筒井康隆編 『70年代日本SFベスト集成1 1971年度版』


70年代日本SFベスト集成1: 1971年度版 (ちくま文庫)/著者不明

¥1,188
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70年代に筒井康隆によって編まれた日本SFアンソロジーの復刊である。


60年代版も復刊されたが、70年代は年度ごとに分かれており、本作は1971年度版のもの。




収録作は、


半村良 「農閑期大作戦」

眉村卓 「真昼の断層」

星新一 「使者」

小松左京 「保護鳥」

光瀬龍 「多聞寺討伐」

広瀬正 「二重人格」

河野典生 「パストラル」

梶尾真治 「美亜へ贈る真珠」

永井豪 「ススムちゃん大ショック」

高齋正 「ニュルブルクリングに陽は落ちて」

荒巻義雄 「ある晴れた日のウィーンは森の中にたたずむ」





その年の傑作だけあって、どれも面白い。


さすがに文体がやや古風だったりするものの、物語としては今での充分通用する。



そんな中でも小松左京「保護鳥」と荒巻義雄「ある晴れた日のウィーンは森の中にたたずむ」は文体も一切古びておらず、物語は依然として輝きを放っているのが凄い。


特に荒巻義雄の初期作品は高レベルな幻想メタSFがたくさんあり、この「ある晴れた日の~」も名作として名高い。


この短編はのちに『白き日旅立てば不死』という長編に組み込まれ、そちらも傑作ということなのでぜひ読みたい。


ちなみに現在、荒巻義雄の初期作品が単行本で随時復刊されている。
しかしお値段がどれもヤヴァイ(3456円)のでなかなか買えません。せめて三千円以内にしてよね……。




それ以外では、光瀬龍「多聞寺討伐」が王道の時代SFとして面白かった。




懐かしの日本SFを久しぶりに読んでみてはどうでしょう。


自分のような若輩者にとっては、日本SFの起源とでもいうべき作家たちの名作を読めるので、こうした復刊はありがたいです。