またゝびの妄想書庫

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妄想小説置き場。

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悪役令嬢に憧れて 序章・4 ⇒ 5月予定。
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 異世界に転生して一日目が終わろうとしている。真夜中にふと目が覚めた私は、何気なく横で眠っているヴォルフの顔を見た。よく眠っている。小さないびきをかいている。起きている時はずっと困った顔をして悩んでいたのに、心配事があっても寝付きが良く、深く眠れる性質らしい。少々不安を感じるが、朝まで悩み続けて疲れた顔でいられるよりは気楽というものだ。もしかしたら、私の出産に立ち会ったことと、慣れない赤子の世話で疲れていたのかもしれない。
 お尻が湿った感じがしてむずむずとする。かゆいというより気持ち悪い、不快感が私のお尻一帯を支配している。きっと寝ている間に小便をしたのだろう。さすがに耐えられないと思い、手を動かすが上手く動かない。大人のように器用に腕や手を動かすことが出来ない。頑張ってばたばたと腕や足を動かして御湿を脱ごうとするが、ひっくり返った亀のようにじたばたと腕と足が動くだけだ。肘も膝も思うように動かない。指も握るか開くかしか出来ない。これは一人ではどうすることも出来ないと察し、諦めて私はヴォルフを起こすことにする。しかし、ヴォルフ、と口にしたつもりが
「あー」
 としか言葉が出てこない。もう一度、ヴォルフと声を出すが、
「あー」
 やはり、この言葉しか出てこない。口もうまく動かない事に気づいた。この時、私は初めて自分の状態を思い知ることとなった。
 私は、精神は大人だが、身体は赤子そのものだ。顎や関節の筋肉が赤子そのものなので、言葉を話すことすら出来ないのだ。
 先ほどの声量程度ではヴォルフは起きる気配がない。眠っているヴォルフには申し訳ないが、お尻の不快感が気持ち悪くて仕方がない。私は耐えられなくなって、大声で泣いた。
 するとヴォルフは「うぅん」とうなり声を上げたかと思うと、私に背を向けて寝返りを打っただけだった。私はその行動を見て、愕然とした。それはまるで、子育てを手伝わない父親そのものだったからだ。赤子が直ぐ隣りで泣いているというのに、自分の睡眠を優先する。赤子が泣いているのだから御湿くらい換えてくれてもいいじゃないかと、ワンオペ育児を強いられた時の母親の気持ちを思い知ることとなった。こうなったら、意地でも起こしてやろうと私は声を張り上げて泣く。するとドアが開く音がして、部屋にガングが入ってきた。ガングは私を抱き上げると
「おぉ、おぉ、どうした。お腹が空いたのか。それとも御湿か?」
 と私をあやしながら聞いてきて、御湿を確認する。
「御湿が汚れていて起きてしまったのか」
 と、ガングは慣れたように私を机の方へ連れていく。机上にはタオルと畳まれた御湿と、桶が二つ置かれていた。ガングは私を机上のタオルの上に寝かせると、手早く御湿を換えていく。汚れた御湿は桶に入れ、私の下をきれいにすると、綺麗な御湿を私に着ける。さすが子育てを経験したことがある男は違うと感心する。ヴォルフの奥さんはきっと子育てで大変な思いをしただろう。
 お尻の不快感が無くなると、すっきりとした気分になった。私は御湿ごときで何も出来ないことを思い知らされた。これから先のことを考えると気が遠くなる。人間の子供がハイハイや立ったり出来るようになるのは1歳くらいからだろう。育児経験のない私には何歳で何が出来るようになるのかはわからないが、少しでも自由に動けるようになるには、身体を鍛えることが最重要事項だと悟った。身体を自由に動かすことが出来なければ、私はスタートラインにすら立っていない。私の目標は飽く迄も悪役令嬢になることだ。早く動けるようになって、どうにかこうにか貴族にならなければならない。悪役令嬢になるためには綿密な計画を立てなければならない。前途多難だがやるしかない。やらなければ、異世界に転生した意味がないのだ。
 ガングは私を寝かしつけるために、私をゆっくりと揺らしながら、聞いたことのない子守歌を歌ってくれている。ゆっくりとした流れだが、どこか耳に残る旋律で、しわがれた声で歌っている。私はガングの子守歌を聞きながら、転生一日目の今日のことを振り返った。
 私は仮の名前だけれどルドヴィークという男児の名前を与えられた。母が死に際に譫言のように呟いたことから、他人の目を欺く為という名目でガングに名付けられたのだ。地球にいた時の自分の名前は思い出そうとしても思い出せない。けれど、名前とは子供にとって親からの初めての贈り物だと私は思う。だから、私にとってルドヴィークという名前は、名前を分からぬ母からの最初で最後の贈り物になるわけだ。だが、ルドヴィークという名前が気になって仕方がない。本当に生まれた子に付ける予定の名前だったのだろうかと疑わずにはいられない。もしかしたら、母の目には既に私は映っておらず、走馬灯の中に現れた誰かの名前を呼んだ、という可能性はないだろうか。例えば、生き別れた兄弟とか、もしくは私の父にあたる男の名前かもしれない。否定はできない。母が死に際に呟いたのだから、何か意味があると思える。だが、母の目は明らかに影があった。憎しみの籠った目だ。私が恐怖を感じたあの目は、確かに私を見ていたと思うのだ。
 ガングの言葉を信じるのならば、この世界では出産するまで子供の性別は分からない。ならば、母が男児が生まれると確信していた可能性は低い。その場合、どちらが生まれても大丈夫なように、男児と女児の両方の名前を考えておくのが普通ではないだろうか。彼女の意識がはっきりしていたのなら、私に女児の名前を付けたはずだ。地球では男児とも女児とも受け取れる名前が存在する。だが、ガングたちはルドヴィークと聞いて、はっきり男児と限定しているところを加味すると、この世界ではルドヴィークという名前は確実に男児の名前だ。女の私が男児の名前を名乗る……男装した少女が好きな男性と繰り広げるラブロマンスも嫌いではない。むしろ好きである。だが、私がこの人生でやたいのは飽く迄”悪役令嬢”なのだ。男装した悪役令嬢なんて、妄想する分には楽しそうだが、私の単純な脳みそでは、そんな複雑なラブロマンスなんて想像できないし、そんな人生計画を練るのは一苦労だ。複雑怪奇な設定の悪役令嬢なんて、私が演じられる訳がない。何度も言うが、私がこの人生でしたいのは”単純な”悪役令嬢なのだ。学園生活の中で、婚約者が才能あふれる平民の少女に惹かれ、その両者の恋愛をサポートするかの如く意地悪をする。そして悪事が白日のもとになり、私は国を追われ第二の人生を送るか、処罰か処刑される。つまりは、身を挺した”キューピッド”、それが”悪役令嬢”だと私は思っている。
 私は、本当にルドヴィークという名前を名乗っていいのだろうか。
 そして、私を産んで死んでしまった母親のことを思うと、少し寂しく、悲しく思う。負の感情を込めた目で見られたことも、気懸かりではあるのだが、一番理解できないのが母の行動である。母が死んでしまったのは産褥熱ではないだろう。私を産んで直ぐ死んだということは、出産に体力を使い果たした結果なのだろう。何度も言うが、私は子供を産んだこともないし育てたこともないので、憶測でしかないが。
 不思議なのは、どうして母がこの村に一週間以上滞在していたのか、ということだ。ヴォルフの憶測では、母は運悪くこの村で産気付いてしまったということだったが、本当だろうか。いくらこの世界で生まれてくる子供の性別がわからないとはいっても、生まれてくる時期は分かるだろう。母が人以外の生物との子をお腹に宿したということなら、人間とは出産時期が不明でも不思議ではないが。そもそもこの世界には人間以外の人型の生物はいるのだろうか。ヴォルフ達は私を見ても特に何も言わなかったので、自信は無いが私は人間のはずだ。出産予定日がずれるということもないわけではないが、もし出産時期がずれていたとしたら、私は未熟児で生まれてくるだろうし、一週間もあればこの村ではなく実家とか医療施設が整った町へ向かうことも出来たはずだ。わざわざ私が生まれるまでこの村に留まっていたのは何か理由があるはずだ。それに、母が平民ではないというヴォルフの推測。その根拠となるものは母が身に着けていた衣服にある。母が身に着けていた衣服が上等なものだったから、というものだが、本当にそうだろうか。平民でも金持ちの商家や金貸しを生業にしているような人ならば、高価な物をもっていてもおかしくないのではないだろうか。この世界にきて一日目の私には、この世界の金銭感覚もわからないわけだが。
 誰も母の名前を知らない。母の名前さえ分かれば、それを足掛かりに母の実家を頼ることが出来ただろう。ヴォルフ達を困らせることはなかっただろうし、万が一の確立でヴォルフの推測通り平民ではなく貴族だったかもしれない。しかし、それは母が実家から縁を切られていない場合に限るかもしれないが。
 ガングはこの国の東部の人間は、女性がルト村を訪れることは危険なことだと身分に拘らず周知されていると言っていた。ならば、母の出身はこの国の東部ではないことは確実ではないだろうか。ルト村が東部のどの位置にあるかまでは地図を見なければわからない。母が何を思い、何を頼って、この村で私を産んだのだろうか。母は自分の身分を証明するような物は身に着けていなかったようだ。結局、母について分かっているのは、おそらくこの国の東部の人間ではないことと、ある程度金銭的に余裕のある家柄の出身ということだけだ。母に向けられたあの闇に染まった眼差し。母のことを知ることが出来れば、少しは気持がわかるかもしれない。ここにきて、私は初めて母のことを知りたいと思ったのだ。
 そして、明日会いに行く呪いの魔女アルエラとは一体どんな人物なのだろう。ヴォルフは敵だと言っていたけれど、ガングは恐れているような素振りはなかった。魔女と言われると、黒いローブを着た老婆を想像しがちだが、これは白雪姫のイメージが強いためだ。私が見聞きした異世界に転生した物語に出てくる魔女は、子供と変わらない容姿をしていたり、妙齢の美人かもしれない。何故呪いの魔女と呼ばれているのかはわからないが、魔女がいるということは、この世界は魔法が存在する世界なのかもしれない。
 魔法には憧れがある。地球には魔法なんて存在しなかったが、もし魔法が存在するならば、これほど嬉しいことは無い。ただ少し不安がある。私は地球から異世界に転生した身。私自身、魔法が使えるかどうかもわからない。使い方も分からない。もし、私が魔法を使えるのなら、悪役令嬢らしく闇属性とか黒魔法とかが使えたらとても嬉しいのだけど。とにかく、明日、魔女アルエラに会えるのは楽しみで仕方がない。
 わくわくとした気持が胸を支配していたが、ガングの心地よい揺らぎと、ゆっくりとした安心できる子守歌に、いつの間にか私は眠りに誘われていった。
 

