炎のランナー ★★★★☆(購入したBDで鑑賞)
ここで取り上げる作品は、自分が始めて観た作品、という原則でやってきましたけど、今回は特別編。
今から百年前のパリオリンピックの100メートルと400メートルで金メダルを取った二人のイギリス人選手を描いた1981年の有名作で、今回パリオリンピックの開催時期に観ようと思っていて、敢えて取り上げさせてもらいました。
公開当時映画館で二回観た後、一年後くらいにテレビで放送された吹替版を録画して、それこそ台詞を覚えるくらい何度も観た作品で、ハロルド・エイブラハムズとエリック・リデルという二人のアスリートの金メダルを取る過程ではなくて、その二人の生き様を描いていて、それぞれユダヤ人であることの偏見を打ち破るため、神の信仰を抱いて、その喜びを伝えることと布教活動の助けになることを目的として、いわゆる逆境を跳ね返してカッコよく金メダルを取ることを描いた作品ではないので、逆にその背景を知ると奥深さが見えてきて、有名なヴァンゲリスの音楽や同じくアカデミー賞を受賞したミレナ・カノネロの衣装、コリン・ウェランドの脚本、そしてデーヴィド・ワトキンの撮影、テリー・ローリングスの編集も何度観ても飽きないほど見事ですね。ちなみにエリック・リデルの妹、ジェニー・リデルと二人のライバルだったアメリカの短距離選手、ジャクソン・ショルツは、撮影時存命で、当時を知るスペシャルアドバイザーとして参加しているようですが、1986年のショルツの死亡記事には、完成された作品を観て、事実と違うところがある、と言って気に入らなかった、と書いてあったことなんかも思い出されますね。