村上春樹 『TVピープル』


TVピープル (文春文庫)/村上 春樹

¥508
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不意に部屋に侵入してきたTVピープル。詩を読むようにひとりごとを言う若者。男にとても犯されやすいという特性をもつ美しい女性建築家。17日間一睡もできず、さらに目が冴えている女。―それぞれが謎をかけてくるような、怖くて、奇妙な世界をつくりだす。作家の新しい到達点を示す、魅惑にみちた六つの短篇。(Amazonより)




十年以上ぶりに再読してみた。



収録作は、


「TVピープル」

「飛行機―あるいは彼はいかにして詩を読むようにひとりごとを言ったか」

「我らの時代のフォークロア―高度資本主義前史」

「加納クレタ」

「ゾンビ」

「眠り」




村上春樹の短編に対して、これといった感想というものはあまりないんだけど(抽象画を見るように、あるいは夢を見るように読むものだと思っているので)、一番好きなのはやはり「眠り」かな。


17日間、眠っていない主婦。


初めてこの中編を読んだとき、それがひどく羨ましかったのを覚えている。


眠る瞬間は気持ちがいいものだけど、もし眠らずとも疲れないのなら眠りたくない。やりたいことはたくさんあるし、ひとり夜の孤独に包まれていたい。そう思っていた。



なので、眠らなくても疲れないどころか俄然元気になっていくこの主婦が羨ましかった。オレもそうなりたいよ、と思った。


まぁ結末を読む限りでは、あまり良いものではないのかもしれませんがね。





それはともかく、やはり村上春樹みたいな小説がどうしてこんなに売れるのかよくわからない。


個人的には好きだけど、どう考えても万人受けする作風じゃない。
どちらかといえば、日本より海外受けするかなと思える。実際、海外でも人気は高い。


日本の場合は「売れてるから読んでみる」という人が多いのかもしれない。
感想なんかを見ると、良い評価が少ないことからもそれがわかる。



だからどうだというわけでもなく、なにもかもどうでもいい。