月末日に投稿すると告知しておきながら、間に合いませんでしたことを謝罪申し上げます。
本当に申し訳ございません。
申し訳ありませんが、投稿日を4月上旬に変更させていただきます。
楽しみにしてくださっていた方は本当に申し訳ありません。
4月上旬に投稿できるよう頑張りますので、もう少しお待ちください。


かわりに、わたくしまたゝびの独り言を投稿させていただきます。
興味がありましたら読み進めてくださいませ。

今期、『魔法少女にあこがれて』と『ダンジョン飯』を楽しみに毎週視聴しておりました。
なので、ちょっと感想を……。

■魔法少女にあこがれて
題名がちょい被りしたー!!と思いながらも、主人公うてなちゃんが魔法少女ではなく悪の手下になるというお話なのですが、一話を見ただけで面白そう!と思って見ていたのですが、ちょっとえろい描写もありましたが面白かったです。
お気に入りはきういちゃんですwwマジ可愛い。
これからが気になりますが、アニメでやるのかどうか謎です(笑
アニメ2期、期待はしてます!

■ダンジョン飯
ダンジョン飯がアニメ化することは全然把握していなかったのですが、友人が見るためにモンハンをログアウトした為、見てみたら、あら、面白い!ってことで毎週視聴してました。
個人的にはセンシとチルチャックが好きですが、モンスターの生態をこんなに考えているのすげーって思って、漫画一気に買って読んでしまいました(笑
モンハンで部位破壊とか狙っているせいか、やっぱりモンスターの生態を考えられるってすごいなって思ってしまいました。
あと料理が創作でないところが好感が持てました!
ケルピーの焼肉とか、発想がすごいと思います。
スライムの生態とかよく考えたなーとも思いましたし、マンドレイクの味の違いとか、よく考えられてるなって勉強になりました。

なろう系でよくある、地球にあるものを異世界にもっていってすげーって言われる展開の話が、私にはあまり肌に合わなくて……
話としても、知識豊富な感じですし、キャラクターも話を進めていくと知ることができるところに魅力を感じました!
センシがグリフィンとヒポグリフの肉のスープを食べ比べるときの話がすごく好きです。
ライオスもキャラとしては楽観的で好きです。(賛否両論あるようですが)
ダンジョンもウィザードリィーみたいで、すごくワクワクしました!

