入ってたり、これが入ってるのは数をあわせるためですよね。もう音楽が出来上がってるわけだから。そのために、 At last, hello かっこいいですよね、とか、 Well, I'm sorry で始まっていくことだとかっていうのを入れながら、それでももとの、みんながものすごくよく知っている日本語の歌詞とまったく違うことを書くのはよしとはしなかったっていうことなんじゃないかなと思いますね。いやぁ、もう気遣いがものすごく感じられますよね。


DJ: さあ、その気遣い、ここでも感じることができるでしょうか?飛びまして、39、40行目。



I wonder if we can push our way through
The countless barrier that's waiting
in the future just beyond our view



オリジナルの日本語歌詞を見てみますと、


私たち超えれるかな この先の未来 数えきれぬ困難を




タケカワさん: ここは韻を踏んでるんですよね。


DJ: はい。


タケカワさん: throughview で。その後、テキスト見ていただければ、その後もずっと韻を lose, rules, use まで、いかにも英米の歌詞のような形で韻を踏んでて、だから、ここのところで、例えば、Just beyond our view っていう言葉は、日本語の場合はないんですよね。その前に、 in the future で、もうこの先の未来のことは言っちゃっているので、それでこの言葉をつけて through と韻を踏んでいるっていうふうに考えていいんじゃないかと思うんですけども。西洋の人たちが考えそうな形で韻を踏んでいく。もう最後のほうですからね。だから、もともとの歌詞にちょっとぐらい足しちゃっても、なんて言うのかな、平気だろうということで、こういうかっこいい、耳障りのいい英語になっているんじゃないなかなっていう感じがするんですけれども。


DJ: なるほど。その韻を畳みかけるように踏んで踏んで、そして最後のサビにもっていく。


タケカワさん: Zenzenzense 行くんですよね。 Zenzenzense のところ大好きですね。


DJ: スカッと。カタルシスのような感じがしますね。


タケカワさん: そうですねぇ。


先生: 今回この英語版と日本語版見てね、一箇所だけ除いてすべて翻訳されてるんですよ。じゃあ、どこだけ訳されてないかって言うと、 Zenzenzense なんですよね。


タケカワさん: これはね、これがかっこいいからですよ。 Zenzenzense っていうのは、僕ら日本人が聞いても、意味よりもそのかっこよさが出てくるじゃないですか。だからこれは世界共通だと。


DJ: いわゆるキラーフレーズとしてのサビの言葉のかっこよさですね。


タケカワさん: そうですね。この Zen は、座禅の禅、日本を表すときの「禅」ってあるじゃないですか?そういうふうにも聞こえるんだもん。だから、そういう意味では、外国で Zenzenzense ってやると、
「おおおぉっ!なんかジャパニーズだなぁ」っていう感じが絶対にあると思いますよ。それも狙っているはずだし。


DJ: 戦略としてのこの Zen


タケカワさん: Zenzenzense だと思いますね。


DJ: 全然ありだと思います。…というのは間違った日本語の使い方なんですよね?


タケカワさん: そうですか?


DJ: 全然は必ず否定をあとにつけてください。でしたよね、先生?


先生: いや、最近はいいみたいですね。


DJ: あれぇ?


タケカワさん: 全然問題ない。


DJ: 言葉って生き物ですねぇ。





本 「文法コーナー:洋楽から学ぶ英文法の世界」


今日のテーマは「重い目的語は文末へ」です。



DJ: 先生、「重い目的語」って何ですか?


先生: いくつもの語からなる長い目的語が「重い目的語」です。そういった長くて重い目的語が文末にもってこられている例を考えてみたいと思います。

まずは今日の歌からこちらをお聞きください。



'Cause you took away from me the way to give up so clearly and awkwardly



DJ: 曲の後半に出てくる歌詞ですよね。この文の動詞は took ですが、目的語はどれなのでしょうか?


先生: took の目的語は、文末にある長い名詞句 the way to give up です。


DJ: 長くて思い目的語を文末にもってくると何かいいことがあるんでしょうか?


先生: はい。英語は文末にスポットライトが当てられる言語なんですね。よっって、長くて重い目的語を文末にもってくると、そこにスポットライトが当てられて目立つようになるんですね。


DJ: なるほど。オリジナルの日本語の歌詞も、「君は僕から諦め方を 奪い取ったの」と、何を取ったのかを強調しているので、そのニュアンスを英語でも出しているんですね。 the way to give up いったい2人の間に何が起こったんでしょうね。


以上、英文法コーナーでした。




ということで、今日は掘れば掘るほどいろいろな思いが明らかになってくる Radwimps の "Zenzenzense" の歌詞を見てきました。

オリジナルの日本語の歌詞があり、それを書いたご本人がまた英語の歌詞を書いているということで。


タケカワさん: こういうことができるってなかなか稀なことなので、できる人はすごい幸せなことだなって思いますよね。

例えば小説を書いて、それが翻訳されてしまった段階で、もう違うものになっちゃうわけじゃないですか、ある意味。その自分が書いたものがどのぐらい本当に言ってるのか?


DJ: 100%抽出できてるか?っていう。


タケカワさん: っていうのみんな考えちゃうところだと思うんですけど、それを自分で両方書けちゃうっていうのは、やっぱりね、最高なことだと思いますよ。


DJ: この Radwimps、今後もどんな音楽を聞かせてくれるのか、そしてどのように、また世界でも聞かれていくのか、期待が高まります。

改めて曲を聴きながら今日はお別れです。



英語版流星群

 


        さる
日本語版さる焚き火さる















各国語での歌詞一覧