金子文子と朴烈(パクヨル) ★★★★

関東大震災発生時に、朝鮮人が川に毒を流した、というデマによって多くの朝鮮人が虐殺された事件の背景と、その出来事の首謀者として逮捕された朴烈(パクヨル)とその恋人だった日本人女性、金子文子の裁判を描いた韓国映画で、大正13年、在日朝鮮人の社会主義者が集まるところで暮らすアナーキストの朴烈の出版した詩集に感銘を受けた日本人女性、金子文子が押しかけて、そのまま同棲しているうちに関東大震災が起こって、災害時の政府の対応を非難されないようにガス抜きとして内務大臣、水野錬太郎が朝鮮人デマを流して、同時に朝鮮人の社会主義者、アナーキストを大量検挙して、そのうちの一人、朴烈に白羽の矢が当たって、事件の首謀者として尋問されて、そのまま裁判に持ち込もうとする、という一連の出来事は、日本国内ではほとんど知られていないので、あの事件の裏でこのようなことがあったのか、という驚きがありましたね。また、朴烈を演じたイ・ジェフンはもちろん、金子文子を演じたチェ・ヒソ、水野男爵を演じたキム・インウが流暢に日本語を話して日本人を演じていたのが見事でしたね。