こういう人を引き付ける作品を私も書いてみたいなぁと思いつつ、自分にはその才能は無いからなぁと思う今日この頃です。
見ていない方は、おすすめですので、機会がありましたらご覧になってください。


それでは、次の投稿までお待ちください。
かしこ。
 

3月18日に【悪役令嬢に憧れて・序章2】を投稿しました!

……当初の予定では15日くらいに投稿するつもりだったのですが、3日ほど遅刻してしまいました。
遅くなってすみません。。。
しかもゲリラ投稿になってしまいました(笑

次は月末に投稿を予定しています。

変更があれば、また独り言で告知しますので、よろしくお願いします。

さてさて……
私は小説を書くのは好きなのですが、読むのは微妙です(笑
「趣味は何ですか?」って面接の時とか初対面の人とかに聞かれたら、”読書”って答えるんですが、趣味を読書と答えていいほど本を読まないです(笑
言い訳ができるのであれば、言わせてほしいのですが、私の好みによるんです(笑
好きな本や好きな文章の書き方の本やラノベはガンガン読めちゃうんですけど、苦手だなーって思う文章の書き方をされてる方とか、話の内容が自分の好みに合わない本とかは、全然読むスピードが上がらないので読めないんです。
余談ですが、宮沢賢治のベジタリアンなんちゃらって作品は読むたびに睡魔と闘ってました。
多くの方が絶賛・好評されている村上春樹さんは、中学の時に海辺のカフカを読んでわけわからん!ってなってから読んでません。
今読んだら、きっと理解できるし、絶賛するかも、と思うのですが。。。
あと、ミステリーがお好きな方は東野圭吾さんの作品をお好きな方もおられるかと思うのですが、私は東野圭吾さんはあまり読みません。。。
処女作が自分の肌に合わなかったので、それ以来読んでません。(ごめんなさい)
ミステリーは三毛猫ホームズシリーズとかが好きです。
まぁ、ひねくれ者ってことですかね(笑
ゲームなら拓舟さんの作品一筋ですけどね!
流行り神シリーズも大好きですけどね!
チュンソフトさんのダンガンロンパも面白かったです。

……今度から、趣味はなんですかって聞かれたらゲームって答えようかなぁ。。。
でも、ゲーマーと呼ばれる程ゲームやらないんですよね。
PUBGもAPEXも荒野行動もやってません!
SPSだかFPSって苦手なんです。
ストーリーもないし……。

バイオとか零とかサイレンとかは好きですけどね!

