求められる社会福祉法人の監事の役割 | 法律税務研究会ブログ

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 平成29年4月1日より改正社会福祉法が施行され、社会福祉法人の経営組織のガバナンス・事業運営の透明性の向上、財務規律が更に強化されました。評議員会の設置が義務化され、理事と評議員の兼任が出来なくなった事、評議員の選任に理事が関与しなくなった事、は同族経営を更に希薄化若しくは排除する意味でとても良い事だと考えます。

 監事についても、その権限・義務・責任がより明確になりました。監事は2名以上、主たる職責は、理事の職務執行の監査です。

 監事には、従来から、社会福祉事業と財務管理のそれぞれに識見を持つものが選ばれなければならないと明記されています。もっともこれまでは、理事等との信頼関係を重視し、最低限の監査のみ行って監査報告書に判を押す事が多く、その為に報酬も低く、行政もボランティア的位置づけで見ており、それが今も続いているのを感じる事もあります。識見を持つものとはプロであり、即ちプロとして十分な監査業務等を行う事が法律上求められていると考えます。

 十分、とは具体例として、監査計画書を作成する事、決算監査業務以外に頻繁に期中監査を行いその報告も理事会・評議員会に提出する事などが挙げられます。また、法人の各種行事、特に利用者が多く参加する行事に積極的に参加し、利用者から気軽に忌憚無い声を直接聞く工夫も重要であると考えます。

 規模の比較的大きい事業所が複数ある場合、監事が2名だけでは十分に目が行き届かないので、事業規模に応じて監事数を増員したり、会計事務所・法律法務事務所を活用した資料チェック態勢を整えるのが良いと考えます。そして、その業務に見合う相応の監事報酬を臆せず求める事が、ガバナンスの強化に積極的に貢献するものと考えます。

今改正で気になったのは、監事の評議員会への報告・出席義務までは明記されていない事です。評議員会が監事を選任するのですから、監事の頑張りは評議員会にも十分に見て貰いたいところです。

(永岡 稔:税理士)