河野裕 『いなくなれ、群青』


いなくなれ、群青 (新潮文庫)/河野 裕

¥637
Amazon.co.jp




11月19日午前6時42分、僕は彼女に再会した。誰よりも真っ直ぐで、正しく、凛々しい少女、真辺由宇。あるはずのない出会いは、安定していた僕の高校生活を一変させる。奇妙な島。連続落書き事件。そこに秘められた謎…。僕はどうして、ここにいるのか。彼女はなぜ、ここに来たのか。やがて明かされる真相は、僕らの青春に残酷な現実を突きつける。「階段島」シリーズ、開幕。(Amazonより)




新潮文庫が新たに仕掛けた新潮文庫nex。


創刊の目玉として刊行されたのが、『サクラダリセット』シリーズでおなじみの著者による書下ろし開幕編。



主人公の“僕”は、気付くと見知らぬ島にいた。


冗談ではなく、本当に気付いたら急にいたのである。
そしてその島は、「捨てられた人々」がやってくる島だという。


その島に来た人は、失ったものがなんなのかに気付けない限り、島から出ることはできない。


だがみんなわりとこの島に馴染んでおり、ここで普通に暮らすことに異議はないようだった。


主人公もその一人。
しかしある日、彼女が島にやってきたことで、僕の日常は揺らぎ始める。




設定も文体も、どこかマイルドな村上春樹といった感じ。


悟ってる系少年の僕と、理想主義者でKY気味な少女との邂逅。


それにしたって君たち極端じゃない?と思いながら読み進め、やがてこの島の秘密を知ることによって納得がいく構成が上手い。




続編はまだ出てないけどシリーズになるということで、続きが出たらまぁ読んでみようかな、というくらいには面白かったです。




※とか言ってたら、近々続編が出るらしい。たぶん買っちゃう。