……って、ことで、今回は私の趣味の話でした_(._.)_

 私を母体から取り上げた初老の男の名前はヴォルフといい、父親である翁の名前はガングといった。ヴォルフはこの村の長らしく、村民の総意を聞き、決定権を委ねられた。私のこれからの人生の一端をこのヴォルフが担っていると言ってもいい。ヴォルフとガングは家に帰ると、ヴォルフは私を連れて自分の部屋に籠った。彼の部屋はとても質素で、どこか物悲しさを感じる部屋だった。必要最低限の物しか置かれていないと思われたこの部屋は、まるでこの村の有り様を表しているようだ。家の外面は普通の田舎にあるような漆喰や煉瓦で造られたよくある家なのに、その内面は普通とは違っている。部屋には一人用のベッドが二つーーそのうち一つは使われていないらしく枠組みだけが置かれている。そして都合よくベビーベッドが置いてあったが、こちらは埃をかぶっている上、長年放置されているらしく今すぐには使えそうもない。仕事に使うであろう飾り気の無い机と椅子に、木目調のタンスが置いてある部屋は、男一人が使うには広すぎるように感じる。
 ヴォルフは自分のベッドに私をそっと寝かせると、その横に腰を落ち着け「はぁ」と大きな溜め息を吐いて頭を抱えた。時々私の様子を伺っては、顔を伏せてどうしたものかと困った横顔する。「はぁ」と二度目の大きな溜め息を吐く。ヴォルフの行動を見ていると私も溜め息を吐きたくなった。
 ヴォルフは村民の前で威張り散らすわけではないが、威厳を保とうと努力をしている。だから村民の話も熱心に聞いていたし、皆の前では言い切るような言葉遣いをして私を一晩預かることにしたのだ。しかし一人になった途端、こんなにも溜め息を吐き、私の扱いに困って頭を悩ませている。優柔不断ではないだろうが、長としての必要な決断力や判断力はまた未熟なように思えた。二人して黙り込みーー私は赤子だから泣くことしか出来ないが、重苦しい空気に包まれていると、それを払うように、コン、コン、コン、と軽くドアを叩く音が聞こえた。
「食事を持ってきた。ドアを開けてくれるか」と、しわがれ声が聞こえた。
 ヴォルフは急いでベッドから立ち上がるとドアを開ける。ガングは長方形の盆を持って部屋に入ってきた。盆の上にはパンの入った籠とマグカップ、そして縁の深い木製のスープ皿が二つ載っていて、どの皿からもゆらゆらと湯気が立ち上っていた。匂いからしてコーヒーとクリームシチューだろうと予想した。
「山羊の乳があったから温めた。なかなか泣かないが腹が減っているだろう」
 そう言って、心配そうに私に視線を向けると、ヴォルフも同じように私に視線を向けた。
「そうだな。産声をあげてから泣くことがないから、気が付かなかった」と、申し訳なさそうに言う。
「御湿も確認した方がいいかもしれんな」
「御湿など、家には……」
「私の部屋のタンスの奥に大事にとってあるよ。後で持って来よう」
 ヴォルフは何も言わず表情を曇らす。不甲斐無い自分に苛立っているように思えたが、私の気のせいかもしれない。
「生まれてから一度も泣かぬとは、芯の強い子なんだろう。頑固とも言うべきか。子育てをまともにしたことのないお前が気を配るのは難しいだろうな」
 ガングはヴォルフを慰めるように言う。机の上に盆を置き、ヴォルフの方を向いて
「お前も腹が減っているだろう。私がこの子にご飯を与えているうちに食べてしまいなさい」と言った。
 ガングもヴォルフ一人に私の世話を任せるのは心配だったのだろう。スープ皿の一つとスプーンを片手で持って、私の横に座った。
「まだ熱いかもしれんな」
 ガングはスープ皿に入った山羊のミルクをスプーンでかき回して冷まそうとする。時々、冷めるのを早めるように、ふう、ふう、と自分の息を吹きかけた。ヴォルフは椅子に座り、ガングの持ってきた食事を食べ始めた。無言の時間が流れる。シチューとミルクの良い匂いが部屋を漂っている。ヴォルフは何かに急かされるように、口に詰め込む様に食事を済ませ、コーヒーを一口、二口、ゆっくりと口に運んで、自分を落ち着かせる。そして、私をガングを方を見て、おもむろに口を開く。
「あの娘は一体何者なんだ。着ていた物は汚れているとはいえ上等な物だった。平民ではないとは思うが」
 ガングはスープ皿をスプーンでかき回しながら「さてな」と一言返す。そして、一呼吸おいてから手を止めて
「この国の東部の者ではないだろうな。東部で暮らす人間なら、このルト村に女が訪れるのは危険な事だと、田舎に興味の無い貴族ですら知っている」と口にした。
「考えたくはないが、修道院に用があったとは考えられないか?」
 ガングは少し考えるようにスプーンをゆっくりとかき回し、手を止める。
「そうかもしれないし、そうではないかもしれん。死んでしまった人間の意思は誰にも理解することはできん。そういう魔法でも使わない限りな」
「修道院に用があったなら、さっさとこの子を預けるべきだ」
 ヴォルフは厄介ごとには関わりたくないという言い方だった。
「まあ、修道院に用があったとは考えにくいものだな」と、ガングは首を横に振る。
「修道院に用があったのなら、浮浪者然としてこの村に留まる理由がない。手紙の一つでも書けば修道院の方から迎えを寄こす。手紙が書けない理由があったとしても、東部に住まう人間に要件を伝えれば、逸早く奴らの耳に入るだろうさ。奴らが、あの娘に手を出さなかったのは、あの娘がルト村にいることを感知していなかったと考えるのが自然だろう」
 ヴォルフは「はあ」と落胆するような息を吐いた。
「だが、もし、修道院の目的が子供だったらどうする。この村の娘ではない女が、ルト村で子供を産むのを待って、生まれた子供が女の子なら修道院が手を出すなんて筋書を考えている可能性も」
「生まれるのが男女どちらか不確かな妊婦に監視の目を向けるほど、奴らは頭は回らない。ルト村で生まれたというだけで天恵を持っているかどうかもわからない女の子を攫う程、奴らは危ない橋を渡らない。奴らは確実な情報を得て、確実な方法を使ってくる。もしかしたら、なんて仮定で動く連中じゃないよ。安心するんだな」
 ガングはまた、スプーンでミルクをくるくるとかき回す。
「それに、妊婦を監視していたのならば、この子の出産の時に慈善活動だとか妊婦の保護と称して、修道院の手の者が既にこの村を訪れているはずだ」
「それもそうかもしれないが。あの娘がこの村を訪れてから二週間は経っていない。早くここから立ち去れと忠告しても、あの娘は立ち去らなかった。きっと、目的地は他にあって、運悪くこのルト村で産気付いたんだろう。そう考えれば奴らの耳に情報が入っていないと思ってもおかしくないかもしれない」
「ふむ」とガングは頷いた。ヴォルフが落ち着きを取り戻したので安心したのだろう。
「あの娘について知りたいことはたくさんあるが、目下の問題はこの子をどうするかだ」ヴォルフは困惑した口調に戻る。
「浮浪者然とした娘が外で、しかも村人たち皆の前で女の子を出産したんだ。これはどうしたって変えられない事実だ。いくら村人たちの口が堅くても、修道院の奴らがこの事実を把握するのは時間の問題だ」
 そう言って、椅子から立ち上がり、窓辺に近づく。そして窓の外の何かを憎々しそうに睨み付けて
「いつ、奴らがこの村に来て、この子を奪っていくかわからない。俺は、あの時ほど、自分を恨んだことはない」
 ヴォルフは「はあ」と深く息を吐いて「悪い。嫌なことを思い出してしまった」と落ち着きを取り戻した。
 ガングは「よいよい」と気にしていないとでもいうように、慰めるように微笑んで答えた。
 ガングは皺くちゃの手の平で皿越しに伝わる熱を確認すると、念のため、自分の手に一滴ミルクを垂らして温度を確かめる。大丈夫と安心したのか、ガングはスプーンを掬い、私の口元へとそっと運ぶ。彼は無理矢理には飲ませない。私が口を開けるまで、辛抱強く私の口元でスプーンを添えて待っていた。温まったミルクの良い匂いが鼻腔を刺激する。その刺激によって、私は自然と口を開けていた。ガングはそっとスプーンを傾けて、少しずつ私の口の中に山羊のミルクを注ぎ込む。牛乳より強い乳の独特な臭いが口の中に広がる。しかし牛乳よりさっぱりとした舌触りと味をしていることに、私は驚いた。思ったよりも味は濃くはなかったのだ。私は自分の身体の状態に鈍感だったらしい。自分が感じているよりはるかに腹が減っており、口の中のミルクがなくなると、すぐに口を開いてミルクをガングに要求する。ガングは手を休ませることなく、ミルクを掬ったスプーンを運び続け、私は夢中になってそれを飲んだ。バングが用意したミルクは一滴残らず飲み干す結果となった。その様子にバングは満足そうな笑みを浮かべていた。私も満腹具合に満足して、襲ってくる眠気と闘いながら二人の様子を窺う。まだ、寝てはいけない。自分の行く末がどうなるか、見届けなければ安心して眠れない。眠りたくない。ガングはベッドから立ち上がると、盆にスープ皿とスプーンを戻し、私を抱き上げて背中をポン、ポン、と軽くたたいておくびを出すように促す。ガングは男だというのに子育てに手慣れているような気がするのは、私の気のせいなのだろうか。それに比べると、息子のヴォルフは子育ては不慣れなようで、私を扱う時はおっかなびっくりな手つきだ。
「イナが出て行って、もう何年経ったのだろうか」
 ガングは無意識に呟いたようだった。私を抱き上げ、私を見つめ、思わずといった様子だった。気まずくなったのか、ガングの瞳はさっと机上の写真立てに移された。写真立てには両親と子供の映った家族写真が飾られている。子供は十歳くらいの男の子だ。顔つきから、きっとヴォルフの幼い頃だろう。じっと、写真立てを見つめるガングの瞳が少し潤んでいるのが横目に見えた。ヴォルフは気まずそうに黙ったまま、床に視線を落とした。
「あの娘は、元気でやっていると信じたいものだな」
「親父、その話はやめてくれ」ヴォルフは忌々しそうに言った。
「もう、自分を責めるのはやめよう。村人も皆、自分を責めている。あの時の自分たちの行いを後悔していない奴なんていない。あの時、親父は村長で、ルト村の代表としての立場もあって、人一倍責任を感じているかもしれないが、皆、気持ちは一緒なんだ。ルト村が地図から消えることになったとしても、あの時と同じ過ちは犯したくないと思っている。親父も村民の総意は聞いただろう」ヴォルフの口調は強い。
「だからこそ、この子をどうするか、しっかりと考えなければ」
「そうだな」ガングは頷いて、零れそうだった涙を手の甲で拭った。
「お前を含め、村の者たちは皆、この子を修道院へ送るのは反対していたが、どうするつもりでいるんだ」
「俺は頭がいいわけじゃないから、いい考えがある訳じゃない。でも対策は考えている」とヴォルフは苦々しい顔をして答えた。
 ガングは「ふむ」と頷き「言ってみろ」と威厳に満ちた態度で言った。この言い方は、昔、村長だったときの名残なのだろう。
「この子に男児の名前を付け、その上で女ということを隠して男の子として育てる」
「あまり、いい策とは言えんな」
 とガングが言うと、ヴォルフは自分の考えの浅はかさを悔いるような顔をした。
「いい策ではなかもしれないが、この村で生まれたのが男児であると周りに誤認させる必要があると思う」
「ふむ。この村で子どもが生まれたという椿事は、幾ら村人に箝口令をしいたとしても近隣の村にすぐに伝わるだろう。だが、男児の名前をつけることは賛成だ。それだけでも、他人の興味を逸らすことができる。だが、この村に置いておくのは反対だ。修道院の奴らがいつこの村に慈善活動という名目で偵察に来るかもわからん。しかし」と続けようとしたが、ガングの口からその後の言葉は出てこなかった。
「近隣の村でも、望んでこの子を引き取って育てたいという奇特な人物はいないだろう。もし、居たとしても出生を知ったら金と引き換えに修道院へ送るに決まっている」

