モーニング娘。'18の舞台『ファラオの墓~蛇王・スネフェル~』が昨日ついに千秋楽を迎えましたね。

 

 

 

お疲れ様でした。

毎年、単独ツアーと同じかそれ以上に楽しみにしている娘。の舞台、今年も堪能させていただきました。

 

 

まさかの再演(実際は半分くらい別物でしたが)ということで最初は戸惑いましたけど、蓋を開けたらまぁ素晴らしいこと。

 

 

脚本や演出のブラッシュアップはもちろん、みんなの芝居も去年を超えてきたからこその評価だと思います。

 

 

 

 

と、まとめる前に、全公演終了したということでネタバレ全開の感想をもう少し書きたいのでお付き合いください。

例によって長いですが、このタイミングを逃すと書きどころを失うので書いちゃう。

(明日からは武道館2Daysモードになるでしょみんな)

 

 

そういうのいいからまとめた話を!という方や、DVD出るまで細かい内容知りたくないぜ!という方はバーッと下のほうまでスクロールしてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さっきも言いましたが、まず脚本と演出が良い。

あくまで「前作と比べて」ではありますが、ひとつの作品としても悪くない出来だったのではないでしょうか。

と慎重な物言いをしてみましたが、個人的にはおもしろかったです。はい。

ちなみにわたくし、原作は未読。

 

 

 

やはり主人公1人(スネフェル)に焦点を絞ったのが正解でした。

サリオキスも立派な主人公ではありますが、キャラクターとして奥行きがあるのはおそらくスネフェルのほう。

あれだけ屈折しているといろいろ描きやすいんでしょうね。ピカレスク的な魅力というか、アンパンマンよりバイキンマンに肩入れしたくなるあの感情。(という例えは微妙に合ってない気もする)

 

 

今回はなんといってもスネフェルの母親であるメリエト皇太后の存在が大きかったと思います。

誰に対しても傍若無人なスネフェルが、唯一「様」をつけて呼ぶ人物。

しかし母を敬う気持ちはこれっぽっちもなく、むしろ憎んでいる。

いやスネフェルとしては、憎んでいるのではなく、「自分は母親に憎まれている」という鬱屈した感情を持っているといったほうが正しいか。

 

 

 

ナイルが死んで、メリエトと話をするあのシーン。

スネフェルの、それまでどうにか押し殺してきた母親に対する激情が一気にほとばしる場面。

 

 

あんなにも苦しいシーンがありましょうか。

そしてあんなにも苦しいシーンなのに、そこでようやくスネフェルは母親からちゃんと“感情”を持って接してもらえるのです。

愛する者すら手にかけ、「あんたのその狼狽する顔が見たかった」と叫ぶ息子の頬を思わず打ったメリエトは、そのとき初めて自分の中の“母”を実感したのではないでしょうか。

ナイルを殺したことを涙ながらに吐露するスネフェルを見て、「もう話さなくていいわ……」と言ったメリエトはもう完全に母親なんですよね。

 

 

あのときのスネフェルはどんな気持ちだったのでしょう。

激昂するスネフェルに、「私はあなたを憎んでなんかいない」と言う母。それに対して「綺麗ごと言うなよ!」と叫ぶスネフェル。

愛するナイルを失った悲しみのなかで、ようやく自分のことを見てくれた母親への愛情と、いまさらそんなことを言う母親への苛立ち。

見ていてあんなに苦しいシーンもありません。

それを見事にやりきったあゆみん。

観てるときは完全にスネフェルとして観てるのでアレなんですが、終わったあと冷静になると「あれを本気で演じるってもう、精神ボロボロなんじゃないですか……」と心配になるほどです。

 

 

あのプライドの高いスネフェルが、ルーが横にいるのも構わず母に身体を預けて「俺はいま、幸せです……」と言うんですよ。

本人ほとんど意識ないにしても。

 

 

ああもう、スネフェル様……!(涙)

 

 

 

 

 

メリエトがケス一派の手にかかり絶命したそのあと、BGMが唐突に途切れてスネフェルにスポットが当たり、ガバッっと目覚めるあの演出結構好きでした。

「いま母上の声が……」というセリフと共に、下手のほうのスポットが当たらないところでメリエトが起き上がってスネフェルのほうに手をかざしてるところ。スネフェルもそっちをぼんやりと見てるんだけど(実際に見えているわけではない)、衛兵がメリエトの凶事を伝えにきた瞬間、もう一度そっちを見てから走り出すのも良い。

 

 

 

 

 

 

ということを言っておきたかった。

 

 

本当はどのシーンもいちいち取り上げて「ここのこれがこうで」と言っていきたいくらいなんですが、さすがにそれはやめます。

 

 

 

 

それはやめるけど、最後のスネフェルとサリオキスの殺陣についてはもう一度書きたい。

 

 

これまでモーニング娘。の舞台では何度か殺陣をやってきましたが、今回が一番良かったなぁというのが個人的な感想です。

 

 

殺陣指導の先生が何かのインタビューで、「男の子は小さい頃から剣の扱いを(漫画やアニメなどで)なんとなくわかってるんですけど、女の子はそういう子が少ないから難しい」みたいなことを言ってて、なるほどね~と思ったものです。

 

 

だから男性に比べると殺陣の迫力が欠けてしまうのもしょうがないのかなと思ってたんですが、今回の殺陣は男性にも引けを取らない素晴らしさだったのではないかと。

(スネフェルとサリオキス以外の殺陣ももちろん良かったです。マリタさん、死ぬ直前でも粋な悪女)

 

 

 

