リヨンへ行ってきた。リヨンは美食の町と言われているらしい。おいしいもの食べよう! とウキウキ。
小洒落たレストラン(パリにいくらでもある)ではなく、リヨンに行くからには bouchon と呼ばれるカテゴリーの店に行ってみたい。
ブションとは、ビストロみたいな? 町の食堂っぽい? リヨン伝統のカジュアルなレストランのこと。
ところが、「来週リヨンに行きましょ」と決めたため、そんな直前で、良さそうな店の予約なんてもう埋まっていて取れない。
そのうえ、リヨン方面はまだ春の学校休暇中で(フランスは3つのゾーンに分けて休暇が被らないようにしている)、店も休みのとこがチラホラ。
ひとことでブションと言っても、ホンモノから観光客用までごちゃ混ぜなので、良さげなとこを予約して行きたかったのに!
現地でいい感じの店を見つけ、「当日の順番待ちリスト」みたいなものに運よく入れてもらえた。後から来る人が途絶えず、しまいには「もう今日は満席」とお断りされていたのでラッキーだったわ。
私が前菜に選んだのは œufs en meurette という、ポーチドエッグを赤ワインソースで食べるお料理。
運ばれてきた瞬間、卵が2個あるのを見て、しまったと思ったわ。田舎基準の量をすっかり忘れていましたよ。これ、パリでは前菜でなくメインじゃない?
赤ワインソースがまろやかでとてもおいしい(適当な店だとアルコールがとんでないことすらある)。ただ量が...
そしてメイン。リヨンといえばクネルですよ。お魚のすり身をザリガニのソースでグラタンみたいにした料理。
実は以前、どこかで食べたことがあり、印象さいあくだった。小麦粉の団子ですか !? みたいな味と食感で。
とはいえ、好き嫌いは本場リヨンで食べてからにしよう、本場のクネルもそうならそういう料理なのだから、私とは相性がわるいと思うことにしよう、と注文してみた。
ふわんふわん♡ ちっとも魚くさくなく、繋ぎの小麦粉は存在感ゼロ。ソースはザリガニでなくオマールえびで上品。クネルおいしいじゃないの♡ 私が以前食べたのは何だったのか。
ただ、こちらも量がね...2人分ですか!?
デザートのイルフロッタント。フワフワ軽くておいしいメレンゲなのに、もう入りませんよ...
マネージャーみたいなおじさまが「ウチは電子レンジなどありません。完全に手づくりですよ」と胸をはるのも当然。良い店に行きあたったわ。初日にこんなおいしいとこ行けて、リヨンの好感度大♡
リヨン(中心部)はピンクやレンガ色の建物が可愛い町だった。
ただ、ざんねんなことに滞在中は雨ばかりで。いえ、雨予報は知ってましたけど、シトシト降るくらいかと甘くみて行ったら、それはもうバッシャァァァ...みたいな降りかたで。
あまりの大雨で店をさがす余裕もなく、観光客むけっぽいとこに入ってみたお昼。
んんん、たぶんソースは業務用だろうなー、どのメインも付け合わせは同じだなー、デザート用のバニラは天然でなく香料だなーというレベルの店。
ふつうの観光地ごはんですね。
ちなみに、どのくらいすごい雨だったかというと、夜のニュースで On n'a jamais vu autant de pluie à Lyon. (リヨンでこれほどの雨は降ったことない)と言われる始末。
晴れていれば絶景でしょうねえ。
パリに帰る日、お昼ごはんに選んだ店は「リヨン在住者が選ぶ店」みたいなサイトで高評価。路地裏で、店のウェブサイトも無い。
だめもとで12時ぴったりに行ってみたら、ラッキーなことにテーブルが空いていた。次々と予約の人々で全席埋まり、しかもみなさん常連っぽい。地元の人に愛される店というかんじ。
達筆な手書きの「本日のおすすめ」のなかから、前菜にえらんだのはウサギのテリーヌ。エストラゴンが香り、テリーヌにはめずらしい(と思う)酸味も効いている。おいしーい♡ 壺ごとドンと付け合わされたコルニションが豪快。
本日のメインは牛のしっぽのブレゼ。ストウブ鍋でドンときましたよ。
牛のしっぽは高価な部位ではない。時間をかけてホロホロに煮込まれた、まさにビストロ料理。あ、リヨンだからブションと言わなくてはね。
これにデザートとカフェまで込みで25ユーロ。大丈夫なのかしら、とむしろ心配になるほど。
リヨンのごはん、大満足。パリからたったの2時間ですもの、ぜひまた行きたい。