以前開腹手術で盲腸を取った時の鋭い痛みはないが、鈍い痛みが続いている手術翌日。覚悟はしていたが、尿の管を抜き、歩いてみることになった。

 

体を起こしてみると意外なところが痛い。胸の辺だ。看護師さんに告げると心電図を見てくれたが、異常はないようで、部屋の入り口の辺まで7~8歩歩いた。これからは自分で歩いてトイレに行くのだ。再び横になるときも胸の辺が痛かった。「ふ~」と思って横たわりしばらくすると、別の看護師さん達がやってきて「大部屋に移りますよー。」と言ったかと思うと私のものを可動式の棚に乗せ、ベッドも棚もあれよあれよという間にゴロゴロと私の新たな病室である4人部屋に運ばれていったのである。

 

私の新たな部屋のルームメイト達はカーテンを閉め切り、気配はするものの、新入りとコミュニケーションを取ろうという感じではなかったので、私も「新入りです。よろしくお願いしま~す。」といった挨拶は割愛した。

 

一応あと2泊したら退院する予定だ。ここからは自分の回復と向き合うのみだとわかっているが、手術の傷というよりも筋腫などを出したところの裂傷や何だか胸や胃だけでなく、肩の辺まで痛くなってきた。看護師さんに言うと手術の時お腹を膨らませたので、そのせいで筋肉痛のような症状が起きているのだと教えてくれた。腹腔鏡は傷の痛みも少なく、術後の回復が早いと聞いていたが、そんな痛みがついてくるとは初耳だ。

 

しばらくいると部屋の様子がわかってきた。ルームメイトの一人は結構辛い闘病中のようで副作用で何度も吐いている。聞いていると辛くなる。筋肉痛の痛みぐらい我慢しようと思うが、痛いものは痛い。しかも経験したことのないような不快な痛みだ。胃は痛いだけでなく、動くと何かがプチプチいっている気がする。

 

夕方先生が迎えに来てくれて診察室に向かったが、あちこち痛くて診察室までがとてつもなく長い道のりに思えた。先生にも痛みを訴えてみたが、「あ~出ましたか。手術とは関係ない場所が痛くなるんですよね~。日柄で治るから大丈夫ですよ~。」とのことだった。何百何千の患者から同じことを言われ、すでに耳にタコができているのだろう。

 

翌日は昼から食事が出たのだが、「ごゆっくりどうぞ。」と言い残し、ご飯を置いて行かれても起き上がって、どんな姿勢で食べればいいのかがわからず、ほぼ食べられなかった。正直熱っぽくて食欲もそんなにない。さんざん世話になっている身の上だが、うまく座るコツを教えてくれない看護師さんを思わず恨んでしまうほどだ。

 

この日成し遂げたことは10回近くトイレに行ったこと。ただ、この夜は足をどうおいていいのかわからず、まったくもって眠れなかった。