読書感想ブログです。



一ヶ月くらい前に、ミステリーの波がきてました。


要するに、ミステリーをたくさん読みました。


しかもシリーズもので、久しぶりに読んだものばかり。



そんなわけなので、今回は一気に紹介。





暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫)/島田 荘司

¥1,058
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みんな大好き御手洗潔シリーズの長編。


『星籠の海』が映画化するというので、書店でもシリーズ作品が軒並み重版されて並んでますね。空前の第二次御手洗ブームが来るか。


もう五年以上前に『斜め屋敷の犯罪』を読んでから、御手洗とはご無沙汰でした。
そこで久しぶりに読んだのがこの『暗闇坂の人喰いの木』。(買ったのは十年前)


おどろおどろしいタイトルの通り、ホラーも震えて逃げ出すおっかない描写が満載。
謎もスケールが大きくて、そんじゃそこらのミステリーでは太刀打ちできません。


およそ不可能に思える事件も最後は御手洗がちゃんと解決してくれはするんですが、謎が解けても残る戦慄に圧倒されっぱなし。
ちょっと強引なところはご愛嬌として、それも含めてたいへん素晴らしい傑作です。


最近のこじんまりしたミステリーに物足りなさを感じている方は、ぜひどうぞ。






人形館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)/綾辻 行人

¥810
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これまたミステリー界ではおなじみ、綾辻行人の館シリーズ第四弾。
自分が読んだのは旧版ですが、いまは新装改訂版が出てるのでそちらを。


シリーズ前作『迷路館の殺人』を読んだのはもう十年以上前。
この『人形館』はどうも食指が動かず、気付けば超絶お久しぶりに。


そんな本書は、館シリーズでは異色な作品。
どちらかというと、同じ作者の《囁きシリーズ》に近いテイストか。


これの少し前に○○ネタのミステリを読んだんですが、あーこれはもしかして……と思ったら案の定これも○○ネタ。


だからつまらないわけではないけど、これまでの三作に比べると微妙かも。


個人的に、このシリーズにはもっとコテコテの探偵小説を求めてしまいますね。






ゴーレムの檻―三月宇佐見のお茶の会 (光文社文庫)/柄刀 一

¥761
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宇佐見博士シリーズの第二弾。
とはいえ中身は短編集で、話が繋がってるわけでもないのでこちらから読んでも問題なし。


前作『アリア系銀河鉄道』を読んだのはもはやいつだったのか思い出せないくらい昔です。


本書も、買ってから十年くらい経ってようやく読みました。(自分が読んだのはノベルス版)


いわゆる異世界ミステリに近いかたちで、主人公の宇佐見博士がふと意識を失うといつも妙な世界にトリップして、そこで謎を解いたり、現実世界の謎解きのヒントを得て帰ってきたりする。


今回面白かったのは、M・C・エッシャーの絵の建築物が具現化した世界が出てくる「エッシャー世界」と、脱出不可能と思われる密室から抜け出した囚人の謎を追う表題作。


島田荘司に連なる壮大でロマン溢れる謎が魅力。
しかし個人的には、前作のほうが好みだったかな。


この文庫版もいまは絶版なので、たぶん普通の書店では買えません。
電子書籍版も出てないようなので、中古本をお探しください。






モンスターズ (講談社文庫)/山口 雅也

¥751
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タイトルの頭文字が「M」なのでMシリーズと呼ばれているけど、実質はノンシリーズの短編集。その第三弾。


一作目の『ミステリーズ』を読んだのは遥か昔。(こんなんばっかり)
二作目『マニアックス』に関しては未読。だって新刊で売ってないからさ……。


本書に収録された短編は、書かれた時期が幅広いものらしい。
好みとしては、初期作品のほうがキレがあって良い。


でもやはり、『ミステリーズ』ほどの興奮はなかった。






仔羊たちの聖夜(イヴ) (幻冬舎文庫)/西澤 保彦

¥741
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西澤保彦はいろんなシリーズを書いてるけど、この《タック&タカチシリーズ》が最もポピュラー(かもしれない)。


そんなシリーズの、時系列的に言えば第三弾。(時系列と刊行順が異なる)


前作を読んだのはそこまで昔ではないものの、久しぶりにシリーズ読みました。


テーマは「愛情という名の束縛」か。
文章のトーンも、出てくるキャラクターたちもみな明るいわりに、話の核は重い。


愛情というのは、たとえそれが親子であろうとも、一歩間違えば害悪になりうるのだなぁとしみじみ。


タックがタカチやボアン先輩と初めて出会ったエピソードも出てくるので、シリーズ読者は必読。








といった感じで、一気に五冊。


「十年前」というワードの頻出に、自分で苦笑しました。
買ってもすぐ読まない悪癖があらわに。


日本の、いわゆる本格ミステリはちょっとご無沙汰。
ましてや、何年も前に出たこれらのシリーズ作品は。


一時期、本格ミステリから気持ちが離れていた時期があったんですが、読むとやっぱり面白い。


特に島田荘司はさすが。他の作品も読もう。


小説の映像化には興味ないけど、それに合わせて重版や復刊してくれるのはありがたい。