舞台『グランギニョル』を観てきました。

 

 

ご存じ《TRUMPシリーズ》の最新作。

時系列的には『TRUMP』より14年前、前作『SPECTER』と同時期に起きたデリコ家と血盟議会のあれこれを描いた作品になります。

 

 

 

 

 

 

 

感想などをちょちょいと書いていきますが、ネタバレしますのでご注意ください。

 

 

 

 

もう一度言います。

ネタバレしますのでご注意ください。

 

 

とはいえ決定的な大ネタは書きませんが、勘の良い方はいろいろわかってしまうかもしれませんのでね。

 

 

ちなみに12月にDVDの発売が決定しているので、観劇はしないけど……という方も改めてご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いやはやなんとまぁ、末満さんはまたとんでもない代物を。

 

 

シリーズを重ねるほどに、起こる事件は複雑に、生々しく、残酷で、衣装や髪型もどんどん奇抜になっていきますw

 

 

でもやっぱり、この世界観好きです。大好物です。

もうたまらん。雰囲気、装飾、衣装、言葉遣い、全部好き。

 

 

 

 

骨格はゴシックファンタジーですが、やってることはみな人類が背負った命題、あるいは宿業。

今回は貴族階級の話でもあり、人間関係はなかなかにドロドロだし、「不貞」とか「誰が誰を孕ませた」とか「性的不能者」といったワードも頻出していて面食らいました。

『SPECTER』でもそんな要素はありましたが、今回はより生々しい。

『TRUMP』と『LILIUM』は少年少女たちの箱庭が舞台だっただけに、同じシリーズ作品でもそういったギャップがおもしろいですね。

 

 

 

 

骨格はゴシックファンタジーと言いましたが、このシリーズはどれもミステリー的な手法をプロットに組み込んでおり、最後に「そういうことだったのか……!」といったサプライズやどんでん返しがあるのが特徴です。

おまけに今回の『グランギニョル』は、イニシアチブの汎用性というか便利さというか危険さというか、もはやSFですよねこれといった領域まで広がっているのが興味深い。

 

 

元々『TRUMP』や『LILIUM』を見たとき、「イニシアチブって、これこれこういう場合はどうなるんだろう?」と疑問に思っていたことがいろいろあったんですが、その謎がある程度氷解しました。

 

 

まさか「666人のヴァンプに噛まれてイニシアチブを奪われ、その全員に『不老不死になれ』と命じられて不死を会得する」なんて方法があるとは。

まぁそれでも不老を得ることはできなかったし、普通は5~6人にイニシアチブを奪われた時点で発狂して死ぬらしいので、イレギュラーなやり方ではあるようですが。

 

 

「イニシアチブで人格をコピーし、ある意味での不死を実現する」というのも驚きましたね。

人格のコピーとか、それもうSFじゃん!なんでもありかよイニシアチブ!と心の中でツッコミつつ。

 

 

 

 

なんだか少し、同じ末満作品の『天球儀』にも通ずるところがあるなと思いました。

『グランギニョル』の作中、主人公のダリ・デリコが、繭期を誘発する薬“コクーン”を投与されて恐ろしい幻覚を見る描写があるんですが、それも似たようなシーンが『天球儀』にあったな~と。

 

 

要するに、これまでの末満作品(全部見たわけじゃないけど)の要素がいろいろ詰め込まれている作品です。

 

 

 

 

 

そして今回の見どころのひとつが、殺陣。

 

 

ことあるごとに戦闘するので、殺陣のシーンがかなり多い。

これが圧巻です。長い剣をグルグル振り回し、本人も縦横にクルクル回りながら、迫力ある殺陣が展開されます。

 

 

日本刀を使うキャラもいたし、カンフーで挑むキャラもいたし、少年漫画っぽい“奥の手”まで出てきて興奮しましたw

 

 

男なら(?)、一度はあんなふうに剣を振り回してみたい。

 

 

 

 

 

 

 

ああそれにしても、TRUMP(作品名ではなくキャラの通称)はなんて罪深いのでしょう。

 

 

TRUMPのために、いったいどれだけの血が流されたことか。

 

 

単に“不老不死”への羨望だけでなく、吸血種にとっては種族の祖に対する畏敬の念もあるんでしょうね。

 

 

 

それと同時に、末満さんはなんて罪深い男なんだ……という言いがかりもつけたくなります←

こんな苦しみをあなたは……!登場人物たちに負わせるなんて……!という理不尽な想い。

 