 全ての人間が同じことをするだろうと、決めつけたようにヴォルフは言う。
「はあ」とガングは溜め息を吐いた。考えあぐねた結果、諦めたような溜め息だった。
「お前は気が進まんだろうが、一つ、考えがある」
「なんだよ」
「あの御方に、この子を預ける」ガングは静かに言った。
「あの、御方……?」ヴォルフは少し考えてから、はっと顔を上げて
「俺は反対だ」と声を荒げた。
「あいつは俺たちの敵だぞ」
 ガングは少し黙ってから、「はあ」とまた溜め息をついた。その溜め息は息子の言葉に呆れたためだ。
「帝都で治療師として学んだお前には敵であろうな。ルト村から女たちがいなくなってから世話になることもなかったし、元々男どもは世話にはなっていなかったからな。余計にそう思うだろう。だが、ルト村の人たちがあの御方を頼っていたのも事実だ」
「アルエラは呪いの魔女と呼ばれるほど悪い魔女なんだぞ。その魔女が俺たちに手を貸してくれるとは思えない。ましてや、子供を預かるなんて無理に決まってる」
 険しい顔をするヴォルフを後目に「はっ、はっ、はっ」とガングはおかしそうに明るい笑い声をあげた。
「何がおかしいんだ」
「あの方はそんな恐ろしい魔女ではないよ。ただ……」ガングはそれ以上は恥ずかしそうにして何も言わなかった。
「ただ、なんだよ。親父にも躊躇う理由があるんだろう?」
 ガングは照れたような困ったような顔をして、気まずそうに笑うだけだった。
「今の私たちにはあの御方に頼るほかはない。早速、明日の朝から出かけることにしよう」

 と、ガングはヴォルフの言葉に耳を貸さずに結論を出す。部屋を出て行こうと歩む足はどこか嬉しそうに軽い。
「おい親父、話はまだ終わってないぞ」
 ヴォルフは必死に抵抗しようとしたが、ガングは気にすることなくドアノブに手をかけた。ふと、その手を止めて、私とヴォルフの方を振り返り
「あの娘が必死に呟いていたルドヴィークという名前はどうだろう」と唐突に言った。ヴォルフは唖然としている。
「男児の名前だが、今のその子には都合がいい。ありがたく仮名として使わせてもらおう」
 そう告げて、ガングは部屋を出て行った。ヴォルフは心配そうな、不安そうな、複雑な表情で私を見つめる。私には彼らの不安や心配の種が何なのか理解することはできないが、ヴォルフを励ますように声を出して笑いかけた。ヴォルフは少し表情を崩し、
「ルドヴィーク、お前に神樹の加護がありますように」と祈り、私の額に自分の額を軽く押しあてた。
 

3月になりました!
今日は卒業式の学校がありそうですね。
私の中で卒業式の日は3月7日とインプットされてます(笑
原因はときめきメモリアルGSのせいです。

さてさて、ここは独り言の場なので好きな事書いちゃいます。
執筆する時や勉強する時など、最近はyoutubeの5chまとめ動画やゆっくり解説動画などを流しています。
漫画動画とかも流してますね。
特に集中したい時はゲームのBGMを流して作業しています。
学生の時は、必ず音楽を聞かないと勉強に集中できなかった性質だったので、音楽プレイヤーは必須アイテムでした。
聞いていたのはアニソンとかキャラソンとかV系です。(オタクでしたので(笑)
今更ですがモンハンRISEとペルソナ5で遊んでいるのですが、MHで探索ツアーをしている時とP5でメメントス探索の時はヒプマイ聞いてます(笑
黒田崇矢さんの声が好きすぎてやばいです。
桐生が、あの、龍が如くの桐生が歌っている……!!
って、感動がやばいんです。
あ、ヒプマイでの推しは大阪どついたれ本舗です(笑

最近、懐かしくなってウィザードリィ・リルガミンサーガの音楽が聴きたくてiTuneで検索したのですが、配信されてない!!
羽田健次郎さんが編曲したあの素晴らしい曲が聴けないなんて……と、悲しくなりました。
アトラスから出ているキャサリンというゲーム音楽も配信されていない……
ブルックスはかく語りきがめっちゃいい曲なんです!!
ですが聞けない……
泣く泣く私はニコ動で聞いています。

