平成18年に受けた財務諸表論は相当の手応えがありましたので、すぐに税法に進みました。


いろいろ考えましたが、ボリュームが少ない消費税からやることにしました。



消費税法は暗記すべき理論が他の税法より少ないのですが、いかんせん文章が長く、また初めての税法ということもあり大変でした。



ただ最初に思ったのは

「合格してる人はみんな覚えてるっていうし、年間1000人も受かるんだから、やればできるんだろうな」

ということでした。



当時教えてもらっていた税理士の先生が失敗談を語ってくれました。



受験一年目、試験までに間に合わず、2つくらい覚えていない理論があったらしいのですが、モロにそのうちの一つが個別問題として出たそうです。
他の理論を書いてみたものの当然不合格。

「来年は全部覚えて受ける」

と心に誓ったそうです。


その失敗は味わいたくないと思い、全て覚えることに決めました。




最初はいろいろ試してみました。

①書きながら覚える

これは書くという作業に夢中になってしまい、時間がかかるわりには全然覚えることができませんでした。

②理論集にマーカーで色分けする


例えば同じ用語、同じフレーズには同じ色でマークし、見易いようにしました。

これは効果ありました。慣れてくると、その言葉とマーカーの色がリンクして度忘れした時でも色で思い出すこともありました。
私は12色くらい使ってましたので、ページが物凄くカラフルになりました。


③文章をフレーズごとに線で区切り、細かく覚えていく


これも効果ありました。

最初は助詞ごとに区切って覚えましたが、慣れてくれば長い区切りでも大丈夫になってきます。


④歩きながら暗記

車や自転車には気をつけなければなりませんが、歩きながら独り言のように本を見ながら暗記すると、頭に入りやすいです。

「この理論はあの道を歩いてた時に覚えてたな」とか景色も一緒に思い浮かぶようになります。気分転換にもなります。


⑤寝る前に暗記

人間の記憶は睡眠によって定着するそうです。
寝る前10分覚えたい理論を見て、布団に入ってからもその理論を暗唱します。そうすると自然に寝てしまいます。


⑥朝起きて確認

昨晩寝るときに覚えた理論を朝起きてすぐに言えるかどうか確認します。相当な内容を覚えていることが多かったです。


⑦飲み会の後でも復習


銀行勤め時代は飲み会が多く、付き合わないわけにもいかないので飲みに行くのですが、それでも飲み会が終わった後でも覚えているかどうか、アウトプットの練習はできます。

酔っぱらった頭でも思い出すことができれば、本試験の緊張感の中でも度忘れすることはないでしょう。


⑧細切れ時間をつかう


同じ一日1時間理論を覚える作業でも、まとめて1時間ではなく、10分を6回やったほうが記憶が定着しやすいようです。
目に触れる回数が多いからでしょうか。



⑨忘れることを恐れない

一度覚えたらずっと忘れないという頭は普通の人は持ってません。

一度忘れてもまた次に思い出すときは短時間で済みます。
それをたくさん繰り返して長期記憶になっていきます。

忘れることは記憶を定着させるために必要なことです。



このように理論暗記は朝起きたときから夜寝るまで続きました、毎日。

仕事中は無理ですが、通勤時間や細切れの2分3分の時間でも一日集めれば何時間かになります。

「それじゃあ、のんびりする時間がないじゃないか」

と言われそうですが、受験生にのんびりする時間は不要と考えていました。
(ただ、そんな生活は長続きせず、3年が限界でした。今はのんびりする時間も取っています)


今回は理論暗記のことだけになってしまいました。

消費税の計算、そして本試験はどのように対応したかはまた後日にします。



私が勉強をはじめたのは、平成17年1月からです。

金融機関に勤めてましたが定年が早いこと、出世も限られること、そしてより専門的な立場でお客さんの役に立てる仕事がしたいと思い、36歳にして初めて税理士試験に挑戦しました。


