大いなる不在 ★★★☆☆

 

別の女性と暮らすために母と自分を捨てた父親と三十年振りに会ったら、認知症になっていた、というお話しで、父親は元大学教授で、後妻は元教え子で、だんだん言動がおかしくなっていく教授を支えていたけど、ある出来事でぷっつりと気持ちが切れて、父親を残して家を出てしまい、父親に対して何の感情も抱かなかった息子が、父親を施設に入れるなどの手続きをしながら、居なくなった義母を探す、という展開を時間軸をバラバラにして描いて、どのようなことがあったのかは、徐々に分かってくる構成ですが、元大学教授だったから弁も立ち、理知的な人間だ、という自負がある分、言動が利己的で感情的になっていく感じを藤竜也が見事に演じていて、その存在感に作品全体が引っ張られている感じでしたね。