ゲーム音楽は昔から良い曲ばかりなので、一度プレイしたゲームのサントラは買ってました。
もう売ってしまったので、iPhoneで聞くには購入しないといけないのですが。

聖剣伝説LOM、サガフロ2……iTune巡ってたら、無意識に買ってました。
無意識って怖い。

『悪役令嬢に憧れて』の次話は3月中旬くらいに投稿できれば、と思ってます。
予定がずれてしまうかもしれませんが、よろしくお願いします。
 

とりあえず、告知通り2月末までに小説が投稿できたので安心しています。

 

今年は閏年なので1ヶ月が29日あるのは、自分としてはすごく助かりました(笑
でも、3年間は2月は28日間という経験があるので、なんだか不思議な感じがします。
まだ2月なのか~……と、ちょっと体内時計(?)がおかしな感覚になってます。
例えるならば、小学生の夏休みに「今日って何曜日だったっけ?」みたいな感覚です。
ちょっと脳がバグってるわけですね(;´・ω・)

自分は陰キャなので、バレンタインという行事があったことを、コンビニに売り残ったギフト用チョコレートの陳列を見て思い出しました。
バレンタインが過ぎているのに値下げしないというコンビニの強気もすげぇなと思いつつ、MorozoffだのGodivaだのを後目に、月餅とヨモギ大福を購入しました。
チョコより餡子が好きなので、バレンタインに和菓子を贈ってもいいんじゃないかな……(ただ自分が欲しいだけです)。

3月は桃の節句とホワイトデーがありますが、ホワイトデーの贈り物って、なんで意味が付いてるんでしょうか???
バレンタインは物は違えど愛情や友好度を表しているのに、ホワイトデーだけ、マシュマロだか飴だかは貴方に興味はありませんって意味があるとか。
物によってバレンタインのお返しに対する意味があるみたいです。
詳しくは知りませんが。。。
男だけ難易度高くね???って思ったのは自分だけなんですかね……(笑

3月は2回ほど小説の更新をしたいと思っているのですが、自分の筆の進み具合によるのでなんとも言えません……(泣
投稿できそうな時に大体の投稿予定を告知しますので、気になるときにブログを覗いていただけると嬉しいです。

またゝびの独り言はゲリラ投稿(造語)ですので、気が向いたときに覗くと、こそこそ呟いていると思います。
小説の投稿に関しては独り言にて告知しますので、よろしくお願いします。

