オーヴェルニュ地方の伝統料理、アリゴ(aligot)。芋とチーズを混ぜて練ったもので、オーヴェルニュ料理を出す店では、びよーーーんと伸ばすパフォーマンス付きで提供されたりする。

私は芋が好きでないから、芋料理も好んで食べない。でもこれはチーズたっぷりだから芋々しくないし、あのびよーーーんをうちでやりたい。

さっそく材料調達。

 



絶対に必要なのは、tomme fraîche というチーズ。ほかのチーズでは代用できない。もはやアリゴとは呼べなくなるし、そもそもしつこくて食べられないのではないかしら。

tomme fraîche はその名のとおりフレッシュで、塩気も無い。ミルクを固めただけのようなもの。これが熟成すると、その地方の代表的なチーズ cantal (カンタル)になる。つまりカンタルの赤ちゃんですね。日持ちしないからか、パリでは真空パックで流通している。


芋はピュレ用の粘り気が強いものを選ぶ。最適なのは bintje という品種だそう。あまり人気が無いのか、マルシェの端から端までみて売っている八百屋が1軒しかなかった。

芋を茹でて裏濾し、バターとクリームを少量混ぜ(たくさん入れるレシピもあった)、チーズを混ぜるだけ!

アリゴはソーセージと食べるのが王道。間違いなくおいしいソーセージが食べたいときは、私は7区の Arnaud Nicolas へ買いに行く。

Arnaud Nicolas さんはMOF (meilleur ouvrier de France)のシャルキュトリ職人。 MOFとは、あえていうならその分野の人間国宝みたいな?

まず鍋でソーセージをゆらゆら茹でてからフライパンで焼きめをつける、という調理法をこの店で教えてもらって以来、ソーセージ料理はずっとそうしている。

お湯にドロドロ流れ出て浮かぶ脂を見てしまったら、鍋2つ使う二度手間なんてたいしたことない。噛むとジュワッと脂が溢れでるソーセージが好きな人には、おすすめできない調理法ですけれども。

準備がととのい、びよーーーん♡

 



夫に、この日本語でいうところのびよーーーんはフランス語のオノマトペで何て言うのか聞いたら、「無い」。え、無いの !?

「そもそも音が無いでしょう」え、フランス語のオノマトペは、物理的な音が出るものだけなの !?  なんてこと!

そういわれてみれば、ワクワク、ドキドキ、ハラハラ... これらに対応する1単語のフランス語はあるのかしら。日本の漫画のフランス語訳を買ってきて勉強すべきか、と悩む。