こんばんは。白衣を脱いだ広島の薬剤師あかねです。
最近の自宅に届く新聞の薄さに驚いています。
混雑を避ける意図だと思いますが、広告がとても少なくなっています。
これが新聞を手にした時に感じる薄さなのかもしれません。
今日は新型コロナウイルス感染のリスクとなる基礎疾患としては最後になる『悪性腫瘍』についてお伝えします。
先日亡くなった岡江久美子さんの場合がこれに当たるのかもしれません。
そして岡江久美子さんの死後、悪性腫瘍の治療をしている人がとても不安を感じているとの報道もありました。
まずは『悪性腫瘍』とは何かについてお伝えします。
悪性腫瘍とは
通常私たちが『がん』と言っているものが悪性腫瘍のことで、日本人の死因の第1位です。
悪性腫瘍とは
通常の細胞が、何らかの原因で傷ついて異常な働きをする細胞に変わってしまい、その細胞が増殖することで腫瘍と呼ばれる状態になります。
腫瘍のうち、悪性のものが「悪性腫瘍」「がん」と呼ばれます。
悪性腫瘍の特徴
<1> 自立性増殖(じりつせいぞうしょく)
正常な新陳代謝を無視して、自律的に増殖を続け、止まることがない
<2> 浸潤と転移(しんじゅんとてんい)
周囲に滲み出るように拡がったり(=浸潤)、体のあちこちに飛び火(=転移)したりして次から次へと新しいがん細胞をつくる
<3> 悪液質(あくえきしつ)
他の正常細胞が摂取しようとする栄養を、がん組織がどんどん奪ってしまうため、栄養が行き渡らずに身体が衰弱する。
では、この悪性腫瘍が新型コロナウイルス感染においてリスクとなるのはなぜでしょう。
悪性腫瘍の治療
そもそも悪性腫瘍に罹っている人はがん組織に栄養を奪われていて、身体が衰弱しています。身体が衰弱しているということは、免疫力が低下していて感染症に罹りやすい状態なのです。
それだけではなく、悪性腫瘍の治療においても免疫力を低下させることがたくさんあります。
- 抗がん剤治療
この治療はがん細胞の増殖を抑えます。しかしがん細胞だけでなく正常な細胞にも作用して赤血球、白血病や血小板などが作られなくなり免疫システムを弱めることになります。
つまり、免疫力の低下が起こり新型コロナウイルスに感染しやすくなるということです。
- 放射線治療
がん細胞に放射線を照射し死滅させます。
放射線照射は当てる部位が局所でも被曝することになります。
被曝により最初現れるのが、白血球の減少です。
白血球は病原性微生物(ウイルスや細菌)の増殖を防ぐ作用をしています。
つまり白血球が減少するということは、感染しやすくなるということになります。
- 手術
がんの病巣を切除することです。
身体にメスをいれることによる体力や免疫力が低下し、感染しやすくなります。
悪性腫瘍と新型コロナウイルス
『悪性腫瘍』であること事態すでに新型コロナウイルスに感染しやすくなっているだけでなく、治療中も新型コロナウイルスに感染しやすい状態だということです。
今日まで書いた全ての基礎疾患と同様に注意が必要だということです。
そして発熱等体調に異常を感じた場合は経過をみるのは2日間です!
2日経っても熱が下がらない場合は受診してください。
くれぐれも新型コロナウイルスの感染を恐れてがん治療を自分勝手に中止しないでください。
そして長時間の自宅待機に備えて、数週間分の薬と消耗品の備蓄を確認しておいてください!