ジェフ・ヴァンダミア 『全滅領域 サザーン・リーチ1』


全滅領域 (サザーン・リーチ1)/ジェフ・ヴァンダミア

¥886
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《サザーン・リーチ三部作》の第一部。



突如として世界に出現した謎の領域〈エリアX〉。そこでは生態系 が異様な変化を遂げ、拡大を続けていた。監視機構〈サザーン・リーチ〉に派遣された、生物学者をはじめ女性4名からなる調査隊は領域奥深く侵入し、地図にない構造物を発見、そしてそこに棲む未知の存在を感知する。さらに進むべきか、引き返すべきか? 無事に帰還できた隊は過去に存在しない……。大型エンタテインメント〈サザーン・リーチ〉三部作開幕!(Amazonより)




物語は前置きなく唐突に始まる。


謎の領域〈エリアX〉の調査に派遣された、第十二調査隊の4名の女性たち。


4人は名前を持たず、それぞれ「心理学者」「人類学者」「生物学者」「測量技師」とだけ呼び合う。


その中のひとり、生物学者による一人称で綴られていく物語は、生物学者自身が書いた日誌(レポート)の体裁をとっている。



〈エリアX〉、〈境界〉。


とにかく謎だらけの領域で、4人は地下深くに埋められた塔を発見する。


どう見ても地下道であるそれを、生物学者だけが“塔”だと思ったのだ。


やがて巻き起こる不可思議な現象。
生息する、どこかおかしな生物たち。


ホラーチックな雰囲気の探索SFといった感じだが、常に不穏さが付きまとい、謎がなかなか解明されないこともあって実に面白い。


最後まで呼んでも結局大元の謎は解明されないままなので、続刊が待ち遠しい。




こういう、読んでてワクワクと恐怖がないまぜになった感覚を得られる物語は大好きだ。


この第一部は、300ページちょいという翻訳小説としては短めの分量なのでおススメ。



第二部は『監視機構』というタイトルで、今月末に発売予定。


一部では実態がわからなかった機構側からの物語となるらしい。