15世紀末のフランス貴族の生活が垣間見える小説。
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パリのル・ヴィスト家からの依頼で製作されたタピスリーをモチーフにしたフィクション。
タピスリー(つづれ織り)でここまでの表現ができたことに驚き。
二年ほど前に日本で公開されたときは、興味がなくて見に行かなかったけど、
後悔してる。
「私のただ一つの望みに」という題のタピスリー。
ガンダム(昔のじゃなくて、最近のシリーズらしい)のキービジュアルにもなってるらしい。
この貴婦人のただ一つの望みってなんだろう。
キリスト教的な望みなのかも知れませんが、ミステリアスで、惹きつけられます。
他のタピスリーのテーマはそれぞれ「視覚」「聴覚」「味覚」「嗅覚」「触覚」「欲望」。
小説の中では、テーマが決まる時の経緯については「結構適当」な感じに
描かれてたけど、それを知らずにテーマとタピスリーを見たら、霊感に打たれるかも。
小説は、このタピスリーの下絵を描いたニコラという男が主人公。
女に滅法手が早い。(男前設定)
雇い主のル・ヴィスト家の令嬢にまで手を出しそうになって、
ル・ヴィスト家の女主人に「タピスリーがこんなに厄介ごとを生むなんて」と
嘆息させる色々が、なかなか面白かったです。
それにしても、奥方が娘に手を出されたら大変だから、侍女に向かって
「片時も離れてはいけません。寝るときは一つのベッドで、手首を紐で結びあって。」
って指示してたのにはびっくり。
貴婦人って世界共通でプライベートがないみたい。
日本の平安時代の貴族のお姫様も、大抵よね。
通いたい希望の男をチェックしてGOサイン出すのも侍女。
生活かかっているから、お姫様の好みは軽くスルーされたと想像します。
三島由紀夫の「春の雪」を読んでも(最近やっとだよ!今更感半端ないよ!)
深窓の令嬢の恋の行方はお付きの侍女次第。
自由に恋愛できる時代になったのって、実は最近の話なのだな、としみじみ。