あゆみんが「課題」と言っていたように、ちゃんと剣に重みがある。

相手の攻撃をはじいたとき、少し動きが鈍るんですよ。重い物で重い物をはじくとそうなるよね!という感じが出ていて実に良かった。

それでいて動きはスピーディで、ただ闇雲にブンブンするわけじゃなく美しい。

相手との距離が縮まると、蹴ったり殴ったり、どちらも必死に戦ってるところがまたリアル。

 

 

これは最初から最後までそうなんですが、実力的にはスネフェルのほうが上なんですよね。

時々はサリオキスも肉薄するんだけど、やはりスネフェルのほうが余裕を持って、楽しんで戦ってる感がある。

 

 

 

そう、あの場面でスネフェルは笑ってるんです。

命の取り合いのさなかで、楽しそうに笑う。

 

 

思うに、あの時点でもうスネフェルはサリオキスに対する憎しみも敵愾心もなかったのではないでしょうか。

愛する者をことごとく失い、なにやら体調も悪い。敵も攻め入ってきており、ウルジナの凋落は目に見えている。

もはややることは、宿敵との殺し合いのみ。

あの瞬間、スネフェルは純粋に戦いを楽しんでいたのかも、なんて思ったりしました。

 

 

もちろん、決して幸せな楽しさではなかったにしても。

 

 

 

しかしスネフェルは最期に幸せになれたのでしょうか。

 

 

愛するナイルと、愛されたかった母の幻に見守られ、幸せなまま逝くことができたのでしょうか。

 

 

そうであったらいいなと思います。

 

 

悲しい話ではありますが、観終わったあとの気持ちとしては、去年よりもどこかスッキリしたような、そんな感慨を抱きました。

それはおそらく、掴みかけた傍から奪われていった幸せを、スネフェルが最期にようやく得ることができた(ように思える)からではないかと。

 

 

 

 

 

 

 

 

それと歌ね。歌も素晴らしかったですよね。

 

 

ミュージカルでの歌声ってその役として歌うわけで、いつものコンサートとは別物。

それがまた良い。いつもはドスの利いた圧倒的歌声を聴かせてくれる小田ちゃんが、ナイルキアでは細く美しく、それでいて芯の強い歌声を聴かせてくれて、反対にあゆみんはスネフェルとして男らしさと繊細さの絶妙な歌声で圧倒してくれました。

 

 

これはできれば劇場で、生で聴いてもらいたいやつです。

ホントに凄いから。身体全体に「セリフ&歌」として圧のように覆いかぶさってくるような歌声だから。

イザイの歌声にも(チェルの歌の上手さは承知の上でさえ)驚かされましたね。

 

 

 

音楽自体も素晴らしかった。

和田さんの曲、やはり好きです。

トキがハミングするあの曲とか、ジクの曲とか、アップデートされたネルラの曲とか、早くサントラで聴きたい。

何気にケス大臣の歌唱曲が増えてたのも嬉しかったです。

 

 

 

 

 

 

(もうちょい続くよ)

 

 

 

 

 

 

観劇後のアンケートにも書いたんですが、そろそろ感謝祭を復活させてほしいです。

 

 

感謝祭やろうよ。

主役以外にも良いキャラ揃ってるんだし、スピンオフの短編演劇とかやろうって。

 

 

スネフェルとナイルの幸せなイチャイチャとか、イザイとトキが実はいい雰囲気だったとか、ジクとマリタは普段どんな会話しているのかとか、そういうスピンオフを観たいので感謝祭をやろうよ。

 

 

本編が悲しい話だからこそ、明るく楽しい側面を見せてほしい。

 

 

感謝祭をやろうよ。

 

 

ハロコン削って感謝祭をやろうよ。(我欲)

 

 

 

 

 

 

 

最後に、改めて一人ひとりに言及していきたいところですが、いくらなんでも長くなりすぎるので座長のあゆみんのことだけ。

 

 

スネフェルとしての生き様、見事なものでした。

 

 

舞台の上にいたのは他の誰でもない“蛇王スネフェル”で、だからこそこの物語に本気で涙することができました。

 

 

役者・石田亜佑美としての、ひとつの到達点だったのではないかと思います。

 

 

あゆみんのスネフェルを観ることができて、幸せです。

 

 

 

 

他にもナイルキアの儚さと強さとか、悪役一味の魅力とか、サリオキスのまっすぐな勇ましさとか、砂漠の鷹軍団の笑いどころとか、イザイの男っぷりとか、トキの母ちゃんっぷり&ほとばしる女神感とか、アンケスエンの凛とした美しさとか、ルーやネルラの明るさ、その他諸々みんな素晴らしかったです。

 

 

 

 

 

 

 

というわけで、みなさんお疲れ様でした。

 

 

またひとつ、モーニング娘。が紡ぐ物語が心に蓄積されました。

 

 

 

来年の舞台(あるよね?)にも期待しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千秋楽のあとにイベントやるとか考えた人は気が狂ってるとしか思えないけど、はーちん卒業まで時間がないから仕方ないのかなぁとも思います。が、案の定体調不良での欠席者を出してしまったわけで、今後はもう少しメンバーの疲労も考慮してあげてくださいねと思いました。

イベント自体はたくさんの人が集まったようでなによりです。

 

 

しかし明日には武道館2Daysが始まって、2日目はメンバーの卒業もあるというのはなんという激動の日々でしょう。

ヲタクでさえいっぱいいっぱいになりそうなんだから、メンバーの精神的/身体的負担はいかばかりか。

 

 

本当に頭が下がります。

金メダル級のスポーツ選手のように全国民から褒め称えられてもいいと思うんですけどね!

 

 

心の中で、個人的に国民栄誉賞を贈っておきます。(いらない)