LILIUM以外のTRUMPシリーズがついにBlu-ray化されると聞いて、想いは自然とLILIUMの思い出に向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

LILIUM。

なんて素敵な響きだろう。

清楚でゴシックで、どこか官能的で。

他の何かでもこの名称を耳にしたことはあるけど、この舞台のタイトルがLILIUMで本当に良かったと心から思う。ヴァンパイアガールじゃなくてまじよかった。(当初は事務所だかプロデューサーだかがそのタイトルでいこうとしていたが、ありがたいことに末満さんがそれを止めてくれたというのは有名な話)

 

 

 

LILIUMについてはもう何度も語っているので改めて言うこともあまりないけれど、あの物語にはたしかにひとつの世界が存在した。

 

 

ハロプロの舞台というものを超えた、ひとつの世界。

だからこそあの舞台を見たあとは、いつまでもその世界に浸ってしまっていた。そこから抜け出せなかった。

 

 

作中で出てくる“繭期”という設定。

設定的にはまさに繭期真っ只中あるいはかなり近い年齢の演者があの物語を演じられたのも良かったように思う。

芝居や歌のスキルを言えば、いまのほうがきっと良い。

でもそれだけじゃなく、あの当時の未熟さや不安定さが物語と合致し、そこには本当に繭期を迎えた少年少女たちがいた。

 

 

あの甘美な絶望よ。

初めて見たときは、高揚を抑えられなかったのを思い出す。

これを見るために生まれてきたとすら思った。心のなかでずっと探し続けていた物語にようやく出会えたような。

 

 

不完全さまで含めて、完璧な舞台だった。

LILIUMを思い返すとき、そこにはモーニング娘。もスマイレージも研修生もなく、永遠の繭期とその崩壊の美だけがある。

 

 

 

 

 

今回、案の定LILIUMだけがBlu-ray化されないのは残念極まりない。

 

 

あちら(末満さん側)で再販・Blu-ray化というのはさすがに難しいにしても、せめてこちら側でBlu-ray化できないものか。

みんな言ってるように、特典映像に二輪咲き(もしくは感謝祭全体)を付けて。

 

 

 

権利的な大人の事情で不可能なのか、あるいは単に事務所もプロデューサーも関心がないのか、果たしてどちらだろう。(個人的には後者なのではと思っている)

 

 

Blu-ray化(高画質化)という点のみならず、なんとなくLILIUMだけがTRUMPシリーズの輪に入れていないような気もしてしまって、少しモヤモヤする。

 

 

しかしその一方で、LILIUMだけはシリーズで特異な位置にいるというのも悪くないような気もする。

というか実際内容的にもそうで、いまとなっては黑世界が生まれてしまったのでそうとも言えないが、それ以前はLILIUMは他のシリーズ作品との繋がりはそこまで深いものではなかった。(例外はマリーゴールドくらいか)

 

 

だから、LILIUMだけは、TRUMPシリーズであると同時に、少年少女の甘美で残酷な物語として独立していられるような気がする。そうであってほしいような願望と共に。

 

 

(でもまぁやっぱり、LILIUMもBlu-ray化して出すべきだと思いますけどね)

 

 

 

 

 

 

 

LILIUMが上演されたのも、気付けばもう7年前。

 

 

あの当時在籍していたメンバーも、現役ハロメンとして活動しているのはいまや半分以下になってしまった。

 

 

オープニングで「Forget me not 私を忘れないで」と歌う彼女たちを見ると、当時とは違った感慨に包まれる。

 

 

 

私は確かに一度は咲いた花

 

あなたの思い出の中で永遠に咲きつづける

 

 

 

そう歌う、いまはもういない少女たち。

 

 

これからもっとその数は減っていき、ついには誰も現役メンバーではなくなるときが来るのだろう。

 

 

そうして見返すLILIUMは、これまで以上に哀しく、残酷で、永遠を内包しているに違いない。