 もしも自分が死亡したとして、地球ではない世界ーーつまり、俗に言う”異世界”に新たな生物として生まれ変わったとしたのなら、貴方なら何を思うだろうか。
 貴方はどうするだろうか。
 私は”貴方が異世界転生をしたら”という質問について感想を聞いてみたい。
 異世界転生といっても色々あることと思う。
 人間以外の生物ーー人外生物に転生したのなら絶望するかもしれない。その場合、転生したことに呆然として、これからの生き方に頭を悩ませるかもしれない。反対に人外生物に異世界転生をしたことを機に、新しい生き方を謳歌しようとするなら、貴方はとても楽観的な考えが出来る素敵な人だと思う。
 貴方が読書家だったり、サブカルチャーに詳しい人ならば、よくある異世界転生というジャンルの事実に遭遇してしまったことに瞬時に気付くことが出来るだろう。そして自分に起こった異世界転生のパターンをいくつか予想するかもしれない。転生した異世界が既知のものならば、貴方は自分が何者かを察知し、確認し、自分に与えられた運命や使命を回避したり謳歌したり、奮闘して生きていくことだろう。自分に起きた異世界転生のパターンを総合的に分析して、自分のこれからの行動を決める……もし貴方がそう考えるならば、貴方はとても慎重な性格だ。私はその慎重さを見習いたい。しかしその異世界が未知のものならばどうだろうか。その場合、貴方は自分の持ちうる限りの知恵や知識を絞って、新しい世界での時間を楽しめばいいことと私はと思う。
 もし私が異世界に転生したことを自覚したのなら、いるかどうかも確かではない、名前すら知らない、世界中の数多の神様仏さまに感謝することだろう。信じがたい事実に感喜し、小躍りするかもしれない。異世界転生は私が地球でド嵌りしていたジャンルの作品だ。例えそれが”異世界転生”ではなく”異世界の人物に憑依した”という状態だったとしても、私は同じように喜ぶだろう。それが赤子からの人生開始だったとして(”転生”なのだから、赤子から始まるのは当然なのだが)、もし前世の記憶が残っていて、しかも前世の知識も残っている状態だったのなら万々歳だ(と、いっても私はしがないOLだが)。こんなにもサービス精神旺盛のどこぞの神様仏さまに文句なんて言えない。言ったら罰が当たること間違いなしだ。
 もう少し私の語りに付き合ってもらえるだろうか。
 私が異世界転生というジャンルの中で一番好んでいたのは”悪役令嬢”に転生する物語だ。だから私が異世界に転生をした場合、私の知っている物語の世界だと大変ありがたい。悪役令嬢と言えば、主流なのは乙女ゲームの世界だと思う。玉石混交、どんな乙女ゲームも完全クリアしてきた乙女ゲーム好きの私、自称乙女ゲームマスターの私が、”悪役令嬢のいない世界”ーーもっといえば”乙女ゲームの世界”に転生したのでないならば、私は無駄に感喜し小躍りしたことに脱力し、どこぞの神様仏さまにケチの一つもつけるかもしれない。それに未知の異世界に転生したのであれば、転生前にその異世界の神様が私の前に現れて
「貴方は間違えて死んでしまったので、お詫びとして、私が管理する異世界に転生させてあげます」
 とか言って、特殊な能力や強力な能力ーーつまり、チート能力を付与して転生させてくれるものが王道だと思うのだが……想像とや理想と現実は違うものだ。
 さて、話を本来の私のことに戻そうと思う。
 もう分かっていると思うが、結果として私は異世界に転生をした。それも私の知らない世界だ。
 私の異世界転生生活は最強または最高という状態から開始された訳ではなかった。意識が覚醒した時は、私はまだ異世界転生をしたことに気が付いていなかった。
 深淵のような暗い闇と静寂の世界の中で、私が最初に思ったのは「今、何時なんだろう」ということだった。今日は休日だっただろうか。ずっと寝ていたい訳ではなかったけれど、私は目を瞑っていた。静寂と暗闇が支配する世界では、スマートフォンのアラーム音はなかなか鳴らない。アラームが鳴らないということは、きっと今日は休日なのだろう。それならば休日にやっておきたいこと済ませたい。私は時間を確かめる為に目を開けようとした。いや、開けたはずだった。その真っ暗な闇の世界では目を開けているのか瞑っているのか分からない状態だった。目蓋を開閉しても、広がるのは真っ暗な闇の世界。目蓋の感覚が無いに等しい。自分が起きているのか眠っているのかさえ判断できない。どうしてこんな状態になっているのか、私にはわからなかった。それを理解する為に、私は昨日の記憶を辿ってみることにした。昨日起きたことを一つ一つ確実に、冷静に思い出してみる。昨日は会社で仕事をしていたことは覚えている。繁忙期でも閑散期でもなく、いつもと変わらない日常だったはずだ。しかし、昨日が西暦何年で、何月何日何曜日であったかはうまく思い出せない。いつどうやって帰宅して、夕食に何を食べ、何時に寝たのか、全く覚えていない。仕事ををしている最中に、唐突にこの暗闇の世界に放り込まれてしまったかのようで、一時的な記憶喪失や俗にいう呆けを患ってしまったような心地になる。ぽっかりと時間の穴が開いてしまったかのように、仕事をしている時間の後のことがすっぽりと記憶の中から消えているのだ。段々と思考が混乱していく。自分が起きているのか、夢を見ているのか。死んでいるのか、生きているのか。死んでしまったとしたのなら、何が原因で死んだのか。いくら考えても何も判然としない。何かを思い出していないと自分という存在を忘れてしまいそうで怖くなった。自我を亡くしそうで恐ろしくなる。だから私は昨日以前のことを、覚えている限りの思い出や記憶を一つ一つ掘り起こし始めた。いくら時間が経とうと、それを辞めることはしなかった。それしか出来ないことが歯痒く感じたが、辞めたら自分が消えていなくなりそうな気がしたのだ。
 この恐怖で支配された静寂と暗闇の世界が地球という世界ではないと一番最初に教えてくれたのは聴覚だった。暗闇の世界の中でドクンという一つの音が突然聞こえてきたのだ。暗闇の中で、ドクン、ドクンと一定の感覚で聞こえ続ける音のお陰で、少し恐怖が薄れた。その音が心臓の音であることは無意識のうちに理解していたようだ。しかしその心臓の音が誰のものなのかは判断が出来なかった。ドクン、ドクン、と一定の感覚で繰り返す心臓の音は、不思議と、ゆっくりと時間をかけて私を安心させていく。そのうち、永遠に聞こえるその心臓の音が心地よくなっていた。けれど、その安心感は長くは続かなかった。やがて時間が経つごとに徐々に心音が弱まり始めたのだ。そうなると再び私は不安や恐怖を思い出した。耳を澄ませばやっと聞き取れるような状態になった頃に
「頭が出てきたぞ」
 と、男の声が聞こえた。そこでようやく私は赤子として母の腹の中にいたのだと気づかされた。
「大丈夫だ、生きているぞ」
 男が誰かを励ますように声をかける。私の身体が全て外界に出るまで、男は必死に誰かに声をかけて励まし続けていた。そして、身体が自由を手に入れた時、私はやっと視覚を得ることが出来たのだ。
 私の周りには初老の男が一人と、彼より歳をとった翁が一人、そして野次馬らしい年齢層がばらばらの男たちが何人も慌ただしく集まっていた。どうやら私を取り上げたのは初老の男らしく、周りの男たちは出産の成り行きを見守っていたらしい。初老の男は落ち着いていて三人の男たちに指示を出している。初老の男は出産に立ち会ったことがあるのか、それとも医学に明るいのか、平然と対処をしているが、初老の男より若い男たちは野次馬らしく騒ぎ立てるだけで何もしない。いや、何をするべきか分からないと言った方が正しいかもしれない。初老の男から指示が飛べば、それに慌ただしく従う。翁はそれをただ静観していた。指示を受けた男のうちの一人が持ってきたタオルは、ガサガサとした肌触りの、あまり赤子の肌に使っていいような物ではなかった。それについて初老の男は文句を付けていたけれど、仕方なく温めたそれを使って私の身体を丁寧に拭いてくれた。初老の男たちの着ている服装を見て、それが現代社会では見かけることのない中世ヨーロッパの平民のようなデザインだと思った。その情報から、もしかしたら、ここは自分が知っている世界とは違うのではないかという疑問が浮かんできた。タイムスリップしたのか、異世界に転生をしたのかは分からなかったが、現代日本からどこかへ転移したという事実を飲み込んだ瞬間、私は驚いて思わず産声を上げてしまった。それを聞いて、初老の男は一安心したようで大きく息を吐いた。
「おお、元気な子だ」
 と、初老の男は笑みを零した。彼の手や指は細く骨ばっていて、肌もごわごわと固くなっている。大事に抱き上げてくれているが、お世辞にも居心地のいいものではなかった。私が「あう」と不快感に声を上げると、初老の男は申し訳なさそうな顔をして
「すまぬな」と、赤子の私相手に謝った。
「居心地が悪いだろうが、少しだけ、我慢してくれ」
 そう言うと、私を産んだ女の顔元に私の顔を近づける。その時になって、私は初めて母の存在を認識した。そしてまじまじと母の姿を見た。長い黒髪はまる幽霊のようで、肌はくすんで汚れている。顔は痩せこけており、表情は虚ろ気だった。
「無事生まれたぞ。元気な女の子だ」
 ぎょろりとした母の目と私の目が交差する。虚ろな薄茶色の目が私を見ている。もし健康ならば、母は美人の部類に入るだろうと想像させた。しかし今の母からは美しさよりも恐怖を強く感じさせる。
 母は濁った眼を細めて幽かに笑った。私はその微笑に戸惑いを隠せなかった。それは彼女の瞳に強い負の感情が宿っていることが分かったからだ。恨み、憎しみ、失望、絶望、そんな禍々しいものを感じさせる。何故、母が生まれたばかりの自分の子供に無慈悲な感情を向けるのか、母に一体何があったのか、私には知る由もない。彼女の鋭い眼光とは逆に呼吸は弱弱しい。
「私の、ルドヴィーク……ルドヴィーク、どうして……」
 その後の言葉は聞き取ることはできなかった。か細い呼吸は程無くして完全に聞こえなくなった。翁がそっと母の胸に耳を当てる。そして顔を上げて、ゆっくりと首を左右に振った。それが母の最期だった。
 初老の男に母の死に際の微笑がどう映ったのかは分からない。もし、野次馬の中に彼女のあの笑みを見た人がいたとしたら、彼女は自分の命と引き換えに子供が無事に生まれたことに喜んだように見えたかもしれない。私を産んで直ぐに死んでしまった彼女を哀れに思うことだろう。けれど、私は母を可哀想だとは思わなかった。それは彼女の常軌を逸する失望の思いを感じ取ってしまったからだ。出産を経験したことはないが、命がけだと聞いたことがある。しかし彼女は子どもを産んで死ぬつもりなど毛頭なかっただろう。もっと言えば、彼女は女の子ではなく男の子が生まれることを望んでいた。母が死の間際に見せた微笑は、そう思わせて仕方がなかった。母から失望されたことが悲しくて、潤んだ目から涙が流れる。望まれずに生まれることに絶望しない子供などいないだろう。例え、それが異世界転生という特殊なものだとしても。
 初老の男は私を抱き寄せて、優しく背中を叩いてあやす。手慣れているのか、私は多少の安心感を得て、涙は細く小さくなる。初老の男は立ち上がり、周りの野次馬たちにわかるように首を大きく横に振った。野次馬たちは段々と口を噤んでいき、やがて静かに佇んだ。翁が黙って母の遺体の目蓋と手で閉じる。皆、息絶えた女を見つめていた。初老の男にも翁にも、顔に哀れみの色が見て取れた。周りにいる人々は子供の誕生という喜ばしい出来事と、その母親の死という悲しい出来事が同時に起きたことに戸惑っているのは明らかだった。
「その子はどうするんだ?」
 翁が初老の男に問う。
「今日はもう遅いから、うちで面倒を見よう。それに、親父に相談もしたい」
 初老の男は戸惑いながらも答える。
「わかった」
 翁は初老の男の父親らしい。
 野次馬たちはそれぞれの家に戻った。私は今夜は初老の男と翁の家に世話になることになった。

