恒川光太郎 『竜が最後に帰る場所』


竜が最後に帰る場所 (講談社文庫)/恒川 光太郎

¥691
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日常の隣に寄り添う異界を描くのがとにかく巧い著者の短編集。



収録作は、


「風を放つ」

「迷走のオルネラ」

「夜行の冬」

「鸚鵡幻想曲」

「ゴロンド」




序盤は幻想よりも現実寄りで、人間の中の昏い部分がメインとなる。


個人的には幻想味が出てくる「夜行の冬」から先が好みで、後半の2編は著者らしい異界と異形の物語だ。



自身が実は鸚鵡の集合体であることを暴かれた(気付かされた)青年の視点から描く「鸚鵡幻想曲」。


ゴロンドという名の竜が生まれてから「最後に帰る場所」を目指す成長譚「ゴロンド」。



特に「ゴロンド」は竜の話ということで、なにかと竜を描いてらっしゃる漫画家の九井諒子さんに漫画化してほしいなと思ったり。(『ダンジョン飯』の作者)





恒川光太郎にハズレなし。


今回もおもしろかったです。