大森望編 『NOVA+ 屍者たちの帝国』
![]() | 書き下ろし日本SFコレクション NOVA+:屍者たちの帝国 (河出文庫) 821円 Amazon |
夭折の作家・伊藤計劃の未完の絶筆が盟友・円城塔に書き継がれ、完成した『屍者の帝国』。
19世紀末、ヴィクター・フランケンシュタインが遺した屍者復活の技術が世界中に拡散し、
屍者たちは労働力・軍事力として利用されていた----
この世界観のもと、8人の作家(北原尚彦、坂永雄一、高野史緒、津原泰水、仁木稔、藤井太洋、宮部みゆき、山田正紀)が集い、新作短編を競作。
伊藤計劃×円城塔『屍者の帝国』劇場アニメ公開記念、完全新作・オール読切の豪華アンソロジー。
円城塔インタビューを特別収録。
計劃--Project--は止まらない。(Amazonより)
伊藤計劃が序章を残し、円城塔が書き継いだ『屍者の帝国』の設定や世界観を踏襲し、8人の作家が短編を寄稿したいわゆるシェアードワールドアンソロジー。(ざっくり言うと、プロ作家たちによる二次創作)
収録作は、
藤井太洋 「従卒トム」
高野史緒 「小ねずみと童貞と復活した女」
仁木稔 「神の御名は黙して唱えよ」
北原尚彦 「屍者狩り大佐」
津原泰水 「エリス、聞えるか?」
山田正紀 「石に漱ぎて滅びなば」
坂永雄一 「ジャングルの物語、その他の物語」
宮部みゆき 「海神の裔」
どれか突出した傑作があるとかではなく、どれも高水準で非常にレベルが高い。
高野史緒はなんかいろんなものが混ざってる。
仁木稔は少し前に読んだ『火蛾』というミステリを思い出した。
北原尚彦のように原典に忠実なスピンオフがあるのは嬉しい。
津原泰水は相変わらず文章が抜群に巧い。
坂永雄一は初めて読んだけど海外文学のような読み心地でちょっと瀬名秀明っぽさもある。
藤井太洋、山田正紀、宮部みゆきも安定の面白さ。
『屍者の帝国』読んでいなくても、この本の「序」で説明してくれてる最低限の設定をわかっていれば問題ない。
アニメ映画にもなってるので(原作より少し改変されてるけど)、そちらを見てから読むと雰囲気が掴みやすいかもしれない。
おすすめです。