先日の配信にて、『黑世界 リリーの永遠記憶探訪記、或いは、終わりなき繭期にまつわる寥々たる考察について』雨下の章及び日和の章を視聴しました。これが初見です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

がっつりネタバレはしませんが内容について触れていくので、まだ見てない、これから見るという方はご注意を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とはいったものの、なんて言えばいいかわからない。

 

 

最高だった……んだけど、そんな言葉では陳腐になってしまう気がして。

 

 

 

 

多少の懸念として、「朗読劇で満足できるかな」というものがあったんですが、杞憂も杞憂。もはや朗読劇の域を超えているというか、これで演劇の新しい形態が生まれたのでは、と思うくらいに素晴らしい作品でした。

 

 

先に“(音楽)朗読劇”という制約ありきで作ったんだと思いますが、LILIUM後のリリーを軸にしたオムニバス形式の短編演劇という形式がばっちりハマってる。

 

 

まさに放浪記というか巡礼記というか、そのなかで出会う人々との交流だったり、単に巻き込まれるだけだったり。

そして雨下ではシュカという男と、日和ではラッカをはじめとする一家と、全体を通して関わり合うという流れ。

 

 

これらは末満さんが書いたパートなわけですが、その途中に他の作家陣が書いた物語が挿入されてるのが良いですね。

普通のTRUMPシリーズだったらまずやらなそうな話とか、新鮮でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全体的には雨下のほうが好みかなぁという気もするし、でも日和のあれもこれも良いよなぁとも思うし、結果どっちも良い。

 

 

 

雨下の冒頭、「イデアの闖入者」でかつてのクランの仲間のことを(幻想の両親に向かって)歌うリリーの姿が哀しすぎて、いきなり泣かされました。

 

 

エッちゃん先生演じるあのキャラクターは、リリーのイマジナリーフレンド的なものでしょうか。

リリーだけではあまりセリフがなさそうなところを、あのキャラを生み出すことで二人のやりとりが生まれて、上手いなと思いましたね。

 

 

しかも名前がチェリーて。

LILIUMガチ勢を殺りにきている。

リリーが「チェリー」と呼ぶたびに、胸の奥がチクチクと痛む。

 

 

 

 

「求めろ捧げろ待っていろ」は、そのテンションなんなの?wという感じでおもしろいし、「馬車の日」はさすがミステリー作家だなというホラーサスペンスで好き。

 

 

「少女を映す鏡」はりほりほ本人も好きと言っていたそうですが、確かに素晴らしい。

ショートストーリーのお手本のような、よくできた作品だと思います。

 

 

シュカが「いっそ狂ってしまえば楽だろうに……!」と言ったところで、またしても涙腺が崩壊しました。

そのあとの「枯れゆくウル」でのシュカのセリフもそうですが、シュカというのはある意味で我々なんですよね。

リリーをただ見ている者。舞台を観ている観客。

そんな人間が彼女を見て思うことを、シュカが代弁してくれている。

 

 

だから、こんな地獄のような黑い世界に生きて尚、正気を失わずにいるリリーが痛々しくて、眩しくて、愛おしい。

 

 

 

 

 

日和の冒頭では、とある一家のなかに溶け込んで、束の間の幸せを過ごすリリーがいる。

 

 

そんな穏やかな様子を見れば見るほど辛くなってくるのがこのシリーズの残酷なところです。

 

 

LILIUMの『TRUE OF VAMP』という曲で歌われたように、「愛する者たちの命の灯がただ消えるのを待つばかり」の存在であるリリー。

永遠を生きる者のどうしようもない哀しみが常にまとわりついて、すべてが切なく感じてしまう。

 

 

 

ところでリリーが旅をするときにかぶっている帽子、別にそういう意図はないのかもしれませんが、『TRUMP』のプロローグとエピローグでソフィがかぶっている帽子に似てますよね。

単にあの世界ではああいうのが主流なのかもしれませんけど、ちょっとした符合を感じてしまいました。

 

 

そうやってリリーが、まるで普通の旅人のようにあちこち放浪している姿がまた切ない。微笑ましいんだけど切ない。

 

 

