長くコレクターをやっていると、どんな絵が良い絵かと聞かれることがあるが、芸大を出ているわけでは無いので、聞く相手を選んでくださいと言うしか無い。しかし、自分なりの基準がないかと言うと、あるにはあるのである。例えば生活に支障が出ることが分かっていても、どんな手段を使っても欲しくなる絵。1ケ月壁に飾っても飽きのこない絵。見る側にこれは参ったと言わせてしまう絵などなど。しかしそれらしく話すなら、写実であれ、具象であれ、抽象であれ、描く技術はベースで必要条件だが、だからといって高い技術で描かれた作品が、必ずしも良い作品とは言えないと思っている。あくまでも個人的な主観だが、作品には作者が描きたい主題があり、そのモチーフに対する本質的な理解や、やむにやまれぬ思いが技術に上乗せされていないと、長い時間鑑賞していると飽きる飽きないと言うフィルターで厳格に選別される。芸術一般に言える事で、絵でも、陶磁器でも、書でも、音楽でも共通していると思う。


この絵は居島春生と言う画家が描いた作品である。画題は普通上の絵なら「奥入瀬渓流」ですが、実は「憧れを静かに」と言う題です。なぜこんな題なのかスカスカ頭には考えてもわかるわけがないので、あえて逃げ回っておきますが・・・(笑)
それにしても、いったいこの作品を描く為に、画家どれだけキャンバスに絵筆を運んだのかと思うと、根気も執念も無い自分は口を開けてみるより他に術がない。