The Songbards pre. 『ミックステープ』 Vol.12
ゲスト:小山田壮平
2023年8月31日(木) Shibuya WWW X
ソングバーズの企画するイベント『ミックステープ』へ。はじめて行く。
『ミックステープ』の存在は知ってたけど、今回はゲストが小山田壮平と聞いて!
小山田壮平といえば andymori であり、私はソングバーズの「太陽の憂鬱」を聴いたとき「andymori じゃん!」と思ったし、ソングバーズを「また andymori っぽいバンドが出てきたよ」くらいに思っていた。それがどうもちょっと違うぞとソングバーズに対しては思ったけれど、それくらい andymori の存在は大きく、ソングバーズにとってもそのルーツに andymori がいるだろうことはすぐにわかった。だから、今回の共演を知ったときは、遂にこの時が来た!とも思った。
何より私も、andymori が好きだった。andymori は解散し、いま小山田壮平はソロで活動しているようだけど、andymori 以後ライブは観ていない。でも、次の AL も聴いたし、ソロになってからの曲も好きだ。小山田壮平の生歌と生ギターが聴きたい!と思った。
ソングバーズを好きになったこと、ソングバーズのルーツに andymori を感じたこと、andymori が好きだったこと、今の小山田壮平の歌が聴きたいと思ったこと。私は会場に向かった。
2000年ごろ、くるりが出てきてから、くるりっぽいバンドが増えたなぁと思った。
それを塗り替えたのが andymori だった。
andymori が出てきてから、andymori っぽいバンドが増えた。
私にとって andymori とはそういうバンドで、andymori がカバーしたくるりの「ロックンロール」を聴いたとき、「これで “くるりっぽい” から抜け出せた!」と思ったのだった。
小山田壮平を観るのはいつぶりだろう?と調べたら、2012年の「LIVE FACTORY 2012」ぶり?
エレカシ、THE BACK HORN、テレフォンズ、andymori、back number、N’夙川BOYS という出演者。
このとき back number は新人として 4曲のみだった。
会場に入ると、パンフレットのようなものが配られた。『ミックステープ』ももう 12回目なんだ。
中身を見ると、「ボーカルの名演を聴くプレイリスト」ということで、ソングバーズの 3人と小山田壮平がそれぞれコメント付きで 3曲選んでる。
こちらがその全12曲。会場でずっとかかってた。
(上から順番に、上野皓平選曲3曲、松原有志選曲3曲、岩田栄秀選曲3曲、小山田壮平選曲3曲)
小山田壮平との共演に心奪われてたけど、ベースの柴田淳史が脱退した新体制ソングバーズなんだよな。独立もしたんだよなぁ。
そんなことを考えたり考えなかったりしていたら、ひょこっと小山田壮平登場。張り替えたばかりだというギターの弦をチューニングしながら、「本当はこんなことやっちゃダメなんですけど、すみません」。今回は一人での弾き語りみたいだ。
チューニングを終え一曲目に歌ったのは、なんと andymori の「青い空」。
私、小山田壮平を観るんだぁと思って、ずっと頭の中で鳴ってたのが「青い空」で、今朝の一曲にも選んで聴いてた曲だった。もう、それだけで十分すぎるくらいだった。
“ジャイサルメールにはドロップキャンディーの雨が降る” の才能に震え、
“吐き気のするあの顔を大事な人の中にみて” に衝撃を受けたあの曲。
からまりをほどいてもあんまり変わらないし、青い空を忘れるけど、地図に迷い込んだときは思い出してもいいのかな?の曲。
そういえば、くるりにも「青い空」という曲がある。けど、この曲に出会ってから私にとって「青い空」は andymori の曲になった。そんなところからも私にとっての andymori が見えてくる。
そこからも、嘘つきは死なないし、争いは止まないし、悲しみは消えない日々を、ままならない日々を、大きな声で歌う。あくまで軽やかに。ロックするギターで。
「アルティッチョの夜」が凄かった。叫び、ため息、うなり、飲んだくれの酔っ払い、全部一人で歌って。エレカシの「珍奇男」みたいだと思った。
これは andymori のときにはなかった表現なんじゃない? そりゃそうか! あれから何年よ!