リリーに感情移入しまくっているせいか、バッドトリップして苦しんでいる姿とか、もう見てらんない!という気持ちでした。(見たけど)

 

 

 

 

そして日和のラスト、「百年の孤独」でくっそ泣いたなぁ。

 

 

あんなん泣くに決まってる。

ラッカに、彼女の一家に、それ以外にもきっとたくさん、愛されたリリー。

 

 

「大好きよ」と言ってくれる人がいたそのことが、なんと形容すべきかわからないけど、とにかく泣けた。

 

 

 

リリーはこんな酷い目にあっておきながらどこまでもリリーのままで、あの頃となにも変わってない。良くも悪くも。(ついでに言うとビジュアル的にもほとんど変わってない。驚異的なまでに)

 

 

そのことがとても哀しくて、だけどそれこそが希望なんじゃないかと思ったり。

 

 

雨下・日和と見て、そこにあるのは絶望だけじゃないような気持になったんですよね。クラウスやソフィは「絶望しかない」って感じなんだけど、リリーは違う。

 

 

彼女は愛されていたし、誰かを想う心が残っている。

それを「捨てたくない」と思える心が。

 

 

 

そんなことを考えていたら、まさかの『少女純潔(黑世界ver.)』とか歌うから涙腺がダボダボ。

 

 

 

「僕」のところを「星」に変えてたじゃないですか。


 

 

僕は死の寝床で 君の夢を見よう

 

 

 

 

星たちは死の寝床で 君の夢を見るだろう

 

 

になっていた。

 

 

この「星たち」というのは、かつてのクランにいた仲間たちのことでもあるのかな~なんて思いました。

あるいは、リリーがこれまで出会ってきた人々。

 

 

 

 

なんていうか、「あーもう……」しか言えなくなりますね。見た直後は。

 

 

あーもう……

 

 

 

 

 

 

物語に浸ると同時に、やはり自分は鞘師里保という人が大好きだなぁと改めて思いました。

 

 

りほりほがまた舞台に立っていること。

あの頃と変わらない姿。

いやきっとあの頃よりもいろいろと成長していて、まだその片鱗しか見てないんだろうけど、それでもとにかく感無量でした。

 

 

なんか改めて考えると不思議よね。

りほりほが5年ぶりに(正式に)表舞台に立ってるんだよ?

正直、それをちょっと諦めはじめてた時期もあったけど、彼女はちゃんと帰ってきてくれた。

しかも個人的に大好きな演劇シリーズの主役として出演して、リリーを演じてくれているという奇跡みたいな状況。

 

 

なんだこれ。夢か?

と思うような状態です。

夢だけど、夢じゃなかった。

 

 

 

 

 

他のキャストのみなさんも素晴らしかったですね。

 

 

みんな言ってるけど、朴さんすごかった。

その道のプロとはいえ、一瞬で幼い少女から老婆に変わるその声音。

 

 

急遽代役で入った三好さんの熱演も素晴らしかったです。

初演『SPECTER』の石舟はあまり感情を表に出さないキャラでしたが、今回は感情を爆発させていて圧倒されました。

 

 

松岡さんの歌はもういまさら言うまでもないけど、このシリーズでその歌声が聴けることが嬉しい。

リリーと一緒に歌うところとか、それだけで感慨深い。

 

 

エッちゃん先生もさ、歌だけじゃなく芝居もあんなに達者だとは。

いやもちろん役者もやってたみたいな話は聞いたことあったんだけど、なんかすごいよね。何者なんだろうw

 

 

 

そして今回も音楽が素晴らしい。

どの曲も「あ~好きだわ~」と思いながら聴きました。

いやホント和田さん最高だよ。

 

 

 

末満さんは言うまでもなく、『黑世界』(というかTRUMPシリーズ)に関わるすべての人たち、すんごい。

 

 

延期になった作品の代わりに急遽作られたレベルを超えている。

最初からこれのために1年くらいかけて制作してきたのでは?と思うようなクオリティでした。

 

 

 







まだまだ言い足りないけどとりあえずこれくらいにしとこうか。




配信どうしようかなー。

千秋楽は見ようと思ってるんだけど、10/1に観に行くからその前にもう一回見るかどうか悩む。