こんばんは。白衣を脱いだ広島の薬剤師あかねです。
朝夕が寒い日がここ数日続いていますねぇ。
今年は、新型コロナウイルス感染の心配から例年よりインフルエンザの予防接種を受ける人が増えています。

10月1日から高齢者を対象に始まっており、26日からは全ての人も対象になりました。
この季節になるとよく訊かれるのが
「ワクチン打った方が良いの?打たない方が良いの?」です。
そこでもう一度、予防接種について書いていきます。
このブログが皆さんが予防接種を考える参考になればと思っています。
予防接種について書く前に、私たちの身体の中で起こっていることについてお伝えします。
まずは・・・『免疫』
『免疫』って何?
体内に病原菌や毒素その他の異物が侵入しても、それに抵抗して打ちかつ能力。また、異物と反応する抗体を作って発病をおさえる抵抗力を持つこと。転じて、物事がたび重なるにつれて慣れてしまうこと。
私たちの身体には、自分の細胞とそれ以外を識別する力があります。
識別をする細胞が『免疫細胞』で、識別して身体を守るシステムを『免疫』と言います。
『免疫』は大きく分けて2つあり、
- 自然免疫
- 獲得免疫 です。
自然免疫・獲得免疫とは
自然免疫とは・・・
自分の身体の中に侵入してきた異物(自分の細胞でないと識別されたもの)を攻撃する。つまり身体が自然と反応する最初の『免疫』のこと
獲得免疫とは・・・
一度侵入してきた異物は記憶されており、同じ異物が侵入してきた時直ぐに反応する『免疫』のこと
つまり、自然免疫 → 獲得免疫 に移行すると考えてください。
だから一度罹った感染症には罹りにくいと言われています。
小児で罹る麻しん(はしか)や水疱瘡などがそれに当たります。
ただ、全ての異物や全ての人が同じように自然免疫 → 獲得免疫と移行するとは限りません(このことについては後で書きます)
この自然免疫 → 獲得免疫 の方法として用いられるのが予防接種なのです。
予防接種とワクチン
そもそも予防接種って何でしょう。
予防接種とは、病気に対する免疫をつけたり、免疫を強くするために、 ワクチンを接種することをいいます。ワクチンを接種した方が病気にかかることを予防したり、人に感染させてしまうことで社会に病気がまん延してしまうのを防ぐことを主な目的としています。また、病気にかかったとしても、ワクチンを接種していた方は重い症状になることを防げる場合があります。
つまり、ワクチンを打つことで、特定の異物を限定して覚えさせて、獲得免疫の準備をしておくのです。
そして、本当にその異物が侵入してきたら直ぐに反応し身体を守るです。
この季節に打っているインフルエンザの予防接種は、ワクチン接種で自然免疫が起こり、これから流行するかもしれないインフルエンザに対して獲得免疫で待ち伏せしているのです。
では、ワクチンとは何でしょう
ワクチンの代表的なものとして「生ワクチン」と「不活化ワクチン」及び「トキソイド」があります。
生ワクチンは、病原体は生きているが、病原体のウイルスや細菌が持っている病原性を弱めたものです。
不活化ワクチンは、病原性を無くした細菌やウイルスの一部を使います。
トキソイドは、細菌の産生する毒素(トキシン)を取り出し、免疫を作る能力は持っているが毒性は無いようにしたものです
簡単に言うと、病気にする力を弱くしたり、無くした細菌やウイルスが入っている薬と思ってください。
つまり予防接種は、ワクチンで身体の中に細菌やウイルスをいれ、覚えさせ、獲得免疫を準備しておくものです。
ただし、力が弱いと言っても自分の体調が悪いとその病気に罹ってしまいます。
インフルエンザの予防接種を打ってインフルエンザになる人もいますよ!
最後に、予防接種で自然免疫 → 獲得免疫にならない人や病気についてです。
獲得免疫が出来ない人や病気について
予防接種で全ての細菌やウイルスに獲得免疫が出来るとは限りません。
インフルエンザのように毎年流行するウイルスの細かな種類が違っていたり、ウイルスや細菌が突然変化したりすることがあります。
そうなると、準備していた免疫では対応できないのです。
また、98~96%の人は予防接種で獲得免疫の準備が出来ますが、残りの人はその準備ができないのです。
そして、それは予防接種だけでなく、感染症に罹った場合も同じです。
つまり獲得免疫が出来ない人は、何度も同じ感染症に罹るということです。
また、獲得免疫が出来ない人でも全ての感染症に対して獲得免疫が出来ないわけではありません。
そして・・・
獲得免疫も一生続くとも限りません。
個人差があります。