チーズ屋の値札に大きく手書きで "rare" の文字があった。めずらしい、レアなチーズですよ〜ということ。
後ろに隠れてしまっているけれど、bleu de Bonneval というサヴォア地方のブルーチーズ(右上に見えているのは gex というジュラ地方のブルーチーズ)。
たしかに、パリのそのへんのチーズ屋では見たことない。店主はその産地をヴァカンスで訪れるたび自宅用に買うけれど、商業用にはめったに仕入れられないのですって。生産量がすくないから。そんな希少なもの、もちろん買わねば。
クリーミーでおいしいブルーチーズ。これ好きだわ♡ と思ったのに、次に行ったときはもう無かった。まぼろしのブルーチーズだわ。
そのときはほかにも見慣れないチーズがあり、試しに買ってみた(右端の亀裂が入ったチーズ)。値札も名前も付いていなかったので、「コレ初めて見ますね、何てチーズです?」と店主に聞いたら、「僕もぜんぜん知らない!」エッ?!「奥さんが仕入れてきた。たぶん料理向きだと思う」適当だな。
翌週行ったら手書きで名前が書かれていたが(pavé cuite des Bauges)、これもその次の週には消えていた。
この穴がポコポコあいているチーズも限定品だった。産地はアルプスの南のほう、とざっくり教えられた。アルプスの南ってどこらへんよ? と夫に聞いたら「プロヴァンスの北のほう」とこちらもアバウト。見ためはエモンタルに似ているがお味はまったく異なり、とてもおいしかった。また食べたーい。
ぽってり柔らかく、見るからにおいしそうな黄色いチーズはアヌシー近郊産。これも大好きなのに、あまり入荷しないチーズ。
「エティヴァがある!」と思わず声が出てしまった。スイスのチーズは殺菌乳でつくられており、ああこれはスイスのチーズだな〜と分かる独特な風味がある。なかでも、エティヴァは結晶がジャリジャリしてとても個性的。
店主が「エティヴァズ」と発音したので、「最後のz発音するんですね。エティヴァだと思ってました」と言ったら、「僕は発音する。コレがフランスのチーズだったら発音しないけど」あ、自己流ですか。ドイツ語は語末の子音字は発音するんでしたっけ? それにしても、スイスのチーズ高いなー。ヨーロッパではないから?
うちの冷蔵庫にはいつもチーズがあり、古くなって残ったチーズはお料理に使う。
少しずつ残ったいろいろな種類のチーズを全部入れたキッシュ。牛のチーズならだいたい何を混ぜても問題なくおいしい。羊チーズやブルーチーズは、お料理の味を支配してしまうから難しいかな。
削ってスープにかけるのもうちの定番。チーズの塩分を考えて、スープは塩ひかえめ。とはいえ、骨からとったスープだから薄っぺらい味はしない。
ロールキャベツに使ったキャベツの残りをどうしようと持て余し(私はたまに食べるロールキャベツは好きだがキャベツ自体はそれほど好きでない)、夫に「スープは?」と提案され、「じゃ今夜はキャベツスープね」と残りキャベツの行く末もスープに決まった。
出てきたスープを見て「いろいろ入ってる!」と夫が驚く。「キャベツスープって言うからキャベツだけかと思ったのに」え、キャベツだけピラピラ浮いたスープ? そんな悲しげなものつくらないわよ。私はおいしいものが食べたいの。ポワロー、タマネギ、セロリ、ニンジン、マッシュルームなど冷蔵庫にあるものを少しずつ入れ、キャベツの存在感を薄めるためここにもチーズを。温かいスープにチーズが溶けておいしい。
このキャベツスープは夫に大変気に入られ、翌日まであれおいしかった〜と言われた。チーズをかければ何でもおいしさ2倍な気がする。