 

 

『SPECTER』ではソフィの出生が描かれたわけですが、『グランギニョル』ではウルの出生が描かれます。

 

 

スー・オールセンが赤ん坊を抱え、幼馴染の彼と邂逅したシーン。

スーが彼の本当の名前を呼ぶ前からもう、「ああ、マジか……」と思いました。「じゃあウルとアンジェリコは……なんてこった」と。

 

 

 

いま猛烈に『TRUMP』を見返したい。

NU版のDVDは買ってないんですけど、やはり買って見るべきかなこれは。(ピースピット版とD2版のは見た)

 

 

D2版でウルを演じた役者さんが『グランギニョル』を観て号泣したらしいですが、その意味がわかったよ。あれは泣く。

ウルは出生そのものが呪われていて、生まれてすぐに父親からまた呪いをかけられ、だけど最後に育ての親から希望も与えられていたんだね。

 

 

このシリーズの登場人物、みんな辛い人生送りすぎじゃないですか……。

 

 

 

 

 

『LILIUM』ファン的にグッとくるところもありました。

 

 

まずめいめいが出てる時点で嬉しいわけですが、いろいろと仄めかしたり示唆するようなセリフやシーンがあってねぇ。

 

 

あそこであのBGMが流れるのは泣く。

その前にもう曲タイトルをキキ(めいめいの役名)がセリフとして言ってますしね。たまらん。

 

 

未来を予知できるヴァンプに、「君の子孫は綺麗な花たちに囲まれている」って……!ああ!(泣)

 

 

ド忘れしちゃったけど、『二輪咲き』に出てきたセリフも誰かが言ってたような気が……。

 

 

 

繭期三人組(アンリ、キキ、オズ)は敵かと思ってましたが、『SPECTER』の四人組よりはまともだし、泣ける見せ場もあって良かったです。

 

 

めいめいのソロ歌唱もあるよ。

歌もさすがだったけど、素晴らしい芝居でした。立派な女優さんだ。

 

 

 

もし、もしまたこのシリーズの新作をやることがあるのなら、女優になったどぅーを出してほしいなぁと心底思いました。

そして可能なら、りほりほも……。

 

 

 

 

 

 

他の役者さんたちもみなさん素晴らしかったです。

 

 

主役のダリやゲルハルトの、それぞれ違った貴族然とした振る舞い。

フリーダの心の強さも伝わってきたし、春林も歌麿も良いキャラしてる。

道化じみたジャック・ブレアも、いろんな意味で凄かったw

 

 

なんていうか、役者って凄いよね……。

アホっぽい感想でごめんね。

 

 

 

あ、今回は笑いどころも結構あります。

初期の『TRUMP』ほどじゃないけど、『SPECTER』よりはある。

 

 

観客をしっかり笑わせられるというのも、役者と演出家の腕あってこそなのでしょう。

悲劇よりも喜劇のほうが難しいって言いますし。

 

 

 

 

 

 

 

まぁそんな感じで、このシリーズがより好きになり、より奥深くなっていく傑作でした。

 

 

語られていない空白の部分はまだあるし、以前にも増してそこが気になって仕方ありません。

クラウスのこと、血の戦争、ニコ・ヴラドと最初のダミアン・ストーン。

そしてなによりやってほしい、『LYCORIS(仮)』と『雪月花(仮)』。

 

 

頼む……頼むから『LYCORIS』と『雪月花』をハロプロでやってくれ……。せめて『雪月花』だけでも……頼むから……。

 

 

という切実な願いがほとばしっております。

 

 

末満さん側にも都合はあるでしょうが、それより問題はアップフロント側ですよ。こっちがやろうと思わないと、何も始まらない。

 

 

でも『雪月花』なら、りほりほはもう卒業してるし、どぅーも卒業するし、あとはあやちょのスケジュールをどうにかすれば出来るのでは。

りほりほ帰ってきて……。

 

 

もしやれるなら、これだけは絶対『LILIUM』に出たメンバーでやってほしいのよ。他の役者や劇団じゃなく。

 

 

 

果たしてこの願いが叶う日は来るのでしょうか。

 

 

 

 

ともあれ、『グランギニョル』最高でした。

 

 

DVDの発売が待ち遠しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

余談ですが、冒頭でいきなり大音量の音楽が流れるからお客さんみんな「ビクゥッ!!」ってなってたよw