 

月末までに『悪役令嬢』をテーマにした小説の第一話を投稿すると、前に宣言していたのですが……

 

間に合いそうです!!

 

いや~……今日までプロットやら下書きやら推敲やら、色々していたのですが、途中から物語の流れがおかしいと思ったり、修正を加えたら、書き直す部分が多々出たりと大変でした。

本当はもっと早く投稿できる予定だったのですが、私事のことで何やかんやあり(ゲームで遊ぶとか、ゲームで遊ぶとか、ゲームで遊ぶとか……笑)

これはもう、月末までに投稿するのは不可能なんじゃないか!?

と、ひやひやしていたのですが……

やっと、投稿できる状態まで持ってこれました!!

あと少し修正を加えましたら、投稿いたしますので、月末までには投稿します!

タイトルは『悪役令嬢に憧れて』です。

楽しみに待っていてくださると嬉しいです。

 

あと、独り言用のカバー画像を作ってみました!

小説用のカバー画像も出来上がりましたら、小説投稿の際に使います。

 

しかし、画像加工も大変ですね(汗

今はスマホやiPhoneで何でも自由に加工したりできちゃったりしますが、昔の人間は画像加工ソフトというものを使っていたわけです。

私も古い人間ですので、今回のカバー画像はPictBearという昔よくお世話になったソフトを使って加工しました。

今の若い子はスマホやiPhoneの画像加工アプリで何でも簡単にサクサクできちゃったりするので、若さには勝てないし、文明の利器は進化し続けていくんだなぁ……と、しみじみ思う今日この頃です(笑

 

今では画像や映像、文章なんかもAIで出来ちゃうらしいので、人間が滅びる時期はすぐそこかもしれませんね……なんつって(笑

 

それでは、投稿まであと少しお待ちください。

こんにちは、またゝびです。

只今、絶賛"悪役令嬢"をテーマにした物語を執筆中です。

更新が遅すぎて、かなりお待たせしてしまいますが、もう少々お待ちくださいm(_ _)m

 

今月末までには第一話の投稿を予定しております。

 

今更"悪役令嬢"をテーマにした小説を書くのも、ブームに乗り遅れている感がすごいあります。

自分でもブームに乗り遅れてることは百も承知です(笑)

多分、多くの方は『また悪役令嬢もの?』と呆れて目を通してもらえないかもしれないですが(;^ω^)

 

実はもっと前(一昨年あたり?)から、悪役令嬢をテーマにした物語を書きたいと思ってはいました。

しかし、悪役令嬢をテーマにしたものでも玉石混交……

色々知識を深めてから書こうと思い、今に至ります。

『悪役令嬢もの』で小説はあまり読んでいないのですが、アニメや漫画で主に勉強させていただいてました。

しかし……どれも完結するのはいつなんだ!?という物が多く、読者様がどんなエンディングを好まれるのか、自分はどんな悪役令嬢のストーリーが好きなのかということを色々考えていると、なかなか筆が進みませんでした。

自分が納得できる且つ自分が好きな物語を書き続ける、というのがとても難しいです。

自分が熱しやすく冷めやすいという性格なので、なかなか小説を完成させたことがない、というのも原因です(泣

 

ですが『時間がかかっても絶対に完成したものを書くぞ!』という意気込みでブログを作成したので、お付き合いいただけるととても嬉しいです。

 

それでは、また。

以前(かなり前)から小説を投稿することを考えていまして、『カクヨム』とか『小説家になろう』とか大手の小説投稿サイトに投稿するのを考えていました。

また、今はどうかわかりませんが、ケータイ小説サイトに投稿も考えてました。

ですが、カクヨムと小説家になろうのどちらのサイトにも同じものを投稿されている方を小説更新専用X(Twitter)でよく見かけまして、そこまでの熱量を自分が持っているのか、その最初の熱量をずっと保つことができるのか、ということを疑ってしまい、大型小説投稿サイトに投稿することはやめようと思いました(笑)

 

また私が熱しやすく冷めやすい性格をしているので、一つの作品を書き上げる自信がないことも小説投稿サイトに投稿しない理由です。

途中まで投稿して逃亡・失踪する……なんてことが、安易に想像できてしまったので、何で小説を投稿するのがいいのか悩んでました。

 

私の書く小説は自己満足の域なので、自分一人で書いていればいいのかもしれませんが、誰かの感想が欲しいという願望があり、小説を発表する場を探していました。

ブログは小説を読むには不向きではありますが、投稿頻度の遅い私には合うような気がして、小説ブログを開設することにしました。

 

投稿数が増えたら、宣伝用のこともしていこうかなと思っています。

小説は執筆中ですので、申し訳ありませんがしばらくお待ちください。