「ベースマン」。andymori のベース、藤原寛の姿を思い浮かべてしまったけど、隣に彼はいない。考えてみれば、ソングバーズにももう柴田淳史はいないんだ。いないけど、“誰にも真似できないそのステップ” が「ベースマン」の中で鳴っていた。
最後は「投げKISSをあげるよ」。
携帯電話を落っことして、財布を落っことして、ふられて、全然大丈夫じゃない。問題だらけ。心配だらけ。
そんな銀河の果てでさまよう君に、ブラックホールの向こう側に、投げかけられるKISS。
小山田壮平の、心のブラックホールに触れてくる歌、歌詞、メロディ、叫び、ギター、、、その凄み。
ソングバーズのおかげで再会できた。
小山田くんは、ソングバーズの上野くん(上野皓平)に新宿駅のホームで話しかけられて、「andymori 好きです」と言われた話をしてくれた。そんなこともあって、冒頭に久しぶりの曲をやったんだって。
ソングバーズのことを「こんなこと言って良いのかわからないけど、めっちゃ “良い子” で。andymori 好きって言ってくれる人はいても、演奏ぐちゃぐちゃじゃんみたいな。でも、ソングバーズは本当に誠実で…」って。「終わってから一緒に飲むのが楽しみ」と言ってた。「や、ぐちゃぐちゃな子もそれはそれで好きなのよ」とフォロー(?)もしてた。
まだ音源にはなってないみたいだけど、「君に届かないメッセージ」という曲が気になったなぁ。
小山田壮平 セットリスト
01. 青い空
02. Sunrise & Sunset
03. everything is my guitar
04. 雨の散歩道
05. 夕暮れのハイ
06. アルティッチョの夜
07. ベースマン
08. 君に届かないメッセージ
09. ローヌの岸辺
10. 投げKISSをあげるよ
ソングバーズは、骨太になってた! ハードになってたというか、松原有志のギターにハードロックを感じた。あと、全体的にサイケデリックも感じた。ヘヴィになってた。
で、登場の曲が変わってた! ストーン・ローゼズの「アイ・アム・ザ・レザレクション」!
私サマソニに行ったばっかだったので、リアム(・ギャラガー)かよ!と心の中で突っ込んだ。それもあって、全体的にオアシスとかの UKロックの影響が全面に出てる感じがした。
登場曲がいつ変わったのか、今回だけなのか、特に決まりはなくその都度変わるのかはわからないけど、やはりソングバーズ第2章なんだなと思った。「Big Hug!」と同じ会場なだけあって、柴田さんがいない~!って思っちゃったもの。
(ちなみに前はザ・バーズの「マイ・バック・ページズ」が登場曲だった)
それにしても、「アイ・アム・ザ・レザレクション」。
いくら UKロックが好きだからって、これはあまりにもベタだから躊躇してしまうような、例えばアジカンがオアシスをかけてしまうくらいの、そういうベタさを感じる。でも、ソングバーズにとってはそれが自然であり強みなのかな? それが羨ましくもあり、眩しくもあり、新たな可能性も感じる。ベタだと避けて誰もやらなくなったことをやるという意志もあるのかも知れない、ソングバーズには。
(前もストーン・ローゼズの「ディス・イズ・ザ・ワン」のフレーズを弾いてたし、好きなのはもちろん、独立した今なおさらストーン・ローゼズにシンパシー感じてるのかも知れない)
心のブラックホールに触れてくる小山田壮平の後では、ソングバーズは眩しすぎた。弾き語りとバンドの違いはあれど。
小山田壮平の凄みに比べると、ソングバースには「怒り」のようなものが感じられない。
そう言えば、L⇔R も「狂気が感じられない」とか言われたなぁ。私、ソングバーズには L⇔R を感じてるから。
わかるよ。私も「怒り」が感じられる音楽が好きだし、「怒り」がなきゃダメだと思ってる。
けど私は、ソングバーズも L⇔R も好き。
小山田壮平の凄みに引きずられることなく、ソングバーズはソングバーズの良さを、光を、弾けさせていた。
それが嬉しかったし、「引きずられない強さ」を感じて頼もしくもあった。
あの日「狂気が感じられない」と言われて言い返せなかった何かを、ソングバーズなら言い返せるのかなぁ?
そうそう。このように私はソングバーズに L⇔R を感じると前から言っているのだけど、ソングバーズの松原有志と L⇔R の黒沢秀樹が誕生日1日違いだとわかった!(松原さん 8月29日、秀樹くん 8月28日)
The Songbards セットリスト
01. 悪魔のささやき
02. ローズ
03. 窓に射す光のように
04. ゼロからはじめよう
05. 斜陽
06. Time or Money?
07. フィラメント
08. ガーベラ
09. Inner Lights
10. 太陽の憂鬱
柴田淳史が抜けてからライブで「夕景」ってやったのかなぁ。あの曲は、コーラスからの入りが素晴らしくて、これぞソングバーズにしかできないことだ!と思ったから、柴田さん抜けてからの「夕景」のコーラスどうなるんだろう。
The Songbards アンコール
01. 恋はマーブルの海へ(with 小山田壮平)
02. ミッドナイト(新曲)
03. 夏の重力
アンコールで、小山田壮平と一緒に「恋はマーブルの海へ」(小山田壮平)。
もうこれは、公式がショート動画あげてるから見て欲しい。
動画にはないんだけど、小山田壮平と上野皓平が交互に歌うところゾクゾクしたなぁ。
「恋はマーブルの海へ」、前に上野皓平がカバーしてて。
それに、小山田壮平が反応してたんだよ。
おおおお!ありがとうございます。
— 小山田壮平 (@oyamadasohei) July 19, 2021
さすが、うまいです…! https://t.co/vpSpR3TMa1
そしてこの日、The Songbards と小山田壮平が共演し、この曲を一緒に演奏し歌ったんだ。


