三津田信三 『水魑の如き沈むもの』


水魑の如き沈むもの (講談社文庫)/三津田 信三

¥1,132
Amazon.co.jp




奈良の山奥、波美地方の“水魑様”を祀る四つの村で、数年ぶりに風変わりな雨乞いの儀式が行われる。儀式の日、この地を訪れていた刀城言耶の眼前で起こる不可能犯罪。今、神男連続殺人の幕が切って落とされた。ホラーとミステリの見事な融合。シリーズ集大成と言える第10回本格ミステリ大賞に輝く第五長編。(Amazonより)




本格ミステリ大賞を受賞した、刀城言哉シリーズの長編第五弾。



今回舞台となるのは、四つの村が集まった波美という場所。


そして水魑様と呼ばれる神への儀式で巻き起こる連続殺人。


おなじみのドロドロした戦後の田舎の因習絡みのホラーミステリは、今回も非常に面白かった。




大長編でもズイズイ読まされるリーダビリティが素晴らしい。


今回はホラーとミステリの割合が、4:6くらいでミステリ寄り。



しかしまぁ、村で一番の権力者、水使龍璽という爺がとんでもない鬼畜野郎で参った参った。


もうほとんど取り憑かれてる。
クズを通り越していっそ清々しい。いや恐ろしい。



謎解きはやや急な感じがしないでもなかったけど、二転三転する解決は凄い。


願わくば犯人は……いやこれを言ったらネタバレになる。





シリーズものだけど、ここから読んでもたぶん問題はないから大丈夫。


いや順番に読みたいんじゃという方は、『厭魅の如き憑くもの』→『凶鳥の如き忌むもの』→『首無の如き祟るもの』→『山魔の如き嗤うもの』→『水魑の如き沈むもの』→『幽女の如き怨むもの』とどうぞ。


どれも長くてなかなか手が出ない……という方は、『密室の如き籠るもの』と『生霊の如き重るもの』という短編集から読むのもいいかもしれません。