下永聖高 『オニキス』


オニキス (ハヤカワ文庫 JA シ 8-1)/下永 聖高

¥756
Amazon.co.jp




マナという物質により過去が書き換えられる世界を観察するため、由良芳雄は記憶保持装置のモニターとなるが―改変される現実と思いもよらぬ結末を描く、第1回ハヤカワSFコンテスト最終候補の表題作、自室の混沌と秩序を反映したミニチュア異世界が重ね合わされた男の日常「神の創造」、他人には見えない類人猿の進化を幻視する男の困惑「猿が出る」など、現代性と普遍性と奇想を兼ね備えた5篇収録のデビュー作品集。(Amazonより)




2012年から新たに再スタートされたハヤカワSFコンテストという新人賞の最終候補になった中編「オニキス」を含む短編集。


収録作は、


「オニキス」

「神の創造」

「猿が出る」

「三千世界」

「満月(フルムーン)」




しかしこの本、表題作はまあまあかな、と思って続きを読むも、その後の二編が全然頭に入ってこない。自分でも不思議なくらい文章がスルスル抜けていき、とにかく合わない。平易な文章だし物語もそこまで突拍子がないわけでもないのに、読んでることが苦痛でしょうがない。


なので仕方なく一旦放置して様子を見た。


それから何度か手に取ってページをめくるも、やはり読めない。原因不明の拒否感しか感じない。


もうこれは駄目かなと諦めて、一年以上経った先日思い切って読んでみると、これまでの読めなさが嘘のように普通に読める。いったいあれはなんだったんでしょう。


そんな内容とは関係ない読書体験をした本でした。





ちなみに内容はというと、最初の三編は一年以上前に読んだものなのでほとんど忘れてる。


「三千世界」は表題作と設定を同じくする中編。これも悪くなかった。


最後の「満月(フルムーン)」が一番良かったかもしれないが、SFでもなんでもないただの内省的な旅行記。


SFというより奇想文学寄りの作家なのかもしれない。




次作が待たれるところだけど、いまだに二作目が出てない。


現在三回目の受賞作まで刊行されたこの新人賞、そのなかで二作目を出したのは(最終候補者も含めて)たった一人だけ。大丈夫なんだろうかw