今年もこの季節がやってきました。
 
 
そう、池袋のブックオフを物色する季節です。
 
 
 
 
冗談です。物色はするけど。
 
 
そうではなくて、モーニング娘。の舞台です。
 
 
 

 
 
昨日、『ファラオの墓~蛇王・スネフェル~』の初日夜公演を観てきました。
 
 
 
素晴らしい。
去年と同じ題材ということで、劇女としては色々とイレギュラーな公演ではありますが、「新作じゃなくてちょっと残念だけどこの出来なら許そう」と偉そうに思えるくらいには素晴らしい内容でしたよ。
 
 
いや良かったな。
観終わったあとになんかふわふわした気持ちになりました。
そうなるのは、良い作品だったという証拠なのです。自分的に。
 
 
 
 
例によって感想を書きますが、例によってネタバレしますのでお気を付けください。
 
 
ネタバレといっても基本的なストーリーは去年と同じですけどね。
 
 
でも思ってたより違いはありました。
 
 
 
 
 
 
 
 
去年と比べると、前作にあった脚本のぎこちない部分がいろいろと解消されてる印象。
前作を踏まえての今作ということで、その辺の精度は上がってるのでしょうね。
 
 
全体的な感想としては、「カッコいい」が溢れてるなと思いました。
 
 
どいつもこいつもカッコいいんだ。
しかもいろんなカッコよさがある。前作以上にそれを感じました。
 
 
 
 
まずはイザイがカッコいい。
今作のイザイは「兄貴!」と呼びたくなる感じ。
某シーンがないせいか、あまり屈折したところがなくて普通に頼れる兄ちゃんです。
なんといっても歌!イザイの歌がやべぇよ!
(それだけに、前作のあの歌がなくなってたのちょっと残念)
 
 
次に、サリオキスがカッコいい。
今作のサリオキスは、より純真な主人公といった趣き。(今回は主人公ではないんだけど)
必然的に前作より出番は少ないですが、それでも要所要所でしっかり爪痕を残していく。

パビとのシーンもある意味必見です。
 
 
そして、ジクがカッコいい。
こいつたまんねぇ。こういう悪役すごい好き。
脚が悪い設定?でしたっけ。杖をついてるんですけど、そのせいで動きが緩慢でいつもちょっと気だるげなんですよ。
それでいて残酷に冷笑し、ナイルを告発するシーンでは悪さ全開で歌います。
あくまで個人的にですが、実においしい役。
もし自分が演じるならああいう役がいい。
 
 
というか、悪役3人が揃ってるだけでなんかカッコいいです。
雰囲気がね。ああ悪いわ~この人ら、という雰囲気がビンビン。
悪役を1人増やしたのは大正解でした。やはりボスがいて、部下は最低2人いないと。バランス的に。
ケス宰相が部下に悪だくみを指示して、マリタとジクが揃って「はっ」っていうところ。あそこ好き。
 
 
 
最後はやっぱり、スネフェルがカッコいい。
去年に比べてさえ、圧巻です。さすがタイトルに名前が冠されてるだけある。そのタイトルに相応しい熱演。
いやでもカッコいいんだけど、めちゃくちゃカッコいいんだけど、それ以上にめちゃくちゃ可哀想。
なんという不幸なやつなんだ。
確かに悪い人間だけどそうなったのにも原因はあるし、やっと出会えた幸せも、掴みかけた傍から奪われていく。
いろんなシーンが追加され、よりスネフェルへの憐みが増していきます。
 
 
何が哀しいって、スネフェルは悲しみを素直に悲しむことすらできないんですよ。ナイルが死んで悲しいのに、あまりに歪んでしまっているから自分を嘲笑することしかできない。
愛する人の死をただ素直に悲しめないスネフェルが、哀れで哀れで仕方なかったです。
 
 
 
でも観てる側としては、(前作と同じだから言っちゃいますが)ナイルを殺さなければいけないシーンで素直に泣きました。
去年も泣いたしDVDでも散々見てるのに、めっちゃ泣いてもうた。
 
 
それと、最後のサリオキスとの殺陣。
たぶん気のせいじゃないと思いますが、去年よりずっと迫力があって素晴らしかったです。
まぁ前作とは微妙に違うのでね。あれがない分、よりスピーディに剣を交えることができたというのもあるかな。殺陣自体の技術も上がってるだろうし。
 
 
 
 
そう、前作と同じシーンもあれば違うシーンもありました。
 
 
同じシーンでも微妙に違ったり、去年あったものが今年はなかったりもするし、なんなら前作ではお亡くなりになったキャラが今回はご存命だったりもして。
 
 
そういう意味では単純な「補完」や「前作の裏側」というより、一種のパラレルワールドと考えたほうがいいのかもしれません。
ジクとか全然キャラ変わってるしね。
 
 
余談ですが、前作のジクは気弱なくせに怒れるスネフェル様に「正直に言わないと殺すぞ」と言われても嘘をつき通すという部分に少し違和感を覚えました。(その虚偽って食べ物横流しより重罪では?と)
その点、今回はハナから悪者だし、「私は嘘を言っておりません」というのも確かにその通りでしたね。
 
 
 
そういった違和感が解消されていたり、各キャラクターの心情がより伝わりやすい脚本になっているので、「前作見たから今年はいいかな~」と思っている人もぜひ観ましょう。まだ平日はチケットあるはず。
 
 
どちらも良い部分はありますが、総合的に見たら今作のほうが完成度は高いと思います。

 

 

高いハードルを越えてきた演者と製作者に感服です。
 
 
 
 
 
 
などとグダグダ書きましたが、とにかく良かったよ……良いもん観させていただきました。
 
 
 

 


まずはフィクション作品として評価したかったのであえて役名だけで感想を書いたんですけど、主役のスネフェルを演じたあゆみんのことは言及せねばなるまい。
 
 
あゆみんは本当に凄いね。
再演な上に主役ということでプレッシャーも大きかっただろうけど、こちらの期待以上のものを見せてくれました。
 
 
もはや「ここのあれが凄かった」なんて説明するのも野暮なくらい、蛇王スネフェルそのものだった。
石田亜佑美おそるべし。
 
 
 
 
他のキャラクターについても書きたいけど、長くなるのでそれはまた追々書いていこうと思います。
 
 
「カッコいい」もたくさんあったけど、「かわいい」もたくさんありました。そのあたりを。
 
 
 







あ、それともうひとつ。
プロローグ的なパートが終わって主題歌(ファラオの墓)が流れる演出もカッコよかったです。
前作ではサリオキスが河に飛び込んだあとに曲が流れましたが、今作はスネフェル様の高らかなセリフのあとにイントロがバーンと流れるあの感じ。カッコいい。