銀行の新入行員時代に簿記3級を受けさせられるのですが、その頃は仕事を覚えるのと遊びに夢中で、3級は3回ほど受けましたが、一回も受かりませんでした。

そんな私がいきなり簿記と財務諸表論を勉強しはじめた(しかも独学)のですから、今から考えれば無謀なチャレンジだったと思います。


遊びも一切やめて相当勉強しましたが、1月から始めて8月の本番に間に合うような試験ではなく、何を書いたら良いのかもわからないうちに試験が終わりました。


「さすが税理士試験、少し気合い入れて勉強したくらいじゃ受からないな」

と思い、それからもう一年かけて簿財を勉強することにしました。
予算の都合上財務諸表論のみ、学校に通うことにしました。



会計理論はとても抽象的で言葉だけ覚えてみてもイメージがつかめず、苦労しました。




例えば銀座とかの高級クラブでは席に座っただけで何万円も取られます。キャバクラなどは時間いくらで請求されますから時間の経過とともに確実に費用が発生しています。これが費用の認識。


ところが飲んでいる間はいったいいくらになっているのか金額がわかりません。
「いまいくらになってる?」なんて質問するとセコいですから。


そして今日はもう帰ろう、「お会計お願いします」となって黒服の店員さんに請求書を見せられて、そこではじめて金額がわかるわけです。
これが測定です。


こんなふうに日常ありがちなことに置き換えていろいろ考えてました。


会計理論が面白く感じてくると、横のつながり、例えば取得価額以外の金額が貸借対照表に記載されるものとして、臨時償却、強制評価減、棚卸資産の低価方、減損損失、有価証券の時価評価などなど(今は廃止されているものもありますが)、共通点や相違点といったことを自分なりにまとめて理解していました。


この横のつながりを意識した理解は本試験で非常に役にたちました。



普段から考える習慣がついており、かつそのような問題が出たので理論は30分で完答、計算は90分まるまるかけて丁寧に解くことができました。



財務諸表論では税法と違い、丸暗記する部分は少ないです。(それでも会計基準の穴埋め問題が出ますから最低限の暗記は当然必要です)


税法と違い会計基準に照らして、自分がどう考えたかを問われる試験ですので、税法にも増して理解が重要な科目だと思います。





税理士試験において避けて通れないのが理論暗記です。

現在の試験傾向からみると、覚えた理論をそのまま書くいわゆるベタ書きの試験ではなくなってきていますが、それでも暗記は必要と考えます。


理由は

①理論を覚えると理解が深まるから
②理論を全て理解して暗記すれば合格の可能性が高くなるから

です。


丸暗記してても理解していないと意味がない、とよく言われます。

暗記が先か理解が先か。

難しいですが、私は先に暗記する作業から入りました。過去の税法3つはすべてこの方法です。



意味がわからなくてもとりあえず授業に先行してフレーズとかで覚えてしまいます。かなりの労力を要しますが。



覚えようと自分で決めたからにはどうするか?


どうしてもわからないところはやはり自分でテキスト見て意味を調べたり、法規集を見たり、国税庁のHPを見たり、本屋で立ち読みしたり、そうこうしているうちに意味も理解できるようになってきます。
大切なのは、わからないからと言ってすぐに先生に質問しないことです。質問は自分で調べて考えて、それでも納得がいかない時に限りました。
自分で徹底的に考えたことは、いつまでたっても記憶に残ります。


理解してしまえば、暗記のスピードも早くなり、また計算のスピードも格段に速くなります。


そうやって相乗効果で暗記と理解が進んでくると、税法の体系というか、考え方というか全体がみえてきます。


ここまで来れば、試験でどんな問題が出てきても恐くありません。
自分がわからない問題は他の人もわからないはずなので、自信を持ってスルーすることができます。



法人税法の試験では、自分の言葉で理由を書いてその上で税法上の取り扱いを記述しなければなりません。せっかく丸暗記した理論を書く部分はほとんどありません。

それでもそうやって理解を深める勉強をしていれば、自分の言葉で記述することがスムーズになります。


去年おととしの相続税法ではいまだにベタ書きで通用しましたが、覚えていればそれにも対応できます。


基本がしっかりしていなければ応用がきかないのですが、理論を覚えることが全ての基本だと思います。


ヤマを張った理論がたまたま当たり、科目合格をした人もいますが、それで味をしめてしまい、その後結果が出ない人も何人もいます。

地道な勉強が一番の近道だとつくづく思います。