平山夢明 『デブを捨てに』

 

 

 

デブを捨てにデブを捨てに
1,000円
Amazon

 

 

「どれだけ読んでもOkcal!!」
シュールで最悪の状況を暴走するブラックユーモアの数々。
『暗くて静かでロックな娘』から2年ぶりとなる待望の小説集がついに刊行。
「うでがでぶか」。借金まみれの俺は、わけのわからぬまま、“デブ”を、黄色いスパイダーに乗せて北へ向かった……表題作の「デブを捨てに」をはじめ、〈シュール〉な設定、乾いた〈ユーモア〉と、エッジの効いた〈表現〉で、〈最悪の状況〉に巻き込まれた男たちを、独特のスピード感あふれる文体で、泥沼のような日常を疾走するように描く。
どこへ行くのかわからないスリルをあなたにお届けする、全四編の平山夢明〈最悪劇場〉。これぞ、小説表現の極北を目指す著者の真骨頂。
「まあ、大変、買わなくちゃだわ」(Amazonより)

 

 

 

 

鬼畜な所業を描くのに、どこか切なくて神聖さすら醸し出す(こともある)平山夢明の短編集。

 

 

収録作は、

 

「いんちき小僧」

 

「マミーボコボコ」

 

「顔が不自由で素敵な売女」

 

「デブを捨てに」

 

 

 

どの話にもろくでもない人間がわんさか登場するけど、「マミーボコボコ」の胸糞悪さはなかなかのもの。

某アンソロジーに載った「ドリンカーの20分」ほどではないものの、読んでる最中も読んだあとも鬱々とした気分にしてくれる。

 

 

「いんちき小僧」と「顔が不自由で素敵な売女」(なんつうタイトルだ)も悪くないが、やはり表題作の「デブを捨てに」が一番かな。

 

 

もうホントに、目を覆いたくなるくらいひどい(愚かで醜い)人間たちの悲喜劇をどこかユーモラスに描き、そして「実はそこまで愚かでも醜くもないのかも」と思わせてくれる展開。

 

 

ただひどいだけじゃないところが、平山作品を読んでしまう理由だと思う。

 

 

 

それでも個人的には『独白するユニバーサル横メルカトル』と『ミサイルマン』には及ばないかなー。

 

 

とはいえ一応単行本扱いの本が1000円ぽっきりなのはありがたい。

 

 

実物を見るとわかりますが、洋書ペーパーバックのような装丁がまた素敵です。

飾